モロヘイヤの緑色を保ち上手に作る方法をアラビア語で学習

2025/08/27

モロヘイヤ

エジプト料理「ムルキーヤ」(モロヘイヤ)。これはモロヘイヤの葉を刻んで刻んで、チキンスープなどで溶いて作るねばねばスープです。私は夏の時期は菜園でモロヘイヤを栽培しているので、「ムルキーヤ」を何度も作っています。

「完璧に作れているよ」とエジプトに通算100日以上滞在してきてムルキーヤ百戦錬磨の夫が言ってくれるも、自分としては不完全な気がしてきました。いつも「もっと上手く作れる」と思い、これまでも完成とはみなしてきませんでした。特に鮮やかな緑色が退色しやすいことなどが気になっていました。

ちなみに夫はエジプトの首都カイロでスーダンビザを取るのに「来週来い」と言われることを10回繰り返して10週間待ってビザが出ないことになったとかwww アフリカあるあるの「ビザ取り理不尽戦争」で敗戦。泊まっていた宿の近所に生きた鶏をさばいて売る店があって、そこの界隈の店でムルキーヤをよく食べていたと。チキンスープが美味しいからモロヘイヤスープもとびきり美味しくなるのですね。

エジプトの公用語はアラビア語です。エジプト人は家庭でムルキーヤを手作りしますし、私がカイロに泊まったときもバックパッカーホステルのお兄さんが屋上キッチンでムルキーヤを作ってくれてごちそうしてくれました。老若男女みんなが作れる料理だから上手や下手があって、下手があるから上手に作るためのコツがアラビア語でたくさんネット上に掲載されているのです。アラビア語で取り組めば私も本場エジプトで言われる「下手が上手になれる」情報が探せるはず。

本記事では「モロヘイヤスープを上手に作るための情報」を、特に退色防止について重点を置いてアラビア語で収集した成果をまとめます。

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الملوخية الخضراء بكل تكاتها للمبتدئين بالتفصيل ناجحة جداً بإذن الله | طريقة عمل الملوخية الخضراء(≫こちら
タイトル和訳は「初心者向けのグリーンモロヘイヤとその材料を詳しく解説。神のご加護があれば大成功! | グリーンモロヘイヤの作り方」。

モロヘイヤ

まじか・・・ビニール袋の上からマハラタ(モロヘイヤみじん切り専用両手持ち包丁)とは。
でもこれで1つ分かったことがあります。緑色を保つためには空気を遮断する(A)のだということです。でもみじん切りしなければならないのに空気遮断は、伝統的な方法では難しいよねぇ。工業的には陰圧下でミンサーにかけることはできそうですが。

الملوخيه الخضراء(≫こちら
タイトル和訳は「緑のモロヘイヤ」。

モロヘイヤ

いいね! このゴールデンブラウンにローストされたにんにくが「本物感」満載です。このほか多くのサイトでも掲載されている注意事項ですが、洗ったモロヘイヤの葉はタオルの上に置いて乾かします(B)(نضعها على مناشف ونتركها حتى تجف من الماء ثم)。このとき水気が残っていると失敗する(C)らしい・・・知らなかった。だけど水気がついたままの青じそやバジルの葉って確かにすぐ黒くなるものな。モロヘイヤも水気が大敵なわけです。

スープを温めて、モロヘイヤと小さじ半分の重曹を加えます。(اسود نسخن المرقه نضع الملوخيه عليها نص ملعقة صغيرة بيكربونات)
重曹を使うとモロヘイヤの緑色が保たれます。(D)(البيكربونات بيحافظ على اللون الاخضر للملوخيه)

الملوخية الخضرا بمفاجأة مش هتصدقوها(≫こちら
タイトル和訳は「信じられない驚きのグリーンモロヘイヤ」。

モロヘイヤ

サラダスピナーで丹念に水分を飛ばしています(E)。

そのほかのサイトでは、バスタオルのような大きな布でふんわりとくるんで3時間置いて葉を乾かす(F)というのも見かけました。でもこれ、乾燥の極みのエジプトなら放置でいいだろうけど多湿の日本じゃ乾燥中も葉っぱを振って通気するとかしないとダメだろうなぁとも思う。

الحقي الملوخية في السوق وتعالي حماتي هتقولك تفرزيها ازاى من السنةللسنه من غير ماتغير لونها ولا طعمها(≫こちら
タイトル和訳は「市場でモロヘイヤを買ってきて。義母が色も味も変えずに1年分ずつ分ける方法を教えるよ」。

モロヘイヤ

モロヘイヤを刻むとき「カルボナート」(重曹)と言って重曹をふりかけています(G)。

سر خضار الملوخية لآخر طبق.. بملعقة واحدة من مكون موجود في مطبخك(≫こちら
タイトル和訳は「最後の一皿にグリーンモロヘイヤを作る秘訣…キッチンにあるスプーン1杯の材料を使って」。

モロヘイヤ

モロヘイヤの鍋にフタをしないでください(H)( عدم تغطية وعاء الملوخية)。
フタをするとモロヘイヤが沈んでしまいます(I)( تغطيتها يسبب سقوط الملوخية)。
「タッシャ」(طشة)をモロヘイヤスープが熱いうちに加えることが必須事項です(الضروري وضع الطشة عليها وهي ساخنة)。

「タッシャ」(طشة)はモロヘイヤスープを極上に美味しくする仕上げの工程です。

モロヘイヤをスープに流し込んだら慎重によく混ぜること。味の変質や苦味増加を防ぎます(J)(الانتباه عند تحمير طشة الملوخية، وذلك لكي لا يتغير طعمها وتزيد المرارة بها )
スプーン1杯の重曹を加えてモロヘイヤの緑色を保つこと(من الضروري أيضا إضافة معلقة بيكربونات للحفاظ على لون الملوخية الأخض)。
スプーン1杯の砂糖やトマトソースを入れるといい色を出すことができます(K)(كذلك يجب إضافة معلقة سكر مع الطشة ومعلقة صلصة لكي يكون لون الملوخية جذابًا.)。

طشة الملوخية من الساحل(≫こちら
タイトル和訳は「海岸のモロヘイヤ料理」。上に出てきた「タッシャ」(طشة)を見てみました。

モロヘイヤ

「タッシャ」(طشة)の量がすごい!!!にんにくもオイルもとても多く入れるんだね。

«أهم حاجة السكر والتوم».. طريقة عمل الملوخية الخضراء في المنزل(≫こちら
タイトル和訳は「一番大切なのは砂糖とにんにくです。自宅で作る緑のモロヘイヤ」。

モロヘイヤ

レシピでは、刻みモロヘイヤを作る→スープを作る→それらを混ぜる→にんにくを揚げる→スープに入れて仕上げるという普通の段取りで、スープを作る段階で砂糖とトマトを加えています。つまり砂糖とトマトはモロヘイヤを入れる前にスープに溶かしています(L)(ضيفي المرقة، ثم ضيفي لها الجزء الثاني من الثوم المهروس، وملعقة السكر وثمرة الطماطم المفرومة.)。
なおモロヘイヤはその砂糖とトマト入りのスープが沸騰したところで加えて混ぜています(بمجرد أن تغلي المرقة، نضيف الملوخية)。

طرق تخزين الملوخية الخضراء(تفريز، تجفيف)(≫こちら
タイトル和訳は「モロヘイヤの保存方法(冷凍、乾燥)」。

モロヘイヤ

モロヘイヤを刻んで冷凍するとき、刻みモロヘイヤに水と砂糖を加えて混ぜてから冷凍バッグに入れるように書いています(ناعماً وتخلط مع كمية قليلة من الماء والسكر)。

كيف نحافظ على لون الملوخية أخضر عند الطهى؟ لأحلى طبق ملوخية بالتقلية(≫こちら
タイトル和訳は「調理中にモロヘイヤの緑色を保つにはどうすればいいでしょうか?最高のにんにくオイル入りモロヘイヤを作るには」。

モロヘイヤ

「にんにくオイル」と訳した単語は「تقلية」です。普通に読むと「タクリア」で揚げ物の意味で、エジプトでは「ق」(q)が声門閉鎖音(ハムザ)に変化するので「息をいったん止めて吐き出す音」、例えれば空咳(からせき)をするときの「ンアッ」みたいな息の吐き出し方で、よって「ة ي ل ق ت」は「a i l (空咳) タ」で、これを右から読んで「タッアレイヤ」のような音になり、これをスムースに表記して「タアレイヤ」となります。ここでは上に書いた「タッシャ」(طشة)と同じものを指します。

ここではモロヘイヤの緑色を保つ方法として、重曹、レモン果汁、フタをしないことを掲載しています。

重曹は、モロヘイヤの葉に直接使うようです。モロヘイヤの葉を刻んでねっとりさせているときに、モロヘイヤの葉500 gあたり小さじ1/2の重曹を加えます。(M)(لكل نص كيلو من الملوخية ضعي مقدار نصف ملعقة صغيرة من البيكنج صودا قومي بهذه الخطوه قبل إضافة الملوخية إلى الاناء وذلك من خلال تقليب الأوراق الخضراء غير المطهوة)

レモン果汁は、スープのほうに入れます。モロヘイヤの葉500 gあたりに小さじ1杯。モロヘイヤをスープに入れる直前にしぼりたての新鮮果汁を得て、スープに入れてモロヘイヤの葉を入れます(N)(فقط أضيفي ملعقة صغيرة من عصير الليمون الحامض الطازج لكل نصف كيلو ملوخية تساعد الحموضة الموجودة في العصير على تثبيت لون الملوخية الأخضر فلا يتغير عند تعرضها للحرارة العالية أضيفي العصير إلى ماء الطبخ قبل وضع الملوخية فيها واستخدمي فقط العصير الطازج المعصور مباشرة. قبل إضافته إلى الطبخة حتى لا يفقد حموضته)。

重曹とレモン果汁自体が化学反応(中和反応)を起こすので、両方を採用してよいかどうかは素朴な疑問です。でも私の化学的な直観ですが、問題ない気がします。クエン酸と炭酸水素ナトリウムが中和反応を起こすと二酸化炭素が発生するので、モロヘイヤの細かい葉に微細に炭酸ガスが付着するとモロヘイヤが沈みにくい効果が増すでしょう。これは利点かもしれません。文章からも、モロヘイヤ側に重曹、スープの側にレモン果汁を同時に行うように書いてあるので、問題ないということになります。

なお、レモン果汁を入れる化学的理由は2つ考えられます。(1)アシディティAcidityと(2)リダクションReductionです。(1)は酸を添加することでpHを下げること、(2)は酸化を防ぐための還元作用。化学的に酸と酸化は完全に異なる概念なので絶対混同しないでください。レモン果汁中のアスコルビン酸は(1)と(2)の両方をもちます。でも酢やクエン酸は調理条件下では(1)のみで、酢を入れろとかクエン酸を使えとかいう助言は1つも見なかったので単に酸を入れればいいわけではない。レモン果汁がもつ(2)の還元作用(=抗酸化作用)が貢献していると思われます。これは冒頭の(A)で空気を遮断して酸化を防ぎながらモロヘイヤをみじん切りにしていたことと一致します。そして(K)で「トマトを使う」と書いてあったのもトマトの抗酸化物質がモロヘイヤの退色を防ぐのだろうと思います。

また、瓶に入った市販のレモン果汁は不可と書いてあるサイトもあり、そういう市販のレモン果汁は(1)はあっても(2)は消失しているから、やはりモロヘイヤスープづくりには(2)の還元作用が大事なのです。よってレモン果汁がない場合、試しにサプリメントのビタミンCを入れれば同様の効果が得られるだろうなと、1人楽しく推測していますw

モロヘイヤは加熱するとガスを放出して葉の色が変わる(O)ので、鍋にフタをしないでください(O)。ざるをかぶせるなどしてもよいです(عندما تتعرض الملوخية للحرارة تطلق غازات تسبب تغير لون الأوراق لا تغلقي الاناء تمامًا. حتى تتمكن هذه الغازات من الخروج بسهولة. ويمكنك أيضًا أن تغطيه بمصفاة طعام كبيرة إذا توفرت لديكي)。

سر لون الملوخية الأخضر.. حضريها بالطريقة دي حتى لو مجمدة(≫こちら
タイトル和訳は「モロヘイヤの緑色の秘密は…冷凍でもこの方法で調理してください」。

モロヘイヤ

ここでは「多くのシェフやレストランでは少量の重曹を加える」(عادًة ما يضع الكثير من الشيفات والمطاعم جزءا بسيطا من الكربوناتو إلى شوربة الملوخية أثناء التحضير)と書いた上で、

モロヘイヤを長く加熱しないでください(P)(عدم غلي الملوخية لفترة طويلة)。
沸いたらすぐに火を止めてください(P)( إذ يجب أن ترفع من على النار فور وصولها لمرحلة الغلاء الأولية)。

フタをすると中身が分離しモロヘイヤが沈みスープ表面が液体になります(بالإضافة إلى فصل عناصرها عن بعضها، فتجد الشوربة السائلة في الأعلى مع ارتكاز الملوخية بالأسفل)。

ここではそのほかレモン果汁を加えることも述べています。

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ここまで見てきて、本当はこの何十倍の量のアラビア語WEBサイトを見て、得られた情報は重複もしているので、大体の成果は収集できたことになります。

まとめます。

  • (A)緑色を保つために空気を遮断して破砕する
  • (B)洗ったモロヘイヤの葉はタオルの上に置いて乾かす
  • (C)モロヘイヤの葉に水気が残っていると失敗する
  • (D)重曹を使うとモロヘイヤの緑色が保たれる
  • (E)サラダスピナーで丹念に水分を飛ばす
  • (F)バスタオルのような大きな布でくるんで葉を乾かす
  • (G)重曹は葉を刻むときにふりかける
  • (H)モロヘイヤを煮るときはフタをしない
  • (I)フタをするとモロヘイヤが沈む
  • (J)モロヘイヤをスープに流し込んだら慎重によく混ぜることで味の変質や苦味増加を防ぐ
  • (K)砂糖やトマトソースを入れると色がよくなる
  • (L)砂糖とトマトはモロヘイヤを入れる前にスープに溶かす
  • (M)モロヘイヤの葉を刻んでねっとりさせているときに、モロヘイヤの葉500 gあたり小さじ1/2の重曹を加える
  • (N)レモン果汁はモロヘイヤの葉500 gあたりに小さじ1杯。モロヘイヤをスープに入れる直前にしぼりたての新鮮果汁を得て、スープに入れてからモロヘイヤの葉を入れる
  • (O)モロヘイヤは加熱するとガスを放出して葉の色が変わるので鍋にフタをしない
  • (P)モロヘイヤを長く加熱しない。沸いたらすぐ火を止める

そして結論を記します。

<モロヘイヤの緑色を保つ・結論>
●モロヘイヤの葉をよく洗い、よく水分を飛ばし、葉の1枚1枚を乾かす(B、C、E、F)
●葉を刻むときに重曹をかける。葉100 gあたり小さじ1/10など(D、G、M)
●チキンスープを作るときに砂糖やトマトピューレを少し入れ、チキンスープが完成したらレモンを絞って果汁を入れる。葉100 gあたり小さじ1/5ほど(K、L、N)
●沸いたスープに刻んだモロヘイヤを入れ、モロヘイヤをよく混ぜる、フタはせず、沸いたらすぐに火を止める(H、I、J、O、P)

そしてタッシャ(揚げにんにくとオイル)はたっぷりと!ね♪


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