キャトルエピスの組成研究

2025/03/30

最近いいレバーが手に入ったので、フランス風のパテを作ろうと思いました。さらに、フランス語を聞きたい気分だったので作り方の動画を見ました。そのとき出てきた食材用語について、そういえばきちんとした知識を持っていないなあと気づきました。

L’expat Cuisine… une Mousse de Foie – Charcuterie maison(≫こちら

キャトルエピス

ここに出てくる「4 épices」です。名前は知っています。キャトルエピス。意味は「4つのスパイス」。フランスのパテ料理、グラタン類、ソテーなどでよく用いられるスパイスミックスです。我が家にはキャトルエピスというスパイスミックスはないけれど、組成が分かれば似たものは作れますし、キャトルエピスを使えばフランスの優雅な香りが漂う素敵なレバーパテが作れます。なので今回はキャトルエピスの組成を調査し、手作りのためのレシピ化のための検証をし、その過程と結果を記事にします。

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フランス語Wikipedia「Quatre-épices」(≫こちら

  • キャトルエピスはそもそもオールスパイスという1種類のスパイスのことである。(Le quatre-épices est à l’origine une épice unique, le Pimenta dioica ou piment de la Jamaïque)
  • オールスパイスを粉砕するとクローブ、ナツメグ、こしょう、ジンジャーあるいはシナモンのような香りがする(au broyage, il développe des arômes de girofle, de muscade, de poivre et de gingembre ou de cannelle)
  • キャトルエピスはオールスパイスの代用として上記のスパイスのうち4~5種類をさまざまに混合したものを指す。(le terme désigne également un mélange variable de quatre à cinq de ces épices utilisé comme substitut au piment de la Jamaïque en France)
  • フランスのキャトルエピスには一般的にシナモンが含まれる。(En France, les mélanges quatre-épices contiennent généralement de la cannelle)

そうか、オールスパイスに似せるためにスパイスを組み合わせるので、材料は必ずしも4つを守らなくていいのか。

英語Wikipedia「Quatre épices」(≫こちら

  • キャトルエピスにはこしょう、クローブ、ナツメグ、ジンジャーが含まれますが、ジンジャーの代わりにシナモンを使用したりします。(The spice mix contains ground pepper, cloves, nutmeg and dried ginger. Some variations of the mix use allspice or cinnamon instead of pepper, or cinnamon instead of ginger.)

そうか、「ジンジャーの代わりにシナモンを使う」のなら4種類のミックスになって名称の通りになるのか。

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ここで市販品の組成を確認したいと思います。キャトルエピスを10商品探しました。

1)Quatre Epices Savoury|Herbs & Spices(≫こちら

キャトルエピス

材料:白こしょう、ナツメグ、クローブ、ジンジャー。材料4つ。

2)Quatre Epices (Four Spices)|Whole Spice Napa valley(≫こちら

キャトルエピス

材料:白こしょう、ナツメグ、ジンジャー、クローブ。材料4つ。

3)Mélange Quatre-Épices Moulues|Ducros(≫こちら

キャトルエピス

フランスの一般的なスーパーでもおなじみのデュクロス社のスパイスです。
材料:シナモン、ジンジャー、クローブ、ナツメグ。材料4つ。

4)Quatre Épices|The Spice Trader(≫こちら

キャトルエピス

材料:白こしょう、ナツメグ、ジンジャー、クローブ。材料4つ。

5)Quatre Épices|The Silk Road(≫こちら

キャトルエピス

材料:白こしょう、ナツメグ、ジンジャー、クローブ。材料4つ。

6)Quatre Épices from the European Collection by Merchant Spice Co.|(≫こちら

キャトルエピス

材料:ジンジャー、黒こしょう、ナツメグ、白こしょう。材料4つ。

7)Quatre Epices|(≫こちら

キャトルエピス

材料:オールスパイス、ナツメグ、シナモン。材料が3つでもキャトルエピス。

8)Quatre Épices|(≫こちら

キャトルエピス

材料:ナツメグ、ジンジャー、クローブ、白こしょう、黒こしょう、シナモン。材料が6つでもキャトルエピス。

9)Quatre Spices 165G|Verstegen Spices & Sauces(≫こちら

キャトルエピス

材料:こしょう、ジンジャー、ナツメグ、クローブ。材料4つ。

10)ギャバン クォーターエピス 80g|A-プライスオンラインショップ(≫こちら

キャトルエピス

最後は日本で流通しているGABAN社のものです。
材料:クローブ、ジンジャー、ナツメグ、こしょう。材料4つ。

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<スパイス配合数>

  • 4種類:8つ
  • 3種類:1つ
  • 6種類:1つ

ほとんどのものがスパイスを4種類配合していました。確かに、「4つのスパイス」という商品名なので材料は4つにしたいですよね。そしてここで延べ数としてスパイスが41回登場しましたので、次は登場頻度を数えます。

<スパイス登場頻度>

  • ナツメグ(10回)
  • こしょう(10回):内訳は白こしょう6回、黒こしょう2回、こしょうのみの記載2回
  • ジンジャー(9回)
  • クローブ(8回)
  • シナモン(3回)
  • オールスパイス(1回)

ここまででトップ4が分かりました。全商品にナツメグが入っていました。こしょう、ジンジャー、クローブが主要スパイスです。

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ここからは、日本に住む私が自作するキャトルエピスの組成の検討に入ります。

上述のように、フランス語Wikipedia(≫こちら)に「フランスのキャトルエピスには一般的にシナモンが含まれる。」なら、是非シナモンを加えて作りたい。そして「クローブ、ナツメグ、こしょう、ジンジャーあるいはシナモンのような香り」という表現に基づき、さらに英語Wikipedia(≫こちら)の「ジンジャーの代わりにシナモンを使用したりします。」の表現に基づき、4つの組成をナツメグ、こしょう、クローブ、シナモンにしてみようと思います

次に配合量を模索します。シナモンを使いジンジャーを使わず4種類を混ぜるレシピをフランス語で探し、見やすいように表記順を固定し、レシピ例を記載します。
レシピ1(≫こちら
黒こしょう20 g、ナツメグ6 g、クローブ6 g、シナモン6 g。
黒こしょうを全量の約半分。3:1:1:1くらいのレシピです。

レシピ2(≫こちら
黒こしょう25 g、ナツメグ8 g、クローブ5 g、シナモン8 g。
これも黒こしょうが全量の約半分、5:2:1:2くらいのレシピです。

レシピ3(≫こちら
黒こしょう大さじ2杯、ナツメグ大さじ1杯、クローブ大さじ1杯、シナモン大さじ1杯。
2:1:1:1。

でもこれらだと、相当シナモン香が強いだろうなあ・・・・。しょっぱい料理はシナモンの香りが強いと難しくなるので、私はシナモン比率を下げたいけど、敢えてここは上のレシピに準じて作らなければフランス料理に染まれないと思い、シナモン多めで頑張ります。ちなみにレシピ1から順に、シナモン比率は16%、17%、20%で、レシピ1が最もシナモン比率が少なめなのでレシピ1を採用することにします。

レシピ1は黒こしょう20 g、ナツメグ6 g、クローブ6 g、シナモン6 g

6 gを小さじ2杯としたら、
黒こしょう小さじ7杯、ナツメグ2杯、クローブ2杯、シナモン2杯です。
それを半分のバッチで作るとして、
黒こしょう小さじ3.5杯、ナツメグ1杯、クローブ1杯、シナモン1杯です。

あと、10商品を検証したときには白こしょうを使う商品が多かったので、計量しやすさを保ちながら白こしょうも加えたいです。よって黒こしょうの一部を白こしょうに置き換える形で、
黒こしょう小さじ2杯、白こしょう小さじ1.5杯、ナツメグ小さじ1杯、クローブ小さじ1杯、シナモン小さじ1杯です。

これなら作りやすいですね。スパイスはすべて粉末状のものを使うことが、きめ細かな粒子のキャトルエピスを作るコツです。

<自宅で作るキャトルエピスの組成>
黒こしょう小さじ3.5杯、ナツメグ1杯、クローブ1杯、シナモン1杯。
白こしょうをブレンドするときは、黒こしょう小さじ2杯、白こしょう小さじ1.5杯、ナツメグ小さじ1杯、クローブ小さじ1杯、シナモン小さじ1杯。

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本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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