公明グラフ(≫こちら)連載『世界で出会った笑顔と食』。2025年春季号は『アルジェリア』です。
かつて長期の旅でセウタ、モロッコ、メリリャからアフリカ大陸に入ったとき、西サハラを通り抜けることは大変でした。公共交通機関がないところのサハラ越えは、情報と準備が必要でした。でもいざ西サハラに行ってもそこにいるのが西サハラ人なのかモロッコ人なのか分からない。西サハラはモロッコ人の侵略地であり、住民と政府はアルジェリアに避難しているのだから。
当時は目の前で起こっていることを夫に教えてもらいながら必死に学びながら旅をしていた。ポリサリオ亡命政権のこと、避難先はアルジェリアのティンドゥフであること、緑の行進のこと、ダクラの南にある地雷地帯のこと。薬学部を出て薬剤師免許を持って薬学教育の仕事をし続けてきた私には、国際政治問題の基礎知識が足りない。だけど一生懸命勉強した。
そのときからポリサリオ亡命政権の地であるアルジェリアのティンドゥフは私が「行ってみたい、見てみたい」と渇望する世界指折りの地域になりました。それからは長年アンテナを張り続けました。西サハラ難民キャンプは旅行者には訪問許可が出ない地域ですが、元宗主国スペインの団体主催のイベントにゲスト参加する形で念願の訪問許可を得て、スペインのマドリッドからチャーター便に乗って現地入りしました。憧れ中の憧れの土地であるティンドゥフでは、訪問中はホームステイということもあり、いろいろな人が作ってくれた数々の料理を食べることができ、食文化やレシピの収集は膨大な成果となりました。
こんな、大きな夢を詰め込んだ旅の、笑顔と食の旅行記です。
* * *
今後もこの連載を通じて、世界を旅して出会った食にまつわる素敵な出来事をお伝えしていこうと思います。発行部数がとにかく多い全国区機関誌ゆえに、やりがいと不安と緊張と喜びのすべてを感じております。
皆様のお目にとまる機会がありましたら、どうぞ宜しくお願い致します。