デンマーク料理に、「Boller i karry」という肉団子のマイルドカレーソース料理があります。画像を見てみてください、黄色のソースが明るくて良さそうな料理ですね。
◆Google画像検索「Boller i karry」
マイルドでクリーミーで、ポークの旨味も強くて美味しいんですよ。
そこでレシピ化したページに日本語カタカナで料理名を記載するにあたり、「Boller i karry」の適切な日本語カタカナ表記について検討しました。
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◆Boller i karry(≫こちら)
0:01 ボライキャエー
◆Rosas boller i karry(≫こちら)
0:13 ボライカイ
1:51 ボロイカイェ
◆Boller i karry(≫こちら)
0:11 ボライカーエ
◆Boller i karry(≫こちら)
0:18 ボロイカイ
0:32 ボライカイ
◆Boller i Karry(≫こちら)
0:16 ボライカイ
◆Boller i Karry og Frikadeller(≫こちら)
0:07 ボライカイ
ここまでのところで圧倒的にボライカイが優位になりました。そしてデンマーク語で「Karry」を「カリー」と発音するケースは見つかりませんでした。デンマーク語の辞書を見ると「Karry」の発音記号は「ˈkʰɑːi」です。
「ˈkʰɑːi」はどこにもラ音がない。
これでもう、腑に落ちる答えが出ましたね。
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「日本語カタカナ表記」は世界中の料理名をカタカナで書く私にとっては常に難関です。そのとき、考えていることが4つあります。本物を確かめた上での、インプットとアウトプット、日本の慣習です。
1)現地の本物の発音を聞く。机上の空論はダメ。 [本物を確かめること]。
2)現地の発音を日本語カタカナでメモにするとき、その音をどうカタカナに化すべきかを考えて決める [インプット]。
3)そのカタカナ表記を、現地の発音を知らない日本人が現地で読みあげたとき、どういうカタカナ表記なら最も伝わりやすいかを考える [アウトプット]。
4つめとして考えていることはこれまでの日本の出版の慣習です。日本ではヴェトナムやヴェネツィアをベトナム・ベネチアと書く日本の通例を考慮し、ギリシャ料理Αυγολέμονοはそれに準じてアブゴレモノと表記したのが実例です。
よって、結論です。
<結論>
デンマーク料理「Boller i karry」の日本語カタカナ表記は「ボライカイ」。
ただしその料理がカレーであることを伝えたい場合はボライカイ(ボライカリー)のようにカリーの名称も付記してよい。
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ちなみに日本語の「ラリルレロ」は英語のRa Ri Ru Re RoやLa Li Lu Le Loとも音が違うし、フランス語でParisは「パリ」とは言わない。「R」の発音は言葉によってさまざま。だからデンマーク語でKarryを「カイ」と発音することについて、おかしいだなんて思わないで。いろんな音があるのは普通なのです。
私が料理を伝える相手は日本の方々ですが、このように、本物を確認して、インプットとアウトプットでみなさんが失敗しにくい表現を、日本の慣習も含めて検討するという膨大な作業を経てサイトを更新しています。
これからも語学の基礎学習も頑張っていき、最適な作業を丁寧に一つずつこなしていこうと思います。