下の写真は、左がナツメの実、右がナツメヤシの実です。
知らないと同じに見えるのが、ナツメの実とナツメヤシの実。
日本で使われる別の用語で表すと、
左が大棗(タイソウ)、右がデーツです。
ナツメの実を新鮮なうちに食べると、リンゴのような、リンゴにはイマイチ劣るようなリンゴ味がします。干したものは中がスカスカしてきます。写真は乾燥状態で売られているものです。
ナツメの実を干したものが大棗(タイソウ)で、日本薬局方収載の医薬品でもあります。甘味は激しいものを鎮め=緩和、体力や気力を補い、脾臓や胃腸など消化器系統の機能を整えます。滋養強壮剤に分類されます。また緩和剤として筋肉を鎮め、腹痛などにも使用されます。…その使い方は中医学的なものなので、私たちの身近なところでは葛根湯や六君子湯などに配合されています。
ナツメヤシの実(デーツ)は特にアラブ諸国で食べられているイメージが強いですね。砂漠のオアシスなどにもナツメヤシが生え、その実は糖分が豊富で、保存するとまるで砂糖漬けかはちみつ漬けになったようなベットリした甘さに包まれます。糖分が豊富でハイカロリーなので命をつなぐ食材として古代より非常に有益なものであり、今も数えきれないほどの品種が栽培されています。糖分が多くてねっとりとシロップに浸かったかのように保存されたものはうっとりするほど美味。またフレッシュなデーツは甘いのに爽やかで非常に美味です。
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ナツメの実と、ナツメヤシの実は、見ただけでは識別が難しいです。
私の自宅で、製品の保存状態が分かるようにパックも一緒に写したのが下の写真です。
ナツメの実は中国産で、ナツメヤシの実はサウジアラビア産です。
この日はたまたまナツメの実が乾燥状態で、ナツメヤシの実がねっとりした状態だったのですが、ねっとりしたナツメの実も、表面が乾いたナツメヤシの実もあります。
ただ、ナツメの実は東アジアで多く見かけるように思う。ナツメヤシの実は西アジアや北アフリカでよく見かけるように思う。そういう分布の違いもありますが、分布は重なりがあるので、もし両者が同時に陳列されていたら同じものに見えてしまいます。
でも、食べてみたら絶対に違いが分かる。リンゴ系の風味やその名残を感じたらナツメの実で、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などの甘みが強いとナツメヤシの実です。グルコースはスッと直球で舌に乗る優しい甘さ、フルクトースはベトっとした強い甘さです(※)。
※フルクトースは高温で甘さ受容度が低下するので常温での官能です。