素晴らしき和の減塩。「塩分0.5%の味覚」を作る(1)

2023/07/24

前回記事まで、『10日間減塩健康&幸せメニュー』を連載してきました。

コンセプト・計算方法DAY9~10・総括

地域の健康講座や食の講師をしていると、減塩が必要な方々と多く触れ合うことになります。でもよく言われる。「どうやって計算するの?」など。

私も家族も血圧は正常ですが、それでも「減塩調理の実践者にならないと減塩を語れない」と思ったのが、減塩健康&幸せメニューに取り組む動機でした。

しかし!

実際にやってみて痛感しました、減塩調理をすると和食が作れなくなっていく、ということを。そしてそれこそが、胃癌や脳血管疾患などの有病率が高い日本の悪しき現状です。

日本人の食塩平均摂取量は男性で11.0 g/日(平成30年国民健康・栄養調査(20歳以上))。日本人の食塩平均摂取目標量は、男性7.5 g/日未満、女性6.5 g/日未満(日本人の食事摂取基準2020年版)

でもね、地域の健康を作るのなら、和食で減塩を成功させるしかない

私は世界の料理研究家なので何十万点もの海外レシピを持っています。海外には塩分が少なくて美味しいレシピが満載です。でも基本が変えられない。普通のご家庭には和食を切り離した調理は指導できない。だから必要なのに減塩が実行できていない。

* * *

さて、減塩調理に手を出した私が初期にやったことは、「塩分が何パーセントなら薄くても美味しいか」の確認でした。2%塩水を作り、そこから希釈系列を作り、希釈系列どうしを混合して数段階濃度の食塩水を作る。そして味覚検証します。

そりゃあ人間、真水が飲めるし生野菜をかじれるんだから塩分ゼロで飲食はできるんですけれど、つゆものや汁ものに適した塩分下限の味わいとしては0.5%が良いと判断しました。これなら一般のご家庭にも広めていける。

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素晴らしき減塩方法は「塩分0.5%の味覚」を作ること

「塩分0.5%を作る」には、1つの手法として、塩分相当量が明記されている市販品を使うのが便利です。

そこで今回モニターで受領した商品、「だしプレッソ、つゆプレッソ」を使ってみました(≫株式会社マルハチ村松)。

つゆプレッソ

<問題>だしプレッソをX mLとつゆプレッソをY mL混ぜて塩分濃度0.5%のつゆを作りたい。XとYの配合比を求めよ。

  1. だしプレッソ(昆布):100mLあたり食塩相当量0.16 g
  2. つゆプレッソ:100mLあたり食塩相当量2.7 g

<解>
塩分濃度0.5%は、重量対容量ならNaCl 0.5 g/100 mLである。比重を1で近似すれば0.5 g/100 g。
だしプレッソX mL中の塩分量は、0.16÷100×X g
つゆプレッソY mL中の塩分量は、2.7÷100×Y g
塩分量合計は、0.16÷100×X+2.7÷100×Y g
液量合計は、X+Y mL
よって、(0.16÷100×X+2.7÷100×Y) g/(X+Y) mL=0.5 g/100 mLより、
0.5×(X+Y)=100×(0.16÷100×X+2.7÷100×Y)
0.5 X+0.5 Y=100×0.16÷100×X+100×2.7÷100×Y
0.5 X+0.5 Y=0.16 X+2.7 Y
0.34 X=2.2 Y
つまり、X:Y=2.2:0.34=6.6:1=66:10=100:15より、
X 100 mLにY 大さじ1を加えると塩分濃度が0.5%になる。<計算終了>

え!すごい分かりやすいんですけど♡
100 mLってめっちゃ計りやすいし、大さじ1もめっちゃ計りやすい。

つゆプレッソ

ということで、つゆの比重を1と仮定すれば、だしプレッソ100 mLにつゆプレッソを大さじ1杯混ぜると塩分濃度が0.5%になる。これを2人分とすると1人分は115÷2=57.5 mLで塩分濃度が0.5%=0.5 g/100 mLなので、
0.5÷100×57.5=0.28 g。
1人分として0.3 g弱の塩分を摂取することになる。

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たとえば我が家のある日のお昼ご飯。

健康と幸せ亭

三尺豆のペペロンチーノ、モロヘイヤのおひたし、生野菜、ドライフルーツ、ナッツ
エネルギー:626 kcal
塩分:1.6 g

どーです? 上に書いた日本人の食塩平均摂取量11.0 g/日、日本人の食塩平均摂取目標量7.5 g/日未満(いずれも男性)とすると、めちゃくちゃいい塩分量じゃないですか?

ポイントは、モロヘイヤのおひたしです。

おひたしのつゆ。混ぜました。

つゆプレッソ

こうやってかける。

つゆプレッソ

色も上品で素敵ですね!!
自然由来の香りがして素敵です。

つゆプレッソ

つゆが張ってあると味噌汁を作らなくて済みますから減塩の大敵を省けるポイントになります。

これが「つゆの価値」です。

だしプレッソ100 mLにつゆプレッソを大さじ1杯混ぜたものは、塩分濃度0.5%という素晴らしい減塩の味付けであり、これを等分すると1人あたり0.3 g弱の塩分量です。

* * *

なお、先日、この商品のオンラインだしつゆ教室に参加しました。参加とだしつゆ受領がセットなのです。

感想としては、開発企業側の職員が2名おり、技術面について解説してくださる方の解説が科学的根拠に基づいていて良かった。

<勉強になったことメモ>
食品関連法規現行においてかつおぶしにカビつけは必須ではない(※)。

※ただ、自分が思うこととして、そして食品科学研究者の父のセリフとしては、本当のかつおぶしはカビつけするものであるが。

節(ふし)とは焙乾(ばいかん)工程(煙でいぶす)を経る物。燻製香(+)
比較対象として、煮干しは焙乾工程を経ないので燻製香(-)
ということは、「節」と書かれることの定義は煙である。
流通の9割が荒節、残り1割は枯節(かれぶし)。枯節(かれぶし)がカビつけした(狭義の)かつおぶしである。

とまあ、口で話すだけで進むものは手でメモしきれないのですが、このように勉強させていただきました。

あと、今回のつゆプレッソの栄養成分表示上は、1)つゆ100 mLあたり塩分2.7 gなのですけれどオンライン教室では、2)100 gあたり2.5 gとも仰っていて、そうすると1)より塩化ナトリウム2.5 g分の体積は100 mLより小さくなり、つゆ100 gの体積が100 mLより小さいならつゆプレッソの理論上の比重は2.7/2.5=1.08ということも分かりました。でもまあ、飲酒量計算でも減塩計算でも一般消費者に比重まで計算させようとすると誰も何もできなくなってしまうので私は一般向け指導では比重については口を挟みませんが、でも自分は勉強になりました。

勉強になる機会として、感謝しています。
とても良い解説をありがとうございました。

* * *

今回はモニター商品を昼食展開例として使用し、
素晴らしき和の減塩。
「塩分0.5%の味覚」を作る

ことの良さについて記載しました。

特に今回感激した、「100 mLと大さじ1を量るだけで作れる、塩分量0.3 gの健康的で美味しいかけつゆ」が作れるようになったのは家族も喜ぶメリットでした。

つゆプレッソ

これも、香料を使わずに美味しさを作り出した企業開発の努力と思います。私も、食と医療が得意で語る場があるので、科学的根拠に基づいて安心して使える美味しい商品と出会えて嬉しいです。

次回記事で、もう1回この続きを執筆いたします。次は夕食展開例です♪

※本記事は(1)「株式会社マルハチ村松×フーディストパーク」」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)「つゆプレッソ」及び「だしプレッソ」をモニター受領したことに基づき執筆するものです。



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