アクアパッツァの意味、由来、定義が分かった

2022/01/27

アクアパッツァというイタリア料理があります。

アクアパッツァ

その語源は諸説あるのかな? だけどネットで日本語で書かれている解説は、なんとなーく、何かのコピペであって検証がされていないものばかりのように見受けられます。そこで今回、出典記載のある英語文章を読んで、自分なりに確認してみたいと思いました。今日はその検証の過程と翻訳と結果を記載します。

【アクアパッツァの定義】
アクアパッツァは魚の種類は問わず、新鮮な魚を水、塩、トマト、オリーブオイルで水分多めにソテーし、煮汁がトマトで赤く色づくようにした料理である。その由来はワインの搾りかすなどを煮て作る「謎の液体」(=クレイジーウォーター=きちがいの水=アクアパッツァ)を思い出すような色合いであることによる。

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英語Wikipedia「Acqua pazza」(≫こちら
While the dish originated from fishermen of the Neapolitan area, who would sautée the catch of the day in seawater together with tomatoes and extra virgin olive oil,
この料理はナポリ地域の漁師たちに由来する。彼らはその日獲れた魚を、海水、トマト、オリーブオイルでソテーするような料理を作っていました。

the term itself most likely originated from Tuscany;
「アクアパッツァ」の名前はおそらくトスカーナ(※)地方に由来する。

※トスカーナはフィレンツェやピサ(斜塔で知られる)がある地方で、ブドウ園が多い。

Mezzadria
メッザドリア(※)。

※メッザドリアはイタリアにみならず世界各地で広く採用されていた農業労働システムで、農地を持つ地主の土地を使って、土地を持たない農民が働くこと。地主に作物等をどう納めるかは様々な契約形態があった。

peasants would make wine, but had to give most to the landlord, leaving little left for them to drink.
そのようなメッザドリア制度のもと、農民(小作人)はワインを作っていたが、地主にほとんどを提出しなければならず、自分たちが飲む分はほとんど残らなかった。

The peasants were resourceful, however,
しかし農民は機転を利かせた。

and mixed the stems, seeds, and pomace left over from the wine production with large quantities of water, brought it to a boil, then hermetically sealed in a terracotta vase and fermented it for several days.
ワインを作ったあとに残るブドウの茎、ブドウの種子、ブドウの皮(搾りかす)を水に入れて沸騰させ、素焼き(※植木鉢のような素材)の器に入れてフタをし、数日間発酵させた。

Called l’acquarello or l’acqua pazza,
ワインを作ったあとの捨てる部分を煮て発酵させた液体は、「アクアレッロ」(l’acquarello、※)または「アクアパッツァ」(l’acquapazza、※)と呼ばれた。

※アクアレッロは水彩画とも訳され、塗料がついた筆を洗った水を表すし、今ではブドウカスから作る軽いスパークリングワインをも意味する。「アクアパッツァ」は英語で「クレイジーウォーター」なので日本語直訳では「きちがいの水」だ。

the result was a water barely colored with wine,
出来上がった液体は、かすかにワイン色を帯びた水だった。

which the fisherman may have been reminded of when seeing the broth of the dish, colored slightly red by the tomatoes and oil.
漁師は、獲った魚を海水、トマト、オリーブオイルでソテーすると、その煮汁はトマトと油でほのかに赤く染まっているので、農民(小作人)がこしらえた謎の水(きちがいの水=クレイジーウォーター=アクアパッツァ)を思い出すのだろう。

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おおー!良く分かった!!!

すなわちですね、

アクアパッツァは、魚をオリーブオイルとトマトと塩水で調理したときに得られる、ほのかに赤い色をしている煮汁を意味するのです。あのとき小作人がこさえた「謎のワインかす発酵液」=「クレイジーウォーター」のような色を彷彿とする、ほのかな赤い色をしている煮汁を指すのです。

こうなると、ようやく「アクアパッツァの定義」が見えてきます。

【アクアパッツァの定義】
アクアパッツァは魚の種類は問わず、新鮮な魚を水、塩、トマト、オリーブオイルで水分多めにソテーし、煮汁がトマトで赤く色づくようにした料理である。その由来はワインの搾りかすなどを煮て作る「謎の液体」(=クレイジーウォーター=きちがいの水=アクアパッツァ)を思い出すような色合いであることによる。

アクアパッツァ

魚から出る旨味とトマトの旨味で勝負する料理です。是非、お刺身クオリティーの鮮魚を使い、夏から秋の完熟トマトを使い、作ってみてください。レシピは、≫こちら



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