<スパイスアンバサダー2021>
スパイスアンバサダーの11月の活動テーマは、「食卓で旅気分!楽しさ広がる、世界のパーティーメニュー米州(※)編」です。米州じゅうを実際に旅した私は、このテーマに意欲的に取り組みたいと思います。
※企画元の表現は「アメリカ大陸編」として北中米南米を記していましたが、当サイトでは世界を五大州で分類するときには「米州」の用語を使います。学術的に適切だというのが最も大きな理由です(アメリカという表現には揺らぎがあるため)。また中米は中米カリブを意図するものと汲み取った上で企画を実行しています。
そしてテーマにぴったりだと思い描いたのは、料理から世界の風習と文化を学ぶ良さをもたらす
世界の行事料理
です。新年や独立記念日や祝事など、その国の尊重すべき文化を代表する料理をセレクトして、真摯にこのテーマに取り組みたいと思い、5回連載で「スパイスを使う世界の行事料理~米州編」を掲載しています。
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<スパイスを使う世界の行事料理の選別コンセプト>
スパイスを使った世界の行事料理とそのレシピを紹介します。5か国を選ぶコンセプトは以下の通りです。
- 米州57か国を俯瞰してその国にどんな料理があるかを検証し、私がその国でその料理を実食した本物の料理を重視する。
- パーティー料理をより正式化し、人の集まりを正式に伴う行事料理とした。
- 課題が「スパイスを使った料理」なので、飲み物やデザートを作らない。食事の料理を作る
- 米州を均等に5分割したいので、北米、中米、カリブ、南米北、南米南とし、それぞれから1料理ずつ選定する。よって全体を通して(5回内)国は重複しない。
- 本物重視。スパイスを使った我流アレンジ料理にはしない。スパイスを使うその国の食とする。
- 主催者選定スパイス17種類のうち最低1つを使用する。そのメインスパイスは5回連載で重複せず、5回連載で主催者選定スパイスを5種類以上使うことになる。
・・・と、このような壮大な検証を経て(ここに最も時間がかかったけれど楽しかった)、5レシピを選定しました。
世界の料理って本当に素敵です。
なぜなら料理は文化の縮図です。
しかも日本人が日本で外国の正当な伝統料理を味わうことで、日本料理にはない新しいアイディアが加わり、食の幅が広がり、暮らしの楽しみが広がります。それを伝えることを私の楽しみとして、5回連載でスパイスを使う世界の行事料理を紹介しています。
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【第4回】南米(北)編、エクアドル料理「ファネスカ」
ファネスカはエクアドルの四旬節の料理です。四旬節とは、カトリックキリスト教において、復活祭の46日前の水曜日から復活祭の前日までの期間を指します。12使徒(イエスの福音を伝える12人の高位の弟子たち)に見立てた12種類の穀物・豆類が入っていて、豆類をすべて個別に煮て、すべての種類の豆類を最適なほくほく状にしてから、塩タラと共にミルク&スパイス煮にする、手間はかかるが至極美味なるスープです。
材料(10~15人分):
- 穀物・豆類12種類(※1)
- 各100 mL(※1)
- 塩漬けのタラ(※2)
- 150~200 g
- カボチャ
- 500 g(※3)
- 牛乳
- 800 mL
- キャベツ
- 100 g
- 玉ねぎ
- 大1個
- にんにく
- 3かけ
- ピーマン
- 3個
- バター
- 50 g
- アチョーテ(※4)
- 小1
- クミンパウダー
- 大1
- 乾燥オレガノ
- 大1/2
- こしょう
- 小2
- 塩
- 大1
- 無糖ピーナッツバター
- 大1
- ピザ用チーズ(※5)
- 50 g
- 生クリーム
- 50 mL
- パクチー
- 刻んで大3
- トッピングの具材
- 下欄参照(※6)
※1:今回私が使った穀物・豆類12種は、1)とうもろこし(固形分110 gの缶詰使用)、2)緑豆、3)フリホレスネグロス(キューバ料理で有名な黒豆)、4)米、5)黄エンドウマメ、6)グリーンピース(生の冷凍)、7)三尺豆、8)ファスーリャ(白豆)、9)ヒヨコマメ、10)レンズマメ、11)ソラマメ、12)小豆、です。計量はとうもろこし缶以外は乾燥状態で体積を量っています。
※2:塩漬けのタラは、現地の干しタラとの代用で、数日前にタラの切り身を購入して塩をきつくふって冷蔵庫に数日置いたもの(あるいはその冷凍)を使っています。
※3:カボチャ500 gは小1個分です。大きなカボチャを使う場合は部分的に使います。
※4:アチョーテはベニノキの実で、フィリピン料理食材店ではアツエテとして売られているもので、油に赤い色をつけるために加えます。ない場合は食紅やパプリカパウダーなどで気持ち赤い色を足すとよいです。
※5:ピザ用チーズはクリームチーズでもよいです。
※6:トッピングには、トッピングには、エンパナーダ(揚げ餃子風)、ミニミニドーナツ(揚げパン風)、揚げバナナ、赤パプリカ、パセリやパクチーの葉、フレッシュチーズ、玉ねぎピクルス、ゆで卵のスライス、アボカドスライスなどから幾つかを乗せます。トッピングを乗せずに食べることもあるので準備は任意です。写真では揚げバナナ、赤パプリカ、パクチーの葉、モッツァレラチーズ、アボカドを乗せています。
作業工程:4 時間 30 分(豆や米や塩タラの浸水時間を除く)
- <前日(または前々日)>乾燥状態の豆と、米と、塩漬けのタラを、1種類ずつ異なる器に入れ、水を入れて1晩水に浸けておく。
- <当日(または前日)>乾燥状態の豆と米を1種類ずつフタができる鍋に入れ、フタをしてゆで(吹きこぼれしやすい鍋の場合はフタを少しずらす)、完全に火が通って完璧にほくほくになるまでゆでる。
- <当日>カボチャのワタと種を取って皮をむき、3 cm角くらいに切ってフタができる鍋に入れ、カボチャの半分の高さほどの水を入れて強火にかけ、沸騰したらフタをして弱火にして蒸し煮にし、完全にほくほくになるまでゆでる。
- タラを水から取り出し(のちに煮汁が足りないときに漬け汁が使えるので、念のため漬け汁は捨てない)、小鍋に入れ、牛乳少々(100~200 mLくらい、あるいはタラが浸る量)入れてフタをして中火にかけ、沸騰したら弱火にして10分ほど煮て、火からおろしておく。
- 鍋に少々(1 Cくらい)の湯を沸かし、キャベツをみじん切りにし、沸騰したらキャベツを入れ、火が通ってやわらかくなったらザルにあげておく。
- 玉ねぎ、にんにく、ピーマンをみじん切りにする。
- 大鍋にバターとアチョーテを入れて中火にかけ、混ぜながらアチョーテから赤い色を引き出す。
- バターが赤くなったら玉ねぎ、にんにく、ピーマンを入れ、クミン、オレガノ、こしょう、塩を加え、混ぜながら、柔らかくなるまで炒める。
- 残りの牛乳とゆでた豆類(ゆで汁は除く)を入れ、ヘラで鍋底をひっかくようにこまめに混ぜる。
- 牛乳が温まったらとうもろこし缶の中身とゆでた米(ゆで汁は除く)を入れ、同様に混ぜる。
- 無糖ピーナッツバターを入れて均一に混ぜる。
- タラを牛乳ごと加え、ピザ用チーズ、生クリームを入れ、均一に混ぜる。
- パクチーをみじん切りにして加え、均一に混ぜる。
- 味見をして、塩加減やスパイス加減や牛乳の濃さなどを好みに調えて出来上がり。
- 好みでトッピングを自由に乗せて、サーヴする。
- Enjoy!
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エクアドルの首都をご存じでしょうか? キトは赤道帯に位置するも標高が2800 mで、一年中春の気候であることから、「常春の首都、キト」と呼ばれています。スペイン人入植者はキトを繁栄させ、そして、先住民の伝統(おそらくはウチュマンカという料理)とスペイン文化を融合させて、ファネスカという重要文化が形成されました。12使徒(イエスの福音を伝える12人の高位の弟子たち)に見立てた12種類の穀物・豆類が入っています。表面のすぐ下まで豆類がぎっしり入った豆類によりお腹にしっかりとたまり、クミンパウダーが結構入るので、その味わいはまるで美味しい美味しいミルクカレーです。トッピングもさまざまで楽しい。
何より、「その時期、国じゅうのみんながいっせいに食べる料理」という、素晴らしい料理を日本でも食べられるのは、とても嬉しい・・・。
「その国の行事料理を、作ってみませんか」
人の集まりに適した料理です。この料理を囲って美味しくわいわい食べるのも素敵です。さらに、1つの料理を囲って世界の地理や歴史や政治の学びになるようなアカデミックな会話もとっても素敵。その国でみんなが作っている料理は作り方も簡単です。そして食の幅が広がれば、食の偏りも解消できるし、栄養バランスは一層高まることが期待できますね。これからも、その楽しさと美味しさが詰まったレシピを厳選し、スパイスを使う世界の行事料理、米州編を掲載していきます。どうぞ次回もご期待ください。よろしくお願いします。
【第1回】北米編
~米国料理、ホッピンジョン
【第2回】中米編
~グアテマラ料理、フィアンブレ
【第3回】カリブ編
~アンティグアバーブーダ料理、ドゥカナ
【第4回】南米北編
~エクアドル料理、ファネスカ
【第5回】南米南編
~***料理、***
※本記事は(1)「ハウス食品×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)スパイスをモニター提供されたことに基づき執筆するものです。
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