私は常々「最も食事で気をつけるべき栄養素はカルシウムである」と思っています。日本人には塩分過剰も問題なのだけど、カルシウム摂取を意識して乳製品を多く摂れば自動的に塩分摂取量は減るだろう(∵醤油や味噌の使用量が減るから)。しかしカルシウムは自分が摂りにいかないと体に入ってこない。現実的には乳製品を日常的に摂取する習慣をつけないと安定した高カルシウムは期待できないでしょう。私は、自分や家族が将来の骨粗鬆症や入れ歯などで困らないよう、世界のヨーグルトレシピを暮らしに密着させる努力をしています。
<カルシウムの栄養学的不足量>
ヨーグルトには100 g当たり109 mgものカルシウムが含まれています。私が着目しているのはこのようなヨーグルトの高カルシウム性です。
以下に、日本人が摂るべきカルシウム量と現実摂っているカルシウム量の最新データをまとめました(※)
※出典:厚生労働省・国民健康栄養調査(≫こちら)、厚生労働省・日本人の食事摂取基準(≫こちら)
認識してほしいのは、日本人はおそろしいくらいカルシウムが足りないということ。例えば図中赤線➀の場合、健康でいるための推奨量に対し、現状の日本人の平均的な食生活では毎日200 mg以上のカルシウムが足りない。図中赤線➁の場合、カルシウム不足1年間継続するとカルシウムが100 g以上足りない。
どのくらい足りないかと言うと、体重50 kgのヒトの2%を体内総カルシウムと見積もると1000 gで、毎年100 g喪失すると10年で枯渇する計算です。もちろん栄養素の出納はこのような計算通りにはいかない(例えば腎排泄量が低下するなどの代償機構が働きうる)のだけど、日本人のカルシウム摂取状況がまずいことにあるのは誰も異論ないはず。
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ムツバディはジョージア(グルジア)の名物料理の、肉の串焼きです。現地のマツォーニ(ヨーグルト)はこういう料理の下味にも繁用されています。ヨーグルト&酢の下ごしらえなので、お肉が美味しい! お肉をヨーグルトでマリネするのはインドのタンドーリチキンが有名ですが、このムツバディのように、カレー風味のスパイスを使わなくても、ヨーグルトマリネは大成功です。
お庭や室内で、アウトドアで。こうして焼く肉って美味しいよね。
ヨーグルトによりお肉が柔らかくなるのは周知の事項ですし、矯味、矯臭の効果があって、すなわちお肉自体の味も香りもよくなります。そしてそれが健康料理となると、一層嬉しく思います。
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私はこれからもカルシウムは自分が摂りにいかないと体に入ってこないと心得て、自分や家族が将来の骨粗鬆症や入れ歯などで困らないよう、骨と歯を健やかに、何よりも美味しくて楽しいレシピを食卓に。これからも世界のヨーグルトレシピを暮らしに密着させる努力を頑張ろうと思います。