ハイチ料理ソスティマリスは、トマトベースの唐辛子入りホットソースです。でも、「ソス」がソースだとしても、「ティマリス」が何を意味するのかが最初は分かりませんでした。でも検索をしていったら物語と歴史に由来することが分かったので、まとめます。
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◆フランス語Wikipedia「Bouqui et Malice」(≫こちら)
タイトルは「ブキとマリス」。
ハイチの公用語はフランス語であり、ハイチ料理のこのソースに登場する「マリス」についてはフランス語Wikipediaに書かれていました。
- ブキとティマリスは、ハイチの伝統的で人気のある物語において、切り離せすことのできない人物です。(Bouki et Ti Malice sont les deux inséparables personnages des contes traditionnels et populaires d’Haïti.)
- ブキとマリスの起源はアフリカの口頭伝承にあり、セネガルとその近隣諸国において2人は動物として登場します。(Bouqui et Malice tirent leur origine des traditions orales africaines. Au Sénégal et dans les pays voisins, ces deux personnages apparaissent sous une forme animalière.)
- ハイチの作家であるアリベ・フェリーは、ブキとマリスの物語を出版しました。(L’écrivain haïtien Alibée Féry fut le premier à publier les contes et récits de Bouqui et Malice.)
- マリスは「ティ・マリス」とも呼ばれ、周囲の人々やブキおじさんに対して常に悪魔のような計画を立てます。(Malice, appelé également « Ti Malice », toujours prêt à jouer des tours à son entourage. Il concocte des projets diaboliques vis-à-vis des autres et de son oncle Bouqui. )
◆Sauce Ti Malice, a hot sauce|Tchakayiti(≫こちら)
タイトルは「ソスティマリス、辛いソース」。
ハイチ生まれハイチ育ちのフードブロガー/フォトグラファーの女性が、「レシピの説明の前に、レシピにまつわる伝説をお話ししておかなければなりません。」(Before we dive into the recipe, I must share the legend that surrounds it.)と、ソスティマリスのレシピと来歴を記載しています。
- 毎朝タソ(焼肉)を食べていたティマリスは、いつもその肉を食べに来るブキにうんざり。そこである日、ティマリスは唐辛子の力で彼の行為を阻止しようと、辛い唐辛子を加えた辛いソースを作って肉にたっぷりとかけた。しかし結果は逆効果だった。辛い唐辛子ソースがかかった肉を食べて幸せいっぱいのブキは喜んで街へ出て、人々にティマリスソースを是非食べに行くよう言った。そしてソスティマリスは広く人気を博しましたとさ。(Ti Malice, who ate grilled “tassot” every morning, got tired of Bouki always showing up to have his own plate. He thus decided, one day, to add some piman zwazo to the sauce and generously drizzle it over the meat, hoping that the hot peppers would deter his intruder. The sauce, however had the reverse effect. Instead, a happy Bouki rushed to town to invite others to try the sauce Ti Malice. And that is how the sauce Ti Malice gained popularity.)
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ブキとマリスの物語は、ハイチでは奴隷時代からの伝承にあり、古くから出版され、ブードゥー音楽として演奏され、レコーディングもされています。
書籍(ハイチ語)は「Chak Malis gen Bouki pa I」(原作Paula Clermont Péan)(≫こちら)、日本語訳は「グッドボーイバッドボーイ」。
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