ロシア東部、いわゆるシベリアを旅すると、スーパーや商店で、日本にもありそうな山菜が売られていて嬉しくなりました。
写真の値札にはロシア語で「サラトイズパポロトニカ」(Салат из папоротника)、つまり「パポロトニクのサラダ」と書いてあります。何ヶ所かで何回か食べて、いずれもあっさりした塩味で、美味しいものでした。
お肉と一緒に美味しい炒め物になって出てきたのも美味しかった(冷菜なのでこれもサラダとしてメニューに載っていました)。
パポロトニクのサラダを食べたときは「わらびだねー、美味しいねー」と言いながら食べていたのですが、でも後になってから「ひょっとしてぜんまいっていう可能性はない?」と疑問に。・・・私は毎年春に自生わらびを採って食べているのですがぜんまいはあまり経験がありません。こごみはもっと太くて歯ごたえも強いので除外できるのですけれど、ぜんまいではないという自信がもてなくて不安が生じました。よって、ロシアのパポロトニクはわらびかぜんまいかを検証したいと思い、本記事ではその検証の過程と結論を記載します。
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◆1)ロシア語Wikipedia「Папоротниковидные」(≫こちら)
ロシア語Wikipedia「Папоротник」から自動ジャンプして表示されるページです。シダ類の総称のように書かれています。うーん、総称じゃあ、広いよなぁ~、もっと狭めていきたいな~。
また、「食用になるのは、Pteridium aquilinum、Matteuccia struthiopteris、Osmunda cinnamomeaなどです」と書かれていました(Пищевое применение имеют такие виды, как Орляк обыкновенный (Pteridium aquilinum), Страусник обыкновенный (Matteuccia struthiopteris), Осмунда коричная (Osmunda cinnamomea) и другие.)。それぞれ、わらび、こごみ、ぜんまいを指します。
◆2)ロシア料理写真の検証
こごみは茎が太くて短い。
ぜんまいはくるくる巻きにワタがつく。
↓わらびは細いしワタがつかない。頭部が小さい。
ロシア料理の写真を見ると、細くて頭が小さくて、わらびにしか見えない。ぬめっとした食感もわらびでしたし。
◆3)Салат из папоротника “Дальневосточная фантазия”(≫こちら)
「サラトイズパポロトニカ」(Салат из папоротника)のロシア語のレシピです。
まず、写真がわらび。決定的に、塩漬けを水にさらして毒抜きをする工程が記載されており、これはわらびの発がん性成分であるプタキロシドの除去方法に一致しました!! よって、普通に「サラトイズパポロトニカ」(Салат из папоротника、パポロトニクのサラダ)と表記する場合は、わらびを使うのが一般的であるように思いました。そしてそれは、現地で何度も見かけている「サラトイズパポロトニカ」(Салат из папоротника)がすべてわらびと判断できるものだったことと矛盾しません。
◆4)ロシア語Wikipedia「Папоротниковидные」(≫こちら)
わらび(Pteridium aquilinum)に「オルリャク」(Орляк)の名が付されています。これをもとにGoogle検索をすると、わらびのサラダのレシピにはよく「パポロトニックオルリャク」(Папоротник орляк)と記載されていることが分かりました。
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ロシアの特に東部でよく見る「サラトイズパポロトニカ」(Салат из папоротника)の主要材料は「パポロトニク」(Папоротник)であり、一般にはわらびのサラダである。ただし「パポロトニク」(Папоротник)はシダ類全般を含む名称であり、日本でよく知られるところではぜんまいやこごみも含むため、それらを除外してわらびを示す場合には「パポロトニックオルリャク」(Папоротник орляк)という名称が用いられる。つまり、「パポロトニク」(Папоротник)は広義にはわらび、ぜんまい、こごみ類であり、狭義にはわらびである。
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ロシアのわらびのサラダで最も感激したのは、ゴルノアルタイスクで食べたこれ。
ゆで肉を刻んだものを少々加えて、塩味で油炒めにし、冷菜にしたものです。夫も気に入ってくれたので、日本でもよく作っています。4月の醍醐味ですね♡