モンゴルのアルバインゴリルは大麦粉。日本でははったい粉が身近です。

2019/12/12

◆Youtube「Банштай цай – Goodmom」(≫こちら
モンゴル料理の動画を見ていたら、「Арвайн гурил」という見知らぬ材料を入れていた。

アルバインゴリル

キリル文字を見る機会はロシア語が多いこともあって、ついロシア語読みで、「Арвайн」はアルバイン、「гурил」はグリルと読める。

料理の動画に「グリル」が出てくるのは当然だからついスルーしちゃいそうだけど、モンゴル語では「гурил」はグリルではないのでちょっと注意が必要です。

なぜなら、モンゴル語には、似た文字だけど異なる音で「у」と「ү」があるのです

有名モンゴル料理名を3つ並べてみる。
それだけで違いは分かりやすい。

  • ボーズ:「бууз」(シュウマイ)
  • スーテイツァイ:「сүүтэй цай」(ミルクティー)
  • ホーショール:「хуушуур」(具入り薄揚げパン)

つまり、「у」が「オ」で「ү」が「ウ」

次に「у」のモンゴル語とロシア語を並べてみる。

  • ブーザ:「бууза」(ロシアのシュウマイ)
  • ボーズ:「бууз」(モンゴルのシュウマイ)

つまり、「у」はロシア語で「ウ」でもモンゴル語で「オ」になることです。

ということで、「Арвайн гурил」はモンゴル語では「アルバインゴリル」と読みます。そして「гурил」(ゴリル)は小麦粉などの粉類を指す用語です。

ゴリルタイシュル(гурилтай шөл)という料理も有名なので、知っている人は「гурил」(ゴリル)は小麦粉と聞けば「ああ、あれ」と思える人もいるだろう。だけど、モンゴル料理をある程度知っていても単にゴリルと言われるだけではピンと来ない人もいるのではないかと思う。しかもロシア語を知っているがために「гурил」をグリルと間違えて読んでしまったら、誤訳だらけになることでしょう。

* * *

今回、他のモンゴル料理の作り方探していた折り、バンシュタイツァイ(банштай цай)の動画を見つけました。折角なので見てみようと思ったら、材料に「Арвайн гурил」を加えていて、でも私はそれが初耳で何のことだか分かりませんでした。

アルバインゴリル

真っ白ではない、やや色がついた粉。

Google翻訳
「Арвайн гурил」=Barley flour=大麦粉

大麦の粉。
小麦ではない。
あれ? そもそも大麦と小麦の違いは?

小麦と大麦|木下製粉株式会社(≫こちら

アルバインゴリル

結論を先に言うと、(大麦と小麦の)名前は粒の大きさには関係ないようです。」と記載されています。

画像中写真の右2種が小麦で左が大麦なので、このページには「むしろ粒の状態では小麦の方が大きいくらいです。」とも記述があります。

英語ではsmall wheatやbig wheatなどとは呼びません。小麦はwheat(ウィート)、大麦はbarley(バーレー)で、大小関係を述べません。大麦の中に、はだか麦やビール用麦などが含まれますが、私は麦の種類を詳しくは知らないので、今後勉強しなくてはならない課題と致します。

日本では、「大麦粉」として大麦の粉が市販されています。でも流通量は少ないようで、私は近所のスーパーで「大麦粉」という商品を見た記憶がありません。しかし「はったい粉」なら売っています。はったい粉は大麦を粉にしたものなので、これも大麦粉のひとつとして捉えてよいはずです。

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【結論】
レシピに「Арвайн гурил」(アルバインゴリル)が出てくるモンゴル料理を作りたい場合、大麦粉を使う。日本で手に入りやすい大麦粉ははったい粉である。なおモンゴル人友人に小麦粉ではどうかと尋ねたら、それでもよいという回答だった。

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なお、ホームステイをしていたゲル住まいの家では、料理には全粒粉を使っていました。

モンゴル人と一緒にモンゴル料理を作った、モンゴルのホームステイの思い出。

モンゴル

大麦とは何なのか、小麦とは何なのか、イネ科植物学上の位置づけとは、麦類の中の位置づけとは・・・。料理好きでも、麦の種類まではなかなか分からないものですよね。

だから、モンゴル人と粉をこねていても、麦の種類までは突き止める発想すらなかった。「全粒粉」と言われたら「全粒粉」とメモして終わりだった。それが何の粒?何の全粒?そういう疑問を持てなかったのは、麦分類がよく分かっておらず、関心がなかったからだ。

世界の料理を知りたい人が、そんなんじゃだめだよね。だから、遅れてでも、少しずつ、当時は分からなかったものが分かるようになりたい。そうなるように、私はこれからも勉強を続けていきたいと思うし、そういう勉強ができる今を幸せに感じています。



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