この写真はモルディブ料理の魚肉入りすまし汁です。名前は、「ガルディア」か、「ガルディヤ」か。
今日の記事の結論は、
【結論】
モルディブ国民食の魚肉入りすまし汁の名前は、ガルディアではなくガルディヤ。
* * *
「ガルディア」と「ガルディヤ」って、つい、同じに聞こえませんか? 実際上の料理を食べ、現地の人の発音を聞き取った私のメモにはガルディアと書いてあります。
「ディア」がつく言葉。
報道メディア、北米の地名アカディア、ギリシャの地名アルカディア。
と並べていくと、日本人の耳と経験にはディヤよりもディアが染みついているのでしょうか。
なお、現時点のGoogle検索で、
「モルディブ ガルディヤ」:約200件
「モルディブ ガルディア」:約1500件。
日本語では、やっぱりディヤよりもディアがなじんでいるのでしょう。だからキーに「ガルディア」とたたいてしまうのではないでしょうか。
でもね、
結論から言うと、ガルディヤが正しいのだということが今回の検証で分かりました。今回はその結論に至るまでに検討した経過を記事にします。
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◆現地の看板で見るディベヒ語の綴り
現地の看板です。右側の文字、すごいですよね。ディベヒ語の文字はターナ文字と言うそうです。
どれだけマイナー言語かと思うような、モルディブを旅しない限り、滅多に直視しない、斜めの文字。
現地の新聞や看板では、例えば「ގަރުދިޔަ އަކީ ޒަމާނުއްސުރެ ދިވެހިންގެ ތެރޭގައި ކައްކާ ކައިއުޅެ ލައިގެންކާ އެއްޗެކެވެ」のように、この斜めの文字と上のチョンチョン記号がずらりと並びます、ある意味壮観です!
あった!!上から3つめが魚のすまし汁!!
看板写真を拡大すると、
◆Wikipedia英語版「Garudiya」(≫こちら)
「Garudiya or Garudhiya (ގަރުދިޔަ) 」
うん。上の現地の看板写真と一致していますね。英語アルファベット表記でも最後を「ya」(ヤ)と書いていますね。
それならば、あとは文字表記の検証です。
◆Thaana script|Omniglot(≫こちら)
「Omniglot」はイギリス人が運営する書記体系と言語のオンライン百科事典です。このターナ文字一覧をもとに、音価を検証していきます。
右から読むので、順に、
ގަ
ރު
ދި
ޔަ
これを子音だけ取り出して、順に、
ގ-音価は「g」
ރ-音価は「r」
ދ-音価は「dh」
ޔ-音価は「y」
次に母音だけ取り出して、順に、
ަ(上にノ)-音価は「a」
ު(上にフ)-音価は「u」
ި(下にノ)-音価は「i」
ަ(上にノ)-音価は「a」
子音と母音を合体させ、順に、
ya dhi ru ga
これを右から読んで、ガルディヤになった。
アなら「އަ」になるはずだ。
「ޔަ」だからヤでいいんだ。
なお、英語アルファベット表記としての「Garudiya」は好ましくなく、好ましいのは「Garudhiya」だと思う。子音の「ދ」は「dh」であり、「ޑ」が「d」である。◆Wikiboyage「Dhivehi_phrasebook」(≫こちら)の解説では、「ދ」(dh)はインド料理のダール(豆ポタージュ)のように息を吐きながらdを発生することを示しており、「ޑ」(d)はデイ(day)など普通のdの発音を示している。日本語ではどちらも同じカタカナ表記になる。
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【結論】
モルディブ国民食の魚肉入りすまし汁の名前は、「ガルディア」ではなく「ガルディヤ」。英語アルファベット表記は「Garudiya」ではなく「Garudhiya」。
レシピは≫こちら♪