ポルトガル料理

[last update 2016/06/29]

+++新着+++
・ポルトガル人友人に(いっぱいだと教えてって言いにくいので)少しずつ発音確認して、本文改善しています。


基礎情報ポルトガル共和国Portuguese Republic、首都リスボン、ISO3166-1国コードPT/PRT、独立国、公用語ポルトガル語、ミランダ語、通貨ユーロ

◆名物は干しダラ料理各種、食材豊かな南欧の国

イベリア半島西部にあるポルトガルは、西と南は海に面し、北と東はスペインに接しています。

ポルトガル料理はイベリア半島の小さな一つの地域料理。スペインが、イベリア半島の多数の地域や民族を擁し、料理もモザイクになっているのに比較して、ポルトガルは民族差も言語差も地域差も小さい。だからスペインに比べると、料理も随分単一に見えるものです。ポルトガルには、海あり山あり、肉も魚もあり、暖かい気候が育む作物に恵まれた料理が受け継がれています。

日本では、天ぷら、カステラ、コンペイトウの国・・・、という印象で知られてますが、ポルトガル料理とは、どのようなものなのでしょう?

かつて、大航海時代に、スペインと共に世界を二分したのはポルトガルです。南米のブラジル、アフリカのカーボベルデやアンゴラインド西岸部、東チモールなど、世界にはポルトガルの元植民地が点在しています。特にインドや東チモール方面へは、香辛料を求めての航海でした。しかしバスコダガマが1497年に持ち帰った香辛料は、イベリア半島では定着せず、ポルトガル料理でもあまり使われていません。だからポルトガル料理はあまりスパイシーではなく、辛くもなく、素材の味が口の中に広がるのです。

ポルトガルって、どこか雰囲気が暗い印象がありませんか? スペインに光を取られた、影のような。実際にかつては世界をスペインと二分した覇者でありながら、その後、一時は国を失ったほど衰退したのもポルトガルです。国力の差から、お隣のスペインに比べて素朴な感じは残っていて、それが料理にも表れています。

地理的に海産物に恵まれるため、伝統的に、ペイシュ(魚)、貝類、ポルボ(タコ)やルーラ(イカ)がよく食べられます。タコを食べる国はヨーロッパでも少数派ですね。また、肉類もよく消費され、豚、牛、鶏肉はもとより、うさぎやアヒルの肉も食べられています。有名な「イベリコ豚」は「イベリア半島の豚」という意味で、スペインからポルトガルにかけて養豚されている、素晴らしい味の豚肉です。

肉や魚介を多く使う一方で、調味料の種類は少なく、その分、油で旨味を追加し、どちらかというと味付けは濃いめ。そこが、ポルトガル料理が大味とか繊細さに欠ける印象で語られる所以かもしれませんね。しかし異なる種類の複数の肉、あるいは肉と魚介をミックス、更にはソーセージやシュリソ(チョリソー)などの加工肉やバカリャウ(干タラ)の旨味も加えられ、オリーブオイルやにんにくの風味と塩は定番の味付け、さらに、レモン果汁やコリアンダーの葉の風味、炭火焼きの匂い、赤パプリカやトマトの赤、サフランの黄色などが組み合わさって、複合的な旨みを作っています。

一方で至極シンプルな料理があるのも嬉しいです。秋刀魚の塩焼きが好きな日本人には、シンプルな塩焼きにされたペイシュや、魚の開きも絶対美味しいと思えることでしょう。


ドウラダ(直訳:黄金色)という魚。名の通りいい焼き上がりで美味。(撮影地シントラ)

ポルトガル料理に使われる代表的な魚が、新鮮な海産物でもなく近海で取れる魚でもない、バカリャウ(タラ)である点は特筆すべき特徴です。バカリャウ漁は数百年の伝統をもつ北洋漁業で、数ヶ月をかけてカナダ沖へ航海に出て、バカリャウを本土に持ち帰ります。そして塩漬けのバカリャウはカチカチに干されて絶好の保存食となります。ポルトガルには、数百とも数千とも言われるバカリャウ料理が存在します。ボリヌデバカリャウは、戻したタラとほぐしたパンを混ぜて作るフィッシュボール。バカリャウコジードゥは戻した干ダラの煮込み、バカリャウアゴメシュデサは干ダラや玉葱やじゃが芋のオーブン焼きでゆで卵とオリーブを散らすもの、バカリャウコンナタシュは干ダラのクリームグラタン、バカリャウアブラシュバカリャウとじゃがいも卵とじ。アローシュドゥバカリャウは干ダラのリゾット。本当に、いろいろなバカリャウ料理があるものです。

魚のことをポルトガル語ではペイシュと言います。新鮮な魚で作る料理としては、サルジニャスアサーダス(イワシの塩焼き)、アローシュデマリスコ(海老、イカ、アサリ、蟹魚介類のリゾット)、アローシュドゥポルボ(たこのリゾット)、アローシュデタンボリウ(アンコウのリゾット)などなど。ナザレの漁村ではアジのひらきやイワシの丸干しを作る光景が見られ、まるで日本の風景を彷彿とさせると聞きます。カタプラーナという、たっぷりの魚介類や野菜を鍋で蒸し煮にした料理もおすすめです。

上に並べたように、アローシュ(米)を使った料理が多いのもポルトガルの特徴の1つです。ポルトガルはヨーロッパの最大米消費国(国民一人あたり統計)なのです。上記の各種リゾット類のほか、アローシュドゥパト(あひる炊き込みごはん)も有名です。

ポルトガルの食事ではコース料理の意識が定着しています。
・最初はサラダ(Salada)やエントラーダ(Entrada、前菜)。
・そしてソパ (Sopa、スープ)。
・メインに魚料理(Peixe、ペイシュ、又はMarisco、マリスコ)や肉料理(Carne、カルヌ)。
・最後にデザート(Sobremesa、ソブレミーザ)。
・簡単な食事であっても、メインの前になるべくスープは飲んでおきたいのがポルトガル人。

ですから、スープ料理も多くあります。スープと言ってもポルトガルでは具だくさんの食べるおかず。カンジャは鶏肉入りスープのことで、ほぐした鶏肉が入っていてお米が入るカンジャ、マカロニ入りカンジャ、ナッツ入りカンジャなどがあります。ソパドゥルグムシュは野菜スープ。ソパデマリスコは魚介類のスープ。カルドベルデはケール(緑の濃いキャベツのような野菜)とじゃがいものスープです。

ポルトガル料理は、肉料理も多彩です。ポルコ(豚)やビフィ(牛)、フランゴ(鶏)がメインです。ビフィジヴァカ(牛肉のステーキ)やフランゴアサード(チキングリル)のように、シンプルに肉をガッツリ食べる料理も多いし、コジードゥアポルトゲーサ(複数の肉や野菜のごった煮)やカルヌドゥポルコアアレンテージャーナ(豚肉とアサリの煮込み)のような複雑な旨みをもつ料理もあります。「アレンテージャーナ」は「アレンテージョ地方」という意味で、ここが実に最高級のイベリコ豚の産地でもあります。

軽食でも美味しいお肉が食べられます。ビファナという豚肉サンドイッチは軽食の定番。プレゴノパンはビファナが牛肉になったもので、ステーキ入りサンドイッチです。

豆料理で良く知られるのは、ブラジル料理として有名なフェイジョアーダ。ポルトガルがブラジルを支配していたときアフリカ人奴隷をブラジルのサトウキビ畑で働かせるとき、豚の残り部位と豆をごった煮にして食べさせていたことに端を発する料理であるが、今はポルトガル本土でも人気料理で、数々のフェイジョアーダがあり、一般には肉と豆の組み合わせが多いです。

酒といえばお酒が飲めるなら是非ビーニョ(ワイン)を。最近はセルベージャ(ビール)も多いがやはりワインが一般的なのです。南欧なのでワインも安くて美味しいです。ビーニョティント(赤ワイン)、ビーニョブランコ(白ワイン)のほか、微発泡のビーニョベルデ(直訳:緑のワイン)があります。そして世界的に有名なビーニョドポルト(ポルト酒)を、出来ればポルトの街で楽しむ、と。ポルトガルはパン(パン)とケイジュ(チーズ)も美味しいので、ワインが一層美味しく楽しめる寸法です。

飲み物に関連して言えば、ポルトガルでは、昼食までにコーヒーブレイクが入り、ビッカ(北部ではシンバリーニョと呼ぶ)というエスプレッソコーヒーにたっぷりの砂糖を入れて飲むのが習慣です。

ポルトガルのお菓子はものすごく甘い。ポルトガル人の朝はたいていパンまたは菓子パンで始まります。甘いもの好きなので。パステルデナタ(小さなカスタードパイ)は旧植民地のマカオでも名物級のお菓子。パンデローは日本のカステラの原型と言われるお菓子。ボーロやたまごボーロの名の由来にもなった、焼き菓子の総称で、中でもボーロレイ(直訳:王様のケーキ)を食べてみたらよいと思う。朝食の時間から開いている食堂やカフェではこれら甘いものを必ず置いています。ポルトガル人は甘いもの好きですね(朝からビールを飲むおじさんもいるけど、笑)。

料理はどんと重く、お菓子はどんと甘く、ワインが安く、肉も魚も両方が好きな人には嬉しい国。ダイエットやヘルシーよりも、美味しいものをたらふく食べるほうが幸せな人には、ポルトガル料理は楽しめると思います。ポルトガル語って、発音は難しいし、なんか音がふにゃふにゃしていて、現地では言葉が通じにくくてへこみそうですが、行けば間違いなく美味しいものが待っていますよ。

それでは、Bom apetite!!(ボンアペティートゥ、食事を楽しんで下さい!)

◆ポルトガルに行ったら、これ食べよ♪

【バカリャウ(干ダラ)料理】
・アローシュドゥバカリャウ・・・干ダラのリゾット。
・バカリャウアゴメシュデサ(Bacalhau à Gomes de Sá)・・・干ダラや玉葱やじゃが芋のオーブン焼きでゆで卵とオリーブを散らす。
・バカリャウアブラシュ(Bacalhau à Brás)・・・干ダラとじゃがいもの卵とじ。
・バカリャウコジードゥ(Bacalhau cozido)・・・戻した干ダラの煮込み。
・バカリャウコンナタシュ(Bacalhau com Natas)・・・干ダラのクリームグラタン。
・ボリヌデバカリャウ(Bolinho de bacalhau)・・・戻したタラとほぐしたパンを混ぜて作るフィッシュボール。

【その他魚料理】
・サルジニャスアサーダス(Sardinhas Assadas)・・・イワシの塩焼き
・アローシュドゥマリスコ(Arroz de Marisco)・・・海老、イカ、アサリ、蟹魚介類のリゾット。
・アローシュドゥポルボ(Arroz de Polvo)・・・たこのリゾット。
・アローシュドゥタンボリウ(Arroz de Tamboril)・・・アンコウのリゾット。
・カタプラーナ(Cataplanas)・・・魚介類や野菜をカタプラーナと呼ばれる鍋で蒸し煮。
ペイシュ(Peixe)・・・魚の総称。

【その他米料理】
・アローシュドゥパト(Arroz de Pato)・・・あひる炊き込みごはん。

【スープ類】
・カンジャ(Canja)・・・チキンスープ、ほぐした鶏肉、米やマカロニ入り。
・ソパドゥルグムシュ(Sopa de Legumes)・・・野菜スープ。
・ソパドゥマリスコ(Sopa de Marisco)・・・魚介類のスープ。
カルドベルデ(Caldo verde)・・・ケールとじゃがいものスープ。

【肉料理】
カルヌドゥポルコアアレンテージャーナ(Carne de porco à alentejana)・・・豚肉とアサリの煮込み。
・コジードゥアポルトゲーサ(Cozido à portuguesa)・・・複数の肉や野菜のごった煮。
・シュリソ(Chouriço)・・・チョリソーソーセージ。
・ビファナ(Bifana)・・・豚肉サンドイッチ。
・ビフィ(Bife)・・・牛肉
 ┗ビフィデバカ(Bife de Vaca)・・・牛肉のステーキ。
・フランゴ(Frango)・・・鶏肉
 ┗フランゴアサード(Frango Assado)・・・チキングリル。
・プレゴノパン(Prego no Pão)・・・牛肉ステーキサンドイッチ。
・ポルコ(Porco)・・・豚肉

【その他】
・アソルダ・・・パンで作る雑炊風。
・ケイジュ(Queijo)・・・チーズ。
・パン(Pão)・・・パン。主食。
・フェイジョアーダ(Feijoada)・・・豆と肉のごった煮。
ミガシュ(Migas)・・・細かいパンの炒め物。

【お酒】
・セルベージャ(Cerbeja)・・・ビール
・ビーニョ(Vinho)・・・ワイン
 ┗ビーニョティント(Vinho Tinto)・・・赤ワイン。
 ┗ビーニョブランコ(Vinho Branco)・・・白ワイン。
 ┗ビーニョベルデ(Vinho Verde)・・・微発泡ワイン。
 ┗ビーニョドポルト(Vinho do Porto)・・・ポルト酒(甘口ワイン)。

【その他飲み物】
・ビッカ(Bica)・・・エスプレッソコーヒー。
・シンバリーニョ(Cimbalinho)エスプレッソコーヒー。

【甘いもの】
・パンデロー(Pão de ló)・・・カステラの原型と言われるお菓子。
・パステルデナタ(Pastel de nata)・・・小さなカスタードパイ。
・ボーロ(Bolo)・・・焼き菓子。
 ┗ボーロレイ(Bolo Rei)・・・色とりどりのトッピングの焼き菓子。


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ポルトガル料理」への1件のフィードバック

  1. すずき しげあき より:

    1579年1月にわが町大分県臼杵市においてポルトガル人による食事会を
    大友義統が呼ばれ食したメニューがありましたので何かヒントはないかと
    探しています。
    当時の簡単なメニューしかなく見つけ出すのが容易ではありません。
    1)牝牛の肉 2)骨抜きで小さくきざまれ調理された鳥肉
    3)パンと塩漬けのオリーブの実4)ねじり棒菓子5)カスチリャ風堅パン
    カステラの意味 6)ポルトガル産ワイン でした。
    これしかメニューには書かれていませんので想像していかねばと思案中。

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