キュラソー料理

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【基礎情報】

国名:キュラソーCuraçao、首都:ウィレムスタット、ISO3166-1国コード:CW/CUW、非独立国(オランダ王国構成国)、公用語:オランダ語、パピアメント語、英語、通貨:ギルダー

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【地図】

キュラソーはカリブ海南部の国で、アルバやボネールとあわせてABC諸島と呼ばれます。遠く離れたオランダ本国と同等の位置づけでオランダ王国を構成しているものの、地理的には南米大陸のベネズエラが極めて近く、「ベネズエラの沖の島」と呼ぶのがぴったりです。

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◆地理的に南米の影響が強い、オランダと黒人のクレオール料理

多くの人は、「キュラソー」と聞けば製菓用のリキュールを連想し、国の名前だとは思わないかもしれません。でもヤクルトスワローズのバレンティン選手がキュラソー出身ということから、案外知名度が高い国かもしれません。キュラソーは、南米北部にあるベネズエラの沖の島である、アルバ、ボネール、キュラソー・・・頭文字を取ってABC諸島の1つで、オランダ王国をオランダ本国と対等の位置で構成する国の1つです。キュラソーは17世紀から18世紀ごろ、アフリカから米州(北中南米カリブ地域の総称)へと黒人が移送される奴隷貿易の拠点として栄えた島で、国民の多くはその黒人の子孫が占めています。つい近年までオランダ領アンティルの首都でもあり、キュラソーには仕事や勉強でオランダ本国からやってくるオランダ人が大勢います。

*2010年、カリブ海のオランダ領アンティルが解体し国家形態の再編成が行われました。キュラソーはオランダ王国(Kingdom of the Netherlands)の構成国家として、オランダ本国(Netherland)(ヨーロッパオランダ本土。ボネール、シントユースタティウス、サバの4つの行政体を含む国)と対等の位置づけとなりました。本サイトで「オランダ」や「オランダ料理」を記述するときにはヨーロッパにあるオランダ本国について記すため、キュラソーその他カリブ海の島国は、オランダの一部ではなく、それぞれを1か国としてカウントしています。

フンチ作り
キュラソーのフンチはアフリカ各国のもち状の主食と同じ。(撮影地ウィレムシュタット)

キュラソーの言葉は「パピアメント語」というクレオール語です。クレオールは黒人と白人の混交を意味する言葉で、パピアメント語では「Krioyo」(クリオヨ)といいます。このクリオヨの成り立ちがキュラソーの成り立ちそのもので、なおかつキュラソー料理を語る重要な切り口となります。

--アジア進出に力を入れたオランダは1602年に東インド会社を作り、1609年には平戸に商館を置くまでになった。同時期にブラジルにも到達しており、そこから撤退するときに、オランダ人はアフリカから移送された黒人奴隷やユダヤ人を含めてキュラソーに定住するようになり、キュラソーは奴隷貿易の中継点として栄えた。その後、奴隷解放運動が各地で高まり、オランダもカリブ海の奴隷を解放する。その後ベネズエラで石油が出るとキュラソーは石油精製ならびに輸出拠点として栄えた--

・・・上のようなことを基礎背景として理解していると、キュラソー料理を理解しやすいと思います。「オランダ、アジア、南米、黒人奴隷、アフリカ、混ざった人種、栄えた街」などが重要キーワードです。

クレオール系キュラソー人に「キュラソー料理とは何ですか」と問うと、「私たちはヨーロッパ(オランダ)とアフリカ黒人のクレオールではあるけれども、料理はアフリカのほかは南米の影響が強い。もちろん他のカリブ諸国と同じ料理もある。ヨーロッパの影響といえば・・・ヒュッツポット(オランダ料理の1つ)とかは割と食べるかな。もちろんオランダ人はここでもオランダ料理ばかり食べている。」という具合の説明が返ってきます。とても説得力のある説明だと思います。
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主食 Staple

フンチはアフリカ料理の継承です。ケニアのウガリやナミビアのパップなどに極めて似た、とうもろこし粉を湯で練ったものです。とうもろこし粉はフンチスティック(またはミーリー)と呼ばれる大きな木べらで練られます。フンチにさらに黒目豆が入ったものがトゥトゥです。

米もよく食べられています。白いごはんはアロスブランク、豆ごはんはアロスモロと言います。

リースタフェルは直訳してライステーブル。これはインドネシアの料理を真似た食のスタイルです。オランダによる長い植民地支配のつながりから、キュラソーやスリナムといったアジアから遠いところにもジャワ人(インドネシア人)が移住させられ、インドネシアの料理がカリブ海や南米に入りました。ごはんを中心に、いろいろなおかずがビュッフェで並び、各自が盛り合わせにして、すなわちインドネシアのナシチャンプルーのようにしていろいろな種類のおかずを食べるのです。

パン類では、カリブ海定番のジョニーケイクなどがあります。
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肉のおかず Meat

キュラソー料理は肉料理が多いです。肉の調理法の代表的なものは、ストーバ(シチュー)です。日本でシチューというと白いとろみのある汁物ですが、カリブ海諸国のストーバ(シチュー)は肉汁リッチかつ調味料リッチで汁がどろっとした炒め煮です。フンチ(とうもろこし粉を湯で練ったもの)を手でちぎって絡めて食べるためにもとろみのあるおかずが合っています。カルニストーバまたはストーバディバカ(牛肉シチュー)、カブリトゥストーバ(ヤギ肉シチュー)などがあります。

汁気の多い料理はソピ(スープ)です。ソピとスープは同じ語源です。ソピディカルニ(ビーフスープ)、ソピカブリトゥ(ヤギ肉のスープ)、ソピディガリーニャ(チキンスープ)、ソピモンドンゴ(腸のスープ)、ソピディユアナまたはソピディフアナ(イグアナのスープ)などがあります。

カリーキプ(チキンカレー)もローカルレストランで人気メニューの1つです。キプ(鶏肉)はスリナム料理でも同じ呼び方ですね。スリナムも長らくオランダ領だったので現地の料理名に共通点があるのです。
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イグアナ Iguana

イグアナは4つ足と長い尾を持つ爬虫類。危険動物ではありません。地を這う動きはラブリー♪です。キュラソーではフアナまたはユアナと呼ばれます。ウシガエルのような味わいで、日本人に身近なところでは鶏胸肉が近い感じ。ソピディフアナ(またはソピディユアナ、イグアナのスープ)などの料理で食べられます。
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乳製品 Dairy Products

キュラソーでは、乳製品はあまり目立った生産物ではありません。しかしながら長い間キュラソーを植民地としていたオランダはチーズの名産地。このチーズはキュラソーに運ばれていて、スーパーなどではオランダ産チーズを見かけます。

ケシイェナ(直訳するとチーズの詰め物)はキュラソーの国民食です。丸ごとのゴーダチーズやエダムチーズの上部を切り落とし、穴をほってチーズを器に見立て、炒めた肉や野菜やレーズンなどを詰め、切り落とした上部を使ってフタをしてからオーブンにかける料理です。お祝い料理として大人数分を作るのであれば丸ごとチーズをドンと使いますが、レストランや家庭で1人ずつ分を調理する場合は、肉や野菜の炒め物にスライスチーズを乗せてオーブン焼きにしています。
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キュラソーのキュラソー Curaçao’s Curaçao

キュラソーはキュラソー島のオレンジの皮を使った香り高いラム酒ベースリキュールです。17世紀後半、オランダ本国で作りだされました。今はコーヒーフレーバーやその他さまざまな香りをもつキュラソーが作られており、キュラソー製造工場に行くと何種類も無料で試飲できます。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

【主食系】
  • アロスブランク(Aros blanku)・・・白いごはん
  • アロスモロ(Aros moro)・・・豆ごはん
  • ジョニーケイク(Johnny cake)・・・カリブ海定番のパン
  • トゥトゥ(Tutu)・・・とうもろこし粉を湯で練ったものに黒目豆が入ったもの
  • フンチ(Funchi)・・・とうもろこし粉を湯で練ったもの
  • リースタフェル(Rijstafel)・・・ごはんとおかずの自由な盛り合わせ
【肉類のおかず】
  • カリーキプ(Curry kip)・・・チキンカレー
  • キプ(Kip)・・・鶏肉
  • ストーバ(Stoba)・・・炒め煮のようなシチュー
    • カブリトゥストーバ(Kabritu stoba)・・・ヤギ肉シチュー
    • カルニストーバ(Karni stoba)・・・牛肉シチュー
    • ストーバディバカ(Stoba di baka)・・・牛肉シチュー
  • ソピ(Sopi)・・・スープ
    • ソピカブリトゥ(Sopi kabritu)・・・ヤギ肉のスープ
    • ソピディガリーニャ(Sopi di Galiña)・・・チキンスープ
    • ソピディカルニ(Sopi di Karni)・・・ビーフスープ
    • ソピモンドンゴ(Sopi Mondongo)・・・腸のスープ
    • ソピディフアナ(Sopi di juana)・・・イグアナのスープ
    • ソピディユアナ(Sopi di yuana)・・・イグアナのスープ
  • フアナ(Juana)・・・イグアナ
  • ユアナ(Yuana)・・・イグアナ
【乳製品】
  • ケシイェナ(Keshi Yená)・・・チーズの詰め物
【アルコール類】
  • キュラソー(Curaçao)・・・オレンジの皮の香りのリキュール

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本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさにあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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