スリランカのコロンボでは、友人の家にステイさせていただき、友人の素敵な計らいで、地元シンハラ人によるスリランカクッキングを学ぶことができました!!
スリランカの国民は、シンハラ人が大部分を占めます(国民の70~75%)。よってシンハラ人のローカル料理を学ぶことがスリランカ料理を学ぶ軸となることには論を待ちません。このシンハラ人クッキングは私にとって大きな意義をもたらしてくれることになります。調理者はご自宅でも家庭料理を作る女性で、家庭料理の味が知りたい私には最高です。リクエストとして、「あなたのいつもの味付けで作ってほしい(※)」とお願いしました。
※料理のベースに辛味を多用するスリランカでは、外国人向けに調理する場合に辛さを薄くすることが多いのです。
「一飯多菜」のスリランカ料理では、おかずを何種類も作ります。だから今回調理は3時間にも及びました。私はスリランカ到着翌日で、夜行移動明けであり時差があり、観察途中で体が悲鳴を上げるほどしんどかったのですが、冷茶を飲みながら(苦笑)耐えて記録を続けました。しかしながら作って下さる方のほうが疲れているはず。彼女の根気強さは素晴らしく、本当に頭が上がりません。
出来た料理は圧巻です。味付けが異なる香辛料のおかず5種、赤米及び白米、薄揚げ。
盛り付けの例です。
皿の上でこねこねとじっくり時間をかけて混ぜてから、口に運びます。スリランカ人曰く、指で混ぜるときからすでに美味しさを味わっているのだそうです。
ナスのカレーは甘くコクがあり魚入りで旨く、ビーツのカレーはかつおぶし風味と甘味と生姜風味、カシューナッツのカレーは中濃ココナッツミルクとシナモンのさわやか仕立てで、かぼちゃカレーは濃厚ココナッツミルクでぐっとくる、パリップ(豆ポタージュ)は薄いココナッツミルク仕立てでさっぱりと、・・・そう、全部味わいが違うんです。
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今回のスリランカクッキングは家庭料理の趣が満点で、どれも経験と味見で材料の分量を決定しています。でもレシピには分量が必要です。私は、自分が『世界の料理レシピ』(≫こちら)のページを作成するようになってから、料理をするときはいつも計量し記録する習慣がつき、見た目から分量を起こす経験も幸い積んできているので、調理を観察しながら分量をメモしていきました。だから今回記す分量は良い参考値になると思います。
ということで、このページでは、当日のメモから生きたのスリランカカレーのレシピを立ち上げましたので、素晴らしい体験の記録と思い出と感謝を込めて一挙掲載します!!!素晴らしいスリランカ料理の世界を、香辛料料理の世界を、お楽しみください!!!
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<代用について>
入手しにくいものは、タマリンドペースト、トゥナパハ、モルディブフィッシュ、カレーリーフだと思います。代用案は以下の通りです。
- タマリンドペースト:1.5倍量のレモン果汁で代用。レモンがあまり酸っぱくないときは補助的にクエン酸を少々追加。
- トゥナパハ(ロースト):ガラムマサラパウダーとコリアンダーパウダーを等量混ぜて、フライパンでさっと乾炒りする。
- トゥナパハ(生):ガラムマサラパウダーとコリアンダーパウダーを等量混ぜて、ターメリックパウダーを少々加えて若干色を明るくする。
- モルディブフィッシュ:かつおぶしの粗削りのものを包丁で細かく刻む。それもなければ花がつお使用。ただし原料がサバのものもあるので、原料がカツオであることを確認する。
- カレーリーフ:ベイリーフを水に浸けて戻したもので代用する。カレーリーフ10枚をベイリーフ1~2枚に置き換える。
ただし、カレーリーフの香りは大変に重要なので、ネット通販等で新鮮な葉を冷蔵または冷凍したものを購入するほうがよいと思います。
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材料(6人分):
- 田作り用の乾燥小魚
- 1.5 C
- なす
- 500 g
- ターメリックパウダー
- 小1
- サラダ油
- 多め(※1)
- 塩
- 小1
- 青唐辛子
- 5本
- 紫玉ねぎ
- 小1個
- タマリンドペースト
- 大1.5
- にんにく
- 3かけ
- 生姜
- にんにく2かけに相当する量
- トマト
- 中1個
- カルダモン
- 3個
- ココナッツミルクパウダー
- 大2
- ジャンボししとう(※2)
- 3本
- ローストトゥナパハ
- 大4
- 生トゥナパハ
- 大2
- カイエンペパー
- 小1
- 塩
- 小1/2
- シナモン
- 500円玉3枚分の面積
- マスタードシード
- 小1/3
- あらびきこしょう
- 小1/2
- マギー固形ブイヨン(※3)
- 1 cm角を2個
- 砂糖
- 大2
※1:フライパンに深さ1.5 cm入れる量。
※2:ジャンボししとうがなければ小さめのピーマンか大きめのししとうで代用。
※3:マギー固形ブイヨンは鶏がらスープの素で代用してもよいです。
作業工程:1 時間 30 分
- 乾燥小魚を水に10分浸してからザルにあげて水気を切る。
- なすを縦6 cm長さに切り、幅1 cm以内の拍子木切りにし、水に10分浸してからザルにあげて水気を切る。
- なすにターメリックパウダーと塩をふって、手でやさしく混ぜるようにして全体を混ぜ、10分以上置いておく。
- フライパンに深さ1.5 cm程度のサラダ油を入れ、油に浸る量だけなすを入れて加熱し、10分間ほど放置するようになすを素揚げにする。取り出して紙の上に置き、残ったナスも同様に揚げる。
- なすを揚げたあとフライパンに残った油を再び加熱し、小魚の水気をキッチンペーパーで拭いたものを入れ、5分くらい放置するように揚げ、紙の上に取り出しておく。
- 青唐辛子はヘタを取って縦半分に切り(種が付いたままでよいが落ちた種は不要)、なすや魚を揚げた油が入っているフライパンで素揚げにして取り出しておく。
- 紫玉ねぎをみじん切りにし、タマリンドペーストを3倍量の湯で溶かし、にんにくをスライスし、生姜は皮をむいて千切りにし、トマトは縦半分に切ってから断面を下にしてまな板に乗せて5 mmスライスにし、カルダモンをさやごと横半分に切る。
- ココナッツミルクパウダーを湯1.5 Cに溶かしてココナッツミルク水を作っておく。
- ジャンボししとうのヘタを取って縦8つ切りにし、種を軽く取り除いておく。
- フライパンか鍋に、なすや魚を揚げるのに使った油大1.5を入れて加熱し、みじん切り玉ねぎを入れて炒める。
- 千切り生姜を加え、炒めやすくするために好みで油を追加し、炒める。
- ローストトゥナパハ、にんにくスライス、生トゥナパハ、カイエンペパー、ココナッツミルク水のうち1 C、塩、スライストマト、シナモン、カルダモン、揚げたなす、揚げた魚、マスタードシードを入れ、全体を混ぜて火を止める。
- 残りのココナッツミルク水、タマリンド水を加え、全体を混ぜたら弱火にかけ、あらびきこしょう、マギー固形ブイヨン、素揚げ青唐辛子、縦切りジャンボししとうを入れ、ししとうを折らないように全体をやさしく混ぜ、10分以上そのまま弱火にかけておく。
- 砂糖を湯1/4 Cに溶かし、鍋に加えて中火にかける。全体を混ぜるのではなく、局所的に具と砂糖水を混ぜる。
- 味見をして、塩加減や甘酸っぱさなどを好みに調え、火を止めてできあがり。
- Enjoy!
材料(6人分):
- にんにく
- 2かけ
- 生姜
- にんにく4かけに相当する量
- ビーツ
- 小4個
- 紫玉ねぎ
- 中3個
- トマト
- 中1個
- 粗びき唐辛子
- 大2.5
- 生トゥナパハ
- 小1.5
- ターメリックパウダー
- 小1/2
- 塩
- 小1.5
- モルディブフィッシュ
- 大3(※1)
- 青唐辛子
- 2本
- カレーリーフ
- 30枚
- 塩
- 小2/3
- 味の素
- 小1/2
※1:モルディブフィッシュは米粒サイズ程度に砕いてあるものを使います。
作業工程:1 時間
- にんにくを3等分くらいにブツ切りにし、水2/3 Cに浸しておく。
- 生姜は皮をむいて2 mm幅の千切りにし、鍋に入れる。
- ビーツはヘタとしっぽを切り取り、皮をむき、4 mmスライスにしてから4 mm幅に切り、鍋に入れる。
- 紫玉ねぎ2個をみじん切りにし、1個をとても細かいみじん切りにし、ビーツの鍋に入れる。
- トマトを半分に切り、中(種がある部分)を除去して捨て、残った部分を8 mm幅に切り、ビーツの鍋に入れる。
- 粗びき唐辛子、生トゥナパハ、ターメリックパウダー、塩、モルディブフィッシュフレーク、にんにくの入った水をにんにくごと入れ、フタをして強火にかける。
- ビーツに火が通り、くたっとしたら、全体を混ぜ、フタを少しずらして加熱を続ける。
- ビーツがよりくたっとしたら、全体を混ぜ、フタをもっとずらして加熱を続ける。
- 青唐辛子のヘタを取って縦半分に切り(種がついたままでよい)鍋に入れ、カレーリーフを鍋に入れ、フタを外してずっと強火のままで火にかけ、ときどき全体を返しながら水分を飛ばしていく。
- 水分がほぼなくなったら、なすや魚を揚げるのに使った油大4を鍋に入れて全体を混ぜ、塩と味の素を入れて全体を混ぜ、青唐辛子の半量を取り除いて、味見をして塩加減などを好みに調えて出来あがり。
- Enjoy!
材料(6人分):
- カシューナッツ(※1)
- 1.5 C
- 紫玉ねぎ
- 中1個
- にんにく
- 4かけ
- 生姜
- にんにく4かけに相当する量
- トマト
- 中1個
- カルダモン
- 4つ
- 青唐辛子
- 1本
- 生トゥナパハ
- 大1.5
- フェヌグリークシード
- 小1/2
- シナモン
- 500円玉3枚分の面積
- 塩
- 小1弱
- ターメリックパウダー
- 小1.5
- ココナッツミルクパウダー
- 大2
- 乾燥レモングラス
- 大2
- クミンシード
- 小1弱
- カレーリーフ
- 20枚
- 味の素
- 小1/2
※現地では生カシューナッツを使いますが日本では手に入りにくいので、ローストカシューナッツで代用します。
作業工程:1 時間 30 分
- 生カシューナッツを水に30分浸してからザルにあげて水気を切る。
- 紫玉ねぎをみじん切りにし、にんにくをスライスし、生姜は皮をむいて輪切りにし、トマトを2 cm角切りにし、カルダモンをさやごと横半分に切り、青唐辛子のヘタを取って縦半分に切っておく(種が付いたままでよいが落ちた種は不要)。
- 小鍋にカシューナッツ、玉ねぎみじん切り、生トゥナパハ、フェヌグリークシード、角切りトマト、カルダモンさやごと、シナモン、生姜スライスの半量、塩、ターメリックパウダーを入れ、フタを少しずらした状態で乗せ、強めの中火にかける。
- ココナッツミルクパウダーを湯1 Cに溶いてココナッツミルク液を作り、鍋に入れて全体を混ぜる。
- 生姜スライスの残り半量を加え、ときどき全体をやさしく混ぜながら、フタを少しずらしたままの状態で煮る。
- ミニフライパンに、なすや魚を揚げた油を大2入れて強火にかけ、乾燥レモングラス、クミンシード、カレーリーフを入れて加熱し、香りが出たらカシューナッツの鍋に入れる。
- 味の素小1/2を入れて軽く混ぜ、味見をして塩加減などを好みに調えて出来上がり。
- Enjoy!
材料(6人分):
- ココナッツミルクパウダー
- 大5
- カボチャ(※1)
- 小1/2個分
- にんにく
- 4かけ
- 青唐辛
- 4本
- トマト
- 中1個
- 玉ねぎ
- 中1個
- 生トゥナパハ
- 大4
- ターメリックパウダー
- 小1
- 乾燥レモングラス
- 大1
- シナモン
- 500円玉2枚分の面積
- マスタードシード
- 小2/3
- あらびき黒こしょう
- 小2/3
- カイエンペパー
- 小1
- 塩
- 小1弱
- 水
- 1.5 C
- クミンシード
- 小2/3
- カレーリーフ
- 20枚
- ほんだし
- ふたつまみ
※現地ではスカッシュを使っていましたが、日本では、日本で売られているカボチャでよいです。
作業工程:1 時間
- ココナッツミルクパウダーを湯2 Cに溶いて、ココナッツミルク水を作っておく。
- カボチャのワタや種を除去し、3×4 cmくらいのサイズに切り、皮がついている角を面取りし、水にさらしてからザルにあげて水気を切り、鍋に入れる。
- にんにくは1かけを3等分するようにブツ切りにし、青唐辛はヘタを取って斜め切りに2等分し、トマトをザク切りにし、玉ねぎをみじん切りにし、鍋に入れる。
- 鍋に、生トゥナパハ、ターメリックパウダー、乾燥レモングラス、シナモンを大きめに砕いたものを鍋に入れる。
- マスタードシード、あらびき黒こしょう、カイエンペパー、塩、水を鍋に入れ、鍋にフタをして強火にかける。
- カボチャに火が通った頃にクミンシードを入れ、フタをして強火にかける。
- フタを外し、3割くらい水分が飛んだら、ココナッツミルク水とカレーリーフを加え、全体を軽く混ぜ、フタをずらして乗せて弱火にかける。
- ほんだしを加え、全体を混ぜ、味見をして、塩加減などを好みに調えて出来上がり。
- Enjoy!
材料(10人分):
- にんにく
- 3かけ
- 生姜
- にんにく3かけに相当する量
- カルダモン
- 5個
- ココナッツミルクパウダー
- 1/2 C
- レンズマメ(※1)
- 2 C
- カイエンペパー
- 小1/2
- 塩
- 小2/3
- フェヌグリークシード
- 小2/3
- マギー固形ブイヨン(※2)
- 1 cm角を2個
- シナモン
- 500円玉面積分
- 青唐辛子
- 2本
- 紫玉ねぎ
- 小1/2個
- カレーリーフ
- 20枚
- マスタードシード
- 小1/2
- 粗びき唐辛子
- 小2/3
- 味の素
- 小1/3
※1:レンズマメは皮がむいてあってオレンジ色の豆で売られているものがよいです。
※2:マギー固形ブイヨンは鶏がらスープの素で代用してもよいです。
作業工程:1 時間 30 分
- にんにくをスライスし、生姜は皮をむいてみじん切りにし、カルダモンをさやごと横半分に切っておく。
- ココナッツミルクパウダーを湯2.5 Cに溶かしてココナッツミルク水を作っておく。
- レンズマメを20分以上水に浸け、水気を切り、もう一度水に浸して洗い、水気を切り、鍋に入れ、豆の高さと水の高さが1:2になる(豆の深さが5 cmなら、水面は高さ10 cmの位置になる)(言い換えれば、豆の高さと水のみの高さが1:1になる)ように水を入れる。
- にんにくとカイエンペパーを入れ、強火にかける。
- 沸騰したら弱火にして、塩、フェヌグリークシード、ココナッツミルク水を入れて軽く全体を混ぜ、マギー固形ブイヨン、シナモン、カルダモンをさやごと入れ、ごく弱火にして煮る。
- 青唐辛子のヘタを取って縦半分に切り(種が付いたままでよいが落ちた種は不要)、紫玉ねぎをみじん切りにする。
- 小さなフライパンに、なすや魚を揚げたときの油大3入れて強火にかけ、青唐辛子、紫玉ねぎ、カレーリーフ、マスタードシード、粗びき唐辛子を入れてから弱火にし、焦げないように観察しながら加熱を続け、香りが出たことを確認したら、レンズ豆を煮ている鍋に全量を入れる。
- 味の素を入れ、全体を混ぜて、味見をして塩加減などを好みに調えて出来上がり。
- Enjoy!
* * *
その他に用意したものは、ラトゥバット(赤米ごはん)、スドゥバット(白米ごはん)、パパダン(薄揚げ)です。
今後私がやることは、実際に日本の調理条件で作り、美味しいスリランカカレーが日本で作れるようにレシピ化し、公開することです。
今思い出しても素晴らしい1日でした。このような素晴らしいスリランカ料理クッキング体験は、望んだって滅多にやってくるもんじゃない。本当に貴重な体験をさせていただきました。この機会を作って下さったJuncoさん、そして調理してくれたキャサリンも、本当にありがとう!!!