「鲜鱼汤」(シェンユータン)という、中国海南島スタイルの美味しい魚料理に、出会った。
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日本から、杭州(ハンジョウ)で乗り継ぎ、海口(ハイコウ)へ。そこから海南島の旅が始まりました。
海南島では4都市をめぐりました。
海口(ハイコウ)→文昌(ウェンチャン)→万宁(ワンニン)→三亚(サンヤ)。知ってる人ならピンと来る。そう、私はシンガポールチキンライス(海南鶏飯)の発祥の地と言われる文昌(ウェンチャン)で海南鶏飯を食べたくて海南島に行ったのです♡(´∀`*)
でも今日の記事は、その文昌(ウェンチャン)先の三亚(サンヤ)で出会った美味しいお魚料理と、日本の家庭料理の事情に合っている素晴らしい調理法と、魚醤の素晴らしさについて記そうと思います。
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旅は、日本からはなかなか観光では行かないような万宁(ワンニン)を列車で発ち、三亚(サンヤ)に到着しました。
三亚(サンヤ)は中国のハワイと言われているそうですね。冬でも気温は20℃以上で、ビーチが人気です。1月でこれだなんて、空気は暑くて太陽はまぶしくて、心がウキウキしてきます♪
名物は、新鮮な魚介類を活かした海鮮料理です。そして路地を歩くと「鲜鱼汤」(シェンユータン)を掲げる店がずらり。
いえ、もっと言うと「鲜鱼汤」(シェンユータン)しか置いていない店がずらり。
こういう料理こそ、その土地の名物料理であるということです。
地元の人にも大人気で、「鲜鱼汤」(シェンユータン)の食堂が並ぶ一角は大変に賑わっていました。
気に入ったのは注文方法です。
まず、たくさんの種類の魚から、気に入るものを選びます。小さな魚は一匹魚で置いてあったり、大きな魚は切り身になっています。その他、野菜やきのこの具も用意されています。
客は、好き好きにメインの魚とサブの具を選んで注文をします。
スープ皿にはあらかじめ揚げにんにくや小ねぎなどの美味しさを増す素が入っています。
注文を受けたら調理人がざざっと調理します。
中国料理なので、ざざっと短時間、クイックでスピーディー♪
おいしそーv
ごはんと、唐辛子ペーストが添えられます。
この料理には決まりがない。
この料理は自由な料理だ。
なんか、料理としては当たり前のことなのだけど、この自由なカスタマイズがとても気に入りました。「鲜鱼汤」(シェンユータン)はすごくいいなと思いました。自由なカスタマイズというアイディアは、家庭料理に最適だ。こういう料理や調理技法を知っておくといい。なぜならば、家庭でなら、冷蔵庫に入っているちょこちょこ野菜を使うときも必要だろう。我が家は菜園があるので、そのとき菜園にある新鮮元気野菜を自由なカスタマイズで使うために、料理法のアイディアは多いほうがいい。
ちなみに、海南島の魚市場ではフィリピンのバゴオンと見た目も匂いも同じ発酵エビ調味料が売られていました(小米(シャーミー)と言っていました)。シンガポールのブラチャン、フィリピンのバゴオン、ミャンマーのガピのように、発酵エビ調味料は特に東南アジアで目立ちます。でも日本にも魚醤がありますよね?
日本では、発酵魚介類の調味料としては、東南アジア産のナンプラーは価格が安くそこそこの市場規模を持っているように見受けられますが、本来我々がもつ魚醤はしょっつる(秋田県)やいしる(石川県)です。今ももっとこれらが安価な範囲で普及していれば、日本人が日本の魚醤を飛び越してナンプラーに飛びつくこともなかったのではないかと思います。
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最近、モニター商品として、正田醤油(≫こちら)の「魚醤3種セット」を受領しました。
その中の1つ「いさだ醤油」が発酵エビ調味料の風味をもつ調味料だった(※)。これは嬉しかった。
※いさだはツノナシオキアミのこと。小エビに似た体長数cmのプランクトン。
まず、極めて大事なこととして、味比べをしました。
左から、「魚醤3種セット」の鮭しょっつる、いさだ醤油、ナンプラーです。右から2つめが自宅で所有していた市販のナンプラー、一番右が、私の手作りのナンプラーです。自家製ナンプラーはアンチョビを作るときの副生成物として得られるものです。
鮭しょっつると3つのナンプラーはいずれも魚を原料とするためか、味も塩分の濃さも似ていました。ただ、いさだ醤油は後味のエビのくさみが良い。小エビに似たオキアミを原料とするので、エビくささが出ているのです。
そして、この発酵エビの風味をもつ「いさだ醤油」は魚料理にも合いました。海南島名物の「鲜鱼汤」(シェンユータン)も美味しくなりました。
レシピを以下に掲載します。是非、現地のように、ほかほかごはんと、唐辛子の辛い調味料(豆板醤などでよいです)を添えて、作ってみてください。
※本記事は(1)「正田醤油×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)魚醤をモニタープレゼントされたことに基づき執筆するものです。
材料(2人分):
- 好きな魚(※1)
- 約200g
- 水
- 400mL
- にんにく
- 1かけ
- サラダ油
- 大2
- 野菜やきのこ(※2)
- 約200g
- 小ねぎ
- 刻んで大1
- 中華スープの素
- 少々
- 味の素
- 少々
- 魚醤(※3)
- 小1
※1:魚は、小さな一匹魚でも、切り身でもよいです。現地では様々な魚がショーケースに並び、客が好きなものを注文するスタイルです。
※2:野菜やきのこも、現地ではショーケースに並び、客が好きに注文するので、汁物仕立てに合うものなら何でもよいです。今回はネギや生姜、しめじ、きくらげ、にんじん、たけのこなどを用意しました。
※3:今回は正田醤油製「いさだ醤油」(発酵エビ調味料の風味をもつ調味料)を使用。なければ醤油や塩少々で代用。
作業工程:30 分
- 魚は一匹魚ならウロコとワタとエラを取り、大きな魚なら切り身にする。
- 湯を沸かしておく。
- にんにくを薄切りにし、フライパン(または中華鍋)にサラダ油を入れて中火にかけ、にんにくを入れ、ゆっくり泳がせるようにして、軽く色づいたにんにくチップを作る。
- その間に、野菜やきのこ類を薄く食べやすく切る。
- 小ねぎを小口切りにして食べる器の底に敷き、にんにくチップ、中華スープの素、味の素を少々入れておく。
- フライパンに残った油を強火で加熱し、魚と野菜類を一気に炒める。
- フライパンに熱湯と魚醤を加え、短時間でぐらぐら煮立たせる。
- 味見をして塩加減などを好みに調え、熱いうちに器に注ぎ入れる。
- Enjoy!
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私は、料理を通じて世界の良さを我が家に取り込んで暮らしを楽しむことが大好きです。・・・でも今回は、日本人のほとんどが触れることのなくなってしまった、魚醤という、日本の良さ&アジアの良さを暮らしに取り込むこととなりました。
日本の魚醤を販売してくれる会社の心意気には、伝統を守るという意味での社会貢献活動が感じられ、好感を抱きます。
私たちの住む日本列島だって、東アジアだ。東アジアの民として、日々の食卓に魚醤を使っていくのは良いことだと思うし、伝統復興だと言える。日本は今や魚醤文化が薄れたと言えるだろうけど、だったら、日本近隣で魚醤文化が残る地域の料理を日本の食材で真似すればいいんじゃないかな。 伝統も食材も似ている地域の料理だから、日本での伝統復興が手っ取り早く広められるんじゃないかと思って、今回は、大好きな海南島の魚料理に魚醤を使用したわけです。
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なお・・・。
今回の「鲜鱼汤」(シェンユータン)ついて、念のために中国の百度(バイドゥ)の記載内容を確認したところ、海南島名物料理としての位置づけは正しいように思われました。
しかし1つ気になった点も生じました。
◆海南菜|百度百科(≫こちら)
「鲜鱼汤是三亚回族的传统美味」(鲜鱼汤(シェンユータン)は海南島三亜の回族の美味しい伝統料理です)。
・・・と。
「回族」(ホイ族、ホイズー)は、中国のイスラム教徒である。ちゃんと言うと、漢民族と同じ人種だが宗教だけイスラム教になっている人が漢民族から分離された形態。ざっと言うと、新疆以外でのイスラム教徒。
ただ、上の写真を見ても、回族らしさがまるきり見えなかったので、驚きました。
でもまたまたやる気が出た。
そもそも海南島と回族の歴史は何か? なぜそこにイスラムがあるのか? マレー人との関連は? など、今後私が勉強すべきことが見つかったのでした。