サンパウロのカイピリーニャいろいろ

2026/02/28

ブラジルの南部都市サンパウロは、あの有名なカイピリーニャというカクテルの発祥の地と言われています。

国際バーテンダー教会による標準レシピが、カシャッサ(サトウキビジュースから作る酒)をベースにライムと砂糖と氷を入れて作ります。

だから私が作るカイピリーニャの一例はこういうものだし、

カイピリーニャ

日本語Google検索もこうだし、

カイピリーニャ

ポルトガル語(現地語)で検索かけてもこうだし、

カイピリーニャ

とにかく、カシャッサ・ライム・砂糖・氷の組み合わせは鉄板だと思ってきました。

* * *

私がサンパウロに滞在したとき、サンパウロがカイピリーニャ発祥地ということもあって、本場でカイピリーニャを飲むことを楽しみにしてバーで食事をしました。そのときメニュー表を見たら、現地の本場のカイピリーニャのバリエーションの豊富さに感動しました。

なんと、

カイピリーニャだけでメニュー表が4ページ!

カイピリーニャ

こういう素敵なメニュー表に出会えたことが嬉しくて、でも現地ではなかなかじっくりと解読までできなかったので、写真を撮らせてもらい、ここで丁寧にカイピリーニャのメニュー表を見てみようと思います。

* * *

左ページ上。

カイピリーニャ

価格表 – カイピリーニャ(Lista de preços -Caipirinhas)
以下からドリンクをお選びください(Escolha a bebida:)
あなたのカイピリーニャを作るためのベースの酒を選びます。価格は酒により異なります。(Agora, você escolhe a caipirinha e paga conforme o valor do destilado que escolher)

リストには以下の9種類のお酒が写っています。

カイピリーニャ

順に、

  1. ベリュバレイロ(Velho Barreiro)、ブラジルのカシャッサ。サトウキビの蒸留酒。29.9レアル(897円)
  2. スミノフ(Smirnoff)、ロシアのウォッカ。大麦、小麦、とうもろこしなどの穀物の蒸留酒。32.9レアル(987円)
  3. サガティバ(Sagatiba)、ブラジルのプレミアムカシャッサ。32.9レアル(987円)
  4. シュタインヘーガーベコサ(Steinhaeger Becosa)、ドイツのジン。ジュニパーベリー(ネズの実)の蒸留酒。39.9レアル(1197円)
  5. アブソルートウォッカ(Absolut Vodka)、スウェーデンのウォッカ。小麦の蒸留酒。42.9レアル(1287円)
  6. 日本酒。Thikara-sake(ちから酒)。米の醸造酒。ブラジル製造。31.9レアル(957円)
  7. エスピリトデミナス(Espírito de Minas)。ブラジル国内最高峰のプレミアム手造りカシャッサ。41.9レアル(1257円)。
  8. セレタ(Seleta)、ブラジルのカシャッサ。36.9レアル(1107円)
  9. ジョスコムジャンブー(Jós Com Jambu)、ブラジルのジャンブー(口の中がピリピリする植物)入りのカシャッサ。42.9レアル(1287円)

値段はそのお酒を使ってカイピリーニャを作ってもらったときの価格。日本円換算は1レアル=30円として示しました。

私は一番上のカシャッサをベースとして注文しました。

そこから作ってもらえるカイピリーニャは9種類

ベースの酒が9種類。

つまりこの店が出すカイピリーニャは81種類!

9種類のカイピリーニャの違いはフルーツのバリエーションです。

カイピリーニャ

カイピリーニャ

1つめ「アフロジシアカ」(Afrodisíaca)

カイピリーニャ

「媚薬」という意味のカイピリーニャ。
生姜(ジェンジーブリGengibre)、シチリアレモン(リモンシシリアーノLimão Siciliano)、ピーナッツ菓子(パソカジアメンドインPaçoca de Amendoim)、バナナ(Banana)が入っています。私は生姜好きなので飲んでみたいですが、果たしてこの4つが口に入ると・・・どう美味しいのかな?

2つめ「カイピリーニャイジエノポリス」(Caipirinha Higienópolis)

カイピリーニャ

「おセレブカイピリーニャ」のような意味のカイピリーニャ。
イジエノポリスはサンパウロの高級住宅地の名称なので、日本で言えば「カイピリーニャ・シロガネ」や「カイピリーニャ・ショウトウ」みたいな感じか。
みかん(タンジェリーナTangerina)、ペルシャライム(リマダペルシアLima da Pérsia、酸度が低いライム)、パッションフルーツ(マラクージャMaracujá)が入り、バジル(マンジェリコンManjericão)をあしらいます。美味しそう!

3つめ「カヌートドバウ」(Canuto do Val)

カイピリーニャ

店員に「このメニューの中で最も典型的なカイピリーニャはどれ?」と質問して返ってきた答えがこれでした。
「社交場」的な意味のカイピリーニャでしょうか。
カヌートドバウはかつて存在した人名に由来するサンパウロの通り名です。夜の繁華街すなわちナイトスポット・社交場だとか。
このカイピリーニャのフルーツは柑橘のみで作られているので、最も典型的なカイピリーニャとして店員が示してくれたのでしょう。
ペルシャライム(リマダペルシアLima da Pérsia、酸度が低いライム)、シチリアレモン(リモンシシリアーノLimão Siciliano、普通のレモン)、タヒチライム(リモンタイチLimão Taiti、緑のライム)が入りミント(オルテラHortelä)をあしらいます。美味しかったよー!

4つめ「ティアオルガ」(Tia Olga)

カイピリーニャ

「オルガおばさん」という意味のカイピリーニャ。
キウイフルーツ(キウイKiwi)、パイナップル(アバカシAbacaxi)、マスカット(ウバベルジUva Verde)が入っています。この組み合わせは味が想像できますね。美味しそう!

5つめ「カイピリーニャコンソラソン」(Caipirinha Consolação)

カイピリーニャ

「やすらぎのカイピリーニャ」という意味。
すごいな、カシュー(ブラジルの果物)の実のナッツ部分が乗っている。
カシュー(カジュCaju)とタヒチライム(リモンタイチLimão Taiti、緑のライム)が入り、ローズマリー(アレクリムAlecrim)をあしらいます。ちなみにカシューの実のナッツでない部分は絞るとリンゴジュースみたいになることからカシューアップルと呼ばれていて、カシューのヘタ(ナッツがある部分)をトッピングしているからカシュー本体はそのリンゴのような果汁も使ってカイピリーニャにしていると思われます。わあー!これは飲んでみたいなあー!

6つめ「カイピリーニャクレオーラ」(Caipirinha Creoula)

カイピリーニャ

「クレオール」(白人と黒人の混血)という意味のカイピリーニャ。
黒糖や糖蜜が入っているので黒人との混血という名前がついたのでしょう。あるいはそれはサトウキビプランテーション時代の黒人奴隷を思い出すべきなのか。
シチリアレモン(リモンシシリアーノLimão Siciliano、割と普通のレモン)、タヒチライム(リモンタイチLimão Taiti、緑のライム)、黒糖(ラパドゥラRapadura)、糖蜜(メラサMelaça)が入っています。美味しそうだし、疲れが取れそうです!

7つめ「カイピリーニャダパトロア」(Caipirinha Da Patroa)

カイピリーニャ

「女主人」という意味のカイピリーニャ。
ラズベリーやベリーシロップという女性好みの高級食材が入っている。色がいいよね、確かに女帝向きだな。
ラズベリー(フランボエザFramboesa)、バナナ(Banana)、赤いベリーのシロップ(シャロペジフルータスベルメーリャスXarope de Frutas Vermelhas)が入っています。個人的好みとしてはバナナがなければ絶対飛びつくのになあ。バナナスライスを先に食べて女帝気分を後からゆっくり優雅に味わうか。

8つめ「カイピリーニャバラフンダ」(Caipirinha Barra Funda)

カイピリーニャ

「移民地区」という意味のカイピリーニャでしょうか。あるいはその移民地区は大農園として発展してきたのだから「大農園」という意味のカイピリーニャということにもなるのか。緑色から推測するに緑の豊かさつながりで後者かな。
そもそもサンパウロの発展は特に日本人移民の尽力があってこそ。バラフンダでは日本人移民が大勢生活してきました。
パイナップル(アバカシAbacaxi)、マスカット(ウバベルジUva Verde)、青りんごシロップ(マサベルジシャロペMaça Verde Xarope)が入りミント(オルテラHortelä)をあしらいます。緑色の統一感が美しいし、この4つの素材の組み合わせは美味しそうだと思える!

9つめ「カイピリーニャジョニーズ」(Caipirinha Jhonny’s)

カイピリーニャ

店名の「ジョニーズバー」の名前がついているのでお店の自慢のカイピリーニャです。ちなみにジョニーズバーは私がサンパウロの治安が良い地区を選んで滞在しているときに宿の近所をぷらりと歩いて「この店良さそう」と思って入ったお店です。人気があって店舗数拡大中で、私が入ったのは立ち上げたばかりの新規店舗でした。従業員の対応も、店先に警備員がいる点も、料理の味もお酒の味も、大勢のお客さんが来ていて歓談を楽しんでいる様子も、どれも良かったです。
パッションフルーツ(マラクージャMaracujá)、いちご(モランゴMorango)、パイナップル(アバカシAbacaxi)が入っています。私はパッションフルーツが大好きなので、これは絶対美味しいだろうなあ、次があれば飲みたいです♪

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このように、カイピリーニャの本場のサンパウロではたくさんのカイピリーニャが飲まれていることが分かりました。

でも本当にこれら全部カイピリーニャなの?って思いますか?

カイピリーニャ

ほら、メニューの見出しが「カイピリーニャ」だから、本当にこれ全部カイピリーニャなのです。

このお店のメニュー表では、ベースの酒(日本酒以外は蒸留酒)もいろいろ、フルーツの組み合わせもいろいろ。

では最後の疑問。

カイピリーニャとは?

その疑問も、この本場の現場での体験から核心をつかめました。

カイピリーニャはベースの濃い酒をフルーティーに割ったカクテルである

と。

酒に決まりはない。果物にも決まりはない。だけど日本の味噌汁のように「定番」は「スタンダード」に位置付けられる。味噌汁なら、ねぎ、豆腐、わかめは定番でスタンダードです。でも納豆の味噌汁はあるし、さつまいもの味噌汁はあるし、意外な味噌汁はいくらでもある。カイピリーニャも、意外な路線で作られて幅を広げてきたが、そもそもはサンパウロの酒にサンパウロの果物を入れるのが定番なのだ。だから基本はカイピリーニャで、果物は柑橘類やカシューを使う。

でもカイピリーニャの幅は広がり、酒と果物の選択肢が増した。選択肢が増しても彼らにとってベースの濃い酒をフルーティーに割ればカイピリーニャなのだ

今どきベースの酒に日本酒があるのも感慨深いですよね。ほかが全部蒸留酒なのにここだけ醸造酒を使っています。サンパウロは日系移民の働きがあってこその発展を遂げた街で日本人が尊敬されている街ですから、日本酒も尊敬されているのでしょうね。

ちなみに「日本酒ベースのカイピリーニャ」を端的に示す場合、現地ポルトガル語ではサケピリーニャ(Sakepirinha)と呼ばれています (^^)

酒をサケ以外に訳さない点が嬉しいね!

最近、カイピリーニャの最もスタンダードなベースであるカシャッサを買ったので、スタンダードな柑橘のカイピリーニャから、私オリジナルの意外なカイピリーニャまでいろいろ作って楽しんでみようと思います♪

カイピリーニャ


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本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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