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ときどきスーパーの冷凍コーナーで、クジラの皮つき皮下脂肪を見かけます。

私はこれを長年見てきて、「クジラの脂肪でアクタクを作りたいなあ」と思ってきました。アクタクはカナダやアラスカのエスキモー/イヌイット料理で、クジラの脂肪で作るアイスクリームです。
ある日、決意した。そして買った!
「とりあえず買っておけば作るだろう」、「買わないことには作らないだろう」と思い、買いました。冷凍品なので自宅でも冷凍庫に入れておけます。冷凍庫に入れておいて、作る “時” を待ちます。
アクタクを作る “時” とは!?
それは大雪の日です。降り始めの雪はだめ。大気汚染ごと降ってきますので。降って降って降り続いたタイミングで、さらさらで気持ち良い雪を集めるのです。
西日本の低地の暖地に住んでいると、この機会は年に一度あるかないかです。
でも、やっといい雪が降りましたよ!!!

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クジラの皮つき皮下脂肪をごく薄くスライスしてゆがきます。これは「おばいけ」等呼ばれる郷土料理であり、酢味噌やポン酢などでいただきます。
ゆがいた後のゆで汁。

1晩置いておくと脂肪分は完全凝固し、たっぷりの脂肪が取れました。
これを精製します。脂肪だけを取り出し、きれいな水に入れ、再度沸かして再度冷やします。
精製脂肪が取れました。

すくってキッチンペーパーに乗せて水分を除去し、脂肪分を秤取します。

82 g取れました。
皮クジラは200 gくらいだったから約40%取れたということなのだろうけど、このへんはスライスの薄さやゆがき具合によって大きく変わりますね。
雪と砂糖とブルーベリーもスタンバイできていますよ。
まずは脂肪だけをふわふわっと混ぜる!

砂糖を加えてふわふわっと混ぜる!

雪を加えてふわふわっと混ぜる!

雪を扱っていますからね、部屋は暖房をつけません。
ブルーベリー(凍ったまま)を投入!

ハンドブレンダー!
ブルーベリーから出てくる果汁は脂肪と混ざりませんから、機械撹拌で均一にしていきます。

溶けてはいけないし、完全に凍ると撹拌できないので、ぎりぎりの温度を見計らいます。だから、ちょっと撹拌しては冷凍庫に入れ、撹拌しては冷凍庫に入れ、を繰り返します。そして空気を含めながら全体が均質な良質のアイスクリームを作っていきます。このときの機械撹拌の感触がすごく良かった。上質のアイスクリームを作っている感触がしていました。
アクタクが出来た\(^o^)/

きゃああああ!綺麗~ (´∀`*)
そして味は、得も言われぬほど素晴らしかったです。
「いい油脂」がないとこの幸せな味は出せない。このゴージャスな食感は出せない。不飽和度の高い油脂じゃゆるくてだめ、飽和度の高い油脂じゃ硬くてだめ。炭素数が少ない油脂でも柔らかくてだめ。単なる動物性脂肪のアイスクリームじゃない。高度不飽和脂肪酸のなせる業よ。ω-3系不飽和脂肪酸のウルトラ素晴らしさよ。・・・簡単に言うと、「油にもいろいろあるがクジラの脂肪は絶品」だということです。
人の舌は脂肪の味をいやおうがなしに美味しいと感じますが、クジラの脂肪は長年北の海の民族の命を支えてきた・・・言い換えればかれれは「クジラがいれば生きていける」とクジラに依存する民族性を打ち立てたわけで、それだけクジラの脂肪には人類を惹きつける味があるのだ。
食品添加物だらけの市販のアイスクリームとはレベルが違う。というか比較にもならない。そこに、砂糖もフルーツも雪も、天然の素材だけが加わる極上品です。要は美味しいものしか入れていないわけで、出来上がりも美味しいのです。
雪がポイントですね。水分を入れないと味に軽さが出ないのだけど、水と脂肪では初期の撹拌ができないし、氷と脂肪でも初期の撹拌が出来ない。だけど雪なら撹拌できる、ということなのだろうな。自分で作ってみて「雪を使うことの大きなメリット」を実感しました。
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ふふ。ちょっと気取って雪の中でセットして撮影しました♪

雪とクジラの脂肪から作るウルトラ贅沢なエスキモー/イヌイットアイスクリーム、「アクタク」に尊敬の念を込めてーーー。
