新疆ウイグル自治区の旅では、夫が昔旅して良かった思い出のある「艾丁湖乡(アイデン湖郷)」に足を運んだ。そこはウイグル人が伝統を残して暮らす、心温まる素晴らしい場所だった。
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トルファンの街で、近郊へ行くミニバス乗り場を探した。

ミニバスはこういう車。

こういう車の多くは人数が集まると出発する仕組みで、席取りのために座っていたら、日本語が上手なウイグル人が「これは観光地に行く車じゃないですよ」と慌てて教えてくれた。
大丈夫。私たちの目的地「艾丁湖乡(アイデン湖郷)」は観光地ではないのだから。
夫の記憶にある、こんな場所で下車をした。

ずいぶんと辺境に来た気分だ。当時は知らなかったけれど、これはお墓だそうだ。
ロバの馬車が彼らのマイカー。

シルクロードの世界そのものだなあ。
泥壁のモスクがあった。

村の中心へ向かうと、子どもたちが公園で遊んでいた。

とても可愛いウイグル人の子どもたち。中央の少女は私にぴとぴとくっついてなついてくれる。
私がウイグル語を一切話せないし、子どもたちはウイグル語以外の言葉が話せない。だが、彼女の名前が「アリア」ということは分かった。
アリアは私と夫の手を引っ張って、ずいずいと歩いていく。
到着したのは、アリアの自宅。

ウイグル人の田舎の暮らしは土壁の住居。アリアは母親に私たちと出会ったことを嬉々として報告している。アリアはお母さんと仲良しなんだね。
自宅の中は、土間から数十センチ高いところに上がる形で居間がある。

じゅうたんがたくさんあって、布団がきれいにたたまれているのは、ウイグル人の典型的な暮らしだ。アリアが座布団を広げてくれた。
家のご主人、多分アリアのお父さんが、チャイ(お茶)を淹れてくれた。

薪ストーブ兼鍋炊きの窯が家の土間にある。

やかんはここが定位置なの。いいね、素敵だね、この雰囲気大好き♪
それから美味しいマンタが登場♪

マンタは小麦粉の麺生地に肉や野菜を詰めて、つまりは巨大な餃子を作って、蒸して作る料理だ。マンタはウイグル料理を代表する名菜の1つである。
お料理上手のお母さんと、気立ての良いアリア。

家屋は質素でも丁寧に手入れされて暮らしている様子が伺えた。
アリアが私の手を引っ張って別の家へ連れて行ってくれた。お友達の家のようだ。
中庭の、すなわち屋外の調理キッチン。

レンガを積んで薪のかまどを作り、鉄鍋がセットされている。
私たちが到着すると、冷えたプロフ(肉にんじん炊き込みご飯)を温め直してくれた。
プロフを食べる私たちにお茶を淹れてくれる夫婦。

きれいに手入れされたやかんが素晴らしい。
そして、優しいウイグル人の笑顔がとても素敵だ。
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さて、そろそろ戻る車を探さないと今日中にトルファンに帰れなくなると思い、ここでおいとまして、アイデン湖村を歩いた。
パン屋さん。

インドでタンドーリチキンを作るのと同じ原理構造の窯がある。
熱くなっている内面に薄いパン生地を貼り付けて焼き、ナン(円盤状のパン)を作る。

円盤状のパンは、フチが厚く、中央は薄く。そして中央にはトゥクチェ(剣山のような道具)で美しい模様をつける。

私も模様つけを体験させてもらいました♪
青空肉屋さん。

羊のお肉。いいなあ、美味しそうだなあ。
青空八百屋さん。

そうして私たちは車が通りそうな道に出た。

ヒッチハイクして、およそ40 km離れたトルファンに戻った。
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アイデン湖村は、シルクロードの原風景が広がるかのような、素朴で素晴らしい集落だった。
ただ、ウイグル人たちが、今はどういう暮らしをしているのかは、私は分からない。
漢民族は入ってきているだろうし、共存できているか、漢民族が主体になっているか、今もウイグル人の村で在り続けているかを、日本にいては知る由がない。
プロフをごちそうしてくれた家のご主人が、ウイグル語でメモを書いてくれた。住所だと思うが、結局手紙も書けていない。今その村がどうなっているか不安だから、今手紙を書く勇気もない…。
そして大好きな少女アリア。
天使のような子だった。今も元気かな…。

ああ、出来ることなら、またアリアに会いたい…。
あの日、私と夫に素晴らしい思い出を作ってくれた村の皆さんに、心から感謝します。
そして、「どうかお幸せなご一生を」と、心の底よりお祈りいたします。
