前から気になっていた「お肉柔らか実験」をキッチンで行いました。
よく、お肉を○○に漬け込むと柔らかくなるとか美味しくなるとか、そういう風に聞いたことを、聞くだけでなくて自分でも試してみようと思いました。
食用の試薬は、いつも「重曹」と「クエン酸」が手元にあります。
それでは「お肉柔らか実験」、始めます!!
* * *
なお、重曹とクエン酸の比重実験ならびに酸・アルカリの強度比較については前回記事で掲載しています。
前回結論は、「同体積のクエン酸と炭酸水素ナトリウムは酸とアルカリの強さが同じ。同体積で当量点反応する」、でした。
なので、クエン酸及び重曹を同量使用して、酸度とアルカリ度が同等の(対等のと言ったほうがいいのかな)溶液を調製しました。
お肉の漬け込み溶液を調製します。
左から、
(1)重曹小さじ1/2杯を入れて水で100 mLにメスアップした溶液
(2)クエン酸小さじ1/2杯を入れて水で100 mLにメスアップした溶液
(3)何もしない
です。
通常の化学実験なら試薬としてのControl(対照)としては試薬抜きで水100 mLのみとするのが定石ですが、ここは「お肉を焼く」という行為に対してのControlなので、重曹とかクエン酸を使わない場合は、対照となる行為は「そのまま焼く」ことになるので、水に浸けませんでした。
イノシシのスペアリブを漬け込みました。
左からの順番は変えていません。
氷冷チルド(ほぼ0℃)で24時間経過。
(1)重曹溶液に漬け込むと液体が赤くなる。溶血のみならず組織が融解したか?
(2)クエン酸溶液に漬け込むと肉が茶色くなる。酸で肉が焼けるのと同等の変性をしたか?
(3)何もしないものは見かけの変化なし。
調理します。
漬け汁は捨て、肉のみを取り、煮切りみりんと醤油でタレ焼きにしました。
出来ました。
見た目の違いは少ないです。
(1)重曹溶液に浸けたものは柔らかさが良いが味が抜けている。
(2)クエン酸溶液に浸けたものは歯ごたえが増すが肉の旨味がめちゃ濃くて美味しい。
(3)何もしない肉も美味しい(天然のイノシシ肉だからねえ☆)
* * *
ということで、お肉柔らか実験は、とても分かりやすい結果が出ました。
肉を美味しくするものはクエン酸でした。
肉を柔らかくするものは重曹でした。
しかし重曹では肉の味が抜けました。クエン酸では噛み切りにくいような弾力が生まれました。
これだけ対照的な結果が出ると分かりやすいですね。
例えばスジっぽくて硬そうな肉なら重曹溶液に浸けるとか、頼りない肉ならクエン酸溶液に浸けて旨味と弾力を増すとか。お肉ライフが今以上に楽しくなりそうです♪