チベット料理といえばまずは何よりツァンパ(ハダカムギの粉)! 東チベット圏に属する夏河(シャーハー)の街で、しいたけにツァンパを乗せて焼いた料理を食べたことがあります。
上の写真がチベット料理「ザオーコンズィー」、現地撮影の写真です。
チベット料理「しいたけのツァンパ乗せ焼き」の名称が分かった!!
しかしですよ!?
チベットはほとんど森林限界を超えてるんじゃないか!?
とそのように、我ながらイイところを突く疑問を抱いたのです (^^)v
標高が高いと森林を形成するほど木が密に茂らないのです。目安というか覚えやすさとして森林限界の標高はよく「富士山五合目」と言われ、富士スカイラインからの五合目は標高2300 m(※)です
※五合目とは正確な測定によらずに作られたものなので、富士山には1400 mから2400 mまで様々な標高の五合目があります。
チベット高原の平均標高は約4500 m。上のしいたけ料理を食べた夏河(シャーハー)で2900 m、玉樹(ユーシュー)が3700 m、甘孜(カンゼ)の低い所で3300 m。どれも森林限界以上の標高だ。
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これは自宅の作業の写真です。
しいたけは森から木を切って適切に寝かせた後で種菌を打ち込みます。
打ち込みが終わった原木はほだ木と呼ばれ、適切に寝かせた後で、また森に戻して立てかけます。
2回夏を越すと収穫できるようになります。
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と、このようなしいたけ作りには森が必要なので、チベット人が伝統的にしいたけを食べてきたとは思えない。考えられることは、1)草原のきのこを食べた、2)漢民族や雲南諸地域からしいたけが運ばれている、3)低地から原木を仕入れてチベット人がチベットしいたけを栽培している。
2はありうるんだけど、3は気候が厳しいと思うし、興味があるのは1です。私は野生のきのこが大好きなので、「チベットのきのこ」を興味を持って探してみようと思いました。
◆China Tibet Online(≫こちら)
伝統草原烤蘑菇(ユントンツァオユエンカオモーグー)
「草原」って書いてあるよ。
下の画像、茶色いきのこでしいたけに似ているけれど、
「glassland」って書いてある。よってしいたけではない。草原のきのこだ。
私が食べたのと同じ料理だ。黄色いきのこだ。あと不思議なのはチベットで見たツァンパよりも白いのだが、精製度合いが違うのか。
◆Tibet Fungal Floral Foray 2010(≫こちら)
タイトルは「チベットのきのこと花の旅2010年」。美しいチベット人の生活が見られる良いページを見つけましたよ。
ここに出てくるチベットきのこは、マツタケ、サクラシメジ、ヤマドリタケモドキ、クサハツ。
このクサハツは上に出てくる茶色いきのこに出てくるが、とにかくクサイので(多分これが名前の由来)食用にならないから違うだろうな。
そのほかキンチャヤマイグチ、ニガクリタケ、コガネニカワタケ、アンズタケ、冬虫夏草、と来たところで、「Floccularia luteovirens」の学名が出てきた。和名は検索できず。中国普通話での名称は「黄绿卷毛菇」(ホワンリュージュエンマオグー)。
黄色いきのこだ!
中国食用菌名录(≫こちら)を見るとFloccularia luteovirens (Alb. & Schwein.) Pouzarの学名が与えられていた。
と、このようにこのWEBサイトを最後まで見て、黄色い草原きのこの正体が分かりました。ラサ(チベットの中心の街)ではセルシャと呼ばれていることが書かれていました。マツタケの2倍の値段がするそうですよ。ラサとは離れたアムド地方の表記を多数掲載するチベット牧畜文化ポータル(≫こちら)ではヒャモ(ཤྭ་མོ།)という名称が記載されていました。
でも「ཤྭ་མོ།」の綴りなら「シャモ」と読んでもいいはず(だと思うんだけど…)。
そうするとブータン料理のシャモダツィ(きのこのチーズ煮)とつながります。
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チベット料理に使われる天然きのこの1つとして、草原に生える黄色いきのこの正体が分かりました。チベット系言語でセルシャやヒャモ/シャモと呼ばれ、中国普通話では黄绿卷毛菇(ホワンリュージュエンマオグー)と呼ばれます。学名は「Floccularia luteovirens (Alb. & Schwein.) Pouzar」と分かりましたが、日本では発見されていないのか和名は見つかりませんでした。
以上、チベットのきのこの勉強でした(*^ ^*)