このたび、
狩猟免許試験を受験しました。
理由は、
世界の料理研究家として「ジビエ料理」にしっかりと取り組みたい
という前向きな気持ちによります。
ジビエのお肉が欲しいだけなら、これまでのように、狩猟免許を持っている人に譲ってもらえばよいのだけど、ジビエ料理レシピに取り組んでいる自分に日本の狩猟制度の知識がないことが恥ずかしいと思っていたのです。だから、日本の狩猟についてちゃんと知りたいという気持ちが近年増えてきました。
欲しいのは知識。
だから、ちゃんと勉強をするために、狩猟免許試験を受けることにしました。
合格ラインは70%(100点中70点)なので、試験に合格するだけなら多分難しくない。だけど知識が欲しい人が合格ラインの70%を目指して勉強していてはだめですよね。知識が欲しいなら100点を取るよう勉強をするべきです。
私は、長年薬剤師の国試のプロとして、勉強の心構え、有効な試験勉強、高得点しか取れないような勉強法を受講生たちに伝授・指導し続けてきました。だから私としては、自分の実績の集大成として、自分自身が ”ちゃんと” 合格すべく、勉強を頑張りたいと思ったのです。
今日から3回連載で、私の狩猟免許試験合格の勉強法として行ったことを記載していこうと思います。読む人の役に立つことがあるなら嬉しいですが、一番の目的は自分の記録と思い出として毎日テキストファイルに書いていた学習の進捗記録を自分の記念に残すのみです。
* * *
1日目(6月2日、日曜日)
<事前講習会>
素人の私は、まず地域猟友会主催の事前講習会を受けた。受講料8000円は教科書と問題集込みの値段で、講義は午前中に行われた。猟友会の講師の先生は初心者である我々に大まかな仕組みや試験対策の重点を教えてくれる。授業は2時間くらいだったかな。
私はまず、一目散に教材をパラパラとめくって訂正表を探し出した。そして授業開始前に教科書と問題集の訂正表をすべて教材に反映させた。教科書と問題集をいち早く正しい状態にするのは基本のキだ。講師が「では○ページの上から○行目」と言ったとき、その行に訂正箇所が該当していたこともあったから、訂正を早く正すのは大事だ。訂正前の間違えたことを頭に入れずに済んだ。
受講中、みなさんは、講師の先生が「ここを線引いて」と言うところに線を引いている。そのたびに教室に「シャー」という音が鳴る(集団で紙に蛍光ペンを引くとこういう音がするんです)。
でも私は教科書には何も線を引かない&書き込まない。自宅での勉強をきれいに進めるために教科書は無傷で通す。教科書に線を引いたり何かを書くときは、自分が考えてから書くものだからだ。そのかわり、先生の話した言葉やスライドで投影された要点をすべてノートに書いていった。
B5のノートにこんな感じで10ページ以上も殴り書きだ! ものすごい量のメモ書きがとれた。まさか、教科書が300ページ以上あって、2時間の講習かつ今日から試験日までの2週間の勉強期間で、こんなに覚えることが多いとは予想していなかったので、量の膨大さに、顔からお気軽さが消えていった。
<勉強計画>
さて昼過ぎに帰宅し、午後は自宅で「一人作戦会議」をした。安易に手を付け始めると安易に勉強を進めてしまうから、作戦会議は最重要である。教科書・問題集・今日のノートを前にし、勉強計画を考えた。2時間くらいうなってたんじゃないかな。
素人なので何がどれだけ時間がかかるのかも分かるわけがないからスケジュール表や計画表なんて作れない。何から手をつけ、どう手をつけ、どういうレベルに達したら次に行っていいかというイメージと、自分が着実に知識の階段を上っていくイメージを考えていた。まあ欲しいのは知識なので知識モンは全部覚えていけばいいんだけど、2週間しかないという短期間(しかも家事も仕事も出張も入る)ゆえに全部覚えるだけの時間がないと思ったんですよね。ならばどういう水準で一巡を終えるか、どのタイミングで反復に入るか、そういうことを考えていた。
今日は初日なので試験の出題要綱も熟読した。試験の仕組み、出題と手法、採点方法、配点について、慎重に熟読した。敵を知らないと倒せないっしょ。私が何べんも言ってきたことだけど受験生は配点には勝てないからね。だから熟読して頭に入れて学習計画を練っていった。
<鳥獣スライド作り>
勉強計画の結論として、教科書は明後日から読むことにした。そして今日は今後必要になる準備をする。
教科書冒頭のカラーページをスキャナーで取り込み、鳥獣のボディギリギリでトリミングして、69種すべてを個々の画像ファイル(JPG)化した。試験は猟友会の教材からは出題されると聞くからこれ以外の鳥獣はやらない。画像ファイルのファイル名は狩猟可否と名称、つまり、「○アナグマ」や「×トモエガモ」のようにした。
次に、「全69種フォルダ」「獣フォルダ」「鳥フォルダ」「実技試験16種だけのフォルダ」など、いろいろなパターンに仕分けした。
やっているうちに、これは判別が困難だと思うものが出てきたので、「リスっぽいフォルダ」「カモっぽいフォルダ」「イタチ♂♀フォルダ」(ほんとにイタチ2枚しか入っていないw)なんかも作っている(笑、たのしー)。
いつもデスクワークでは目の前にノートパソコンを置いているので、鳥獣画像をIrfan viewでスライドショー投影し、画像はランダム出現、ループON、1枚の投影時間を2秒(短め)~5秒(試験時と同様の長さ)にし、投影時にファイル名が大きなフォントサイズ(110 pt)で同時表示されるようにした。
▼6種類抜粋で例を作ったが、こんな感じ♪
このスライドショーを勉強中に流しておけば、自動的に正しいものを正しく見るトレーニングになる。
<類似判別のための着目点を決める>
鳥獣69種の中には、よく似ているものがある。並べられれば分かるけど単独では難しい鳥獣がいるのだ。試験では類似が並べて出題されるわけではないので、単独で出題されたときにそれが何か分からなければならないのだ。
そこでスキャンした全鳥獣の画像をワードファイルに貼り付けて類似ごとに並び替えた。特徴をつかむために、全体を見比べた上で、「ここを見れば違いが判る」という「着目点」を見出していった。
下の画像の中で、実物を見たことがあるのはシマリスくらいか・・・・・・
下の画像は難関のカモ類、苦笑、苦笑、苦笑、涙 (T_T)
これイタチの雌雄なんだけど、
イタチの雌雄はしっぽの大(オス)小(メス)や体のサイズが違うから、等しい縮尺で並べてもらえたらどっちがオスかすぐわかる。でもそのような大小の相対評価で覚えるのは危険で、単独で登場したとき大か小かが分からないからダメ。だから私は2つを長く見比べて、しっぽの長さ加減をつかむほか、「目と喉の間に茶色が入ればメス」という、相対的ではない判断基準を探すことに時間をかけた。時間はかかったが、このような類似判別のための着目点の決定を全69鳥獣で行った。実際は個体差があるからこれじゃダメなんだろうけれど、狩猟免許試験は猟友会の教科書から出るから、今はこれでいい。
とまあ、このように、私の試験対策勉強とは、あとあとの段取りがスムースになり勉強に集中できるよう先に下ごしらえをすることにある。こういうの大好き。
しかし、今日は本当に教科書を学び始めることなく、1日が終わってしまいました。
* * *
2日目(6月3日、月曜日)
<診断書、証紙、郵便局、写真>
だいたいだよ? 事前講習会から免許試験本番まで2週間しかなくて週末が3回入るのよ? 受験料の証紙とか近所に売ってないし、医師の診断書とかとらなくちゃいけないし、昨今は郵便物の配達に日数がかかるようになっているのに、「申込用紙は試験日の10日前までに必着」って何なんでしょう? 平日にお仕事があって休めない人には大変つらいシステムだと思う。
私は今日はスケジュールが調整できたので、診断書取得のために医院めぐりをした。猟友会からは「かかりつけ医による発行」と言われていて、私は健康で、ときどき湿疹や虫刺されで皮膚科に行く程度(市販薬より処方薬のほうが良い薬が手に入るのです)なのでかかりつけ医=皮膚科医。かかりつけ医と言われたので皮膚科に行くわけだが、「覚醒剤中毒でないことの証明」なんて皮膚科医は当然嫌がってしまい、案の定医院をたらいまわしにされたのだ。でも初めて訪れる心療内科が、医師の先生が素晴らしい人で、新しい環境の中で会話をすることで私も気持ちがほぐれたし良い勉強になった。しかし、たらいまわしかつ保険が効かない=時間とお金がかかるということだから、本当嫌だよねぇ。狩猟って講習会に受験料に診断書に、試験合格後はお高い税金も払ったりしてお金が万単位で飛んでくので、こういう仕組みをなんとかしないと、環境保全に取り組みたいの気持ちがあっても貯蓄がない人が手を出せず活動が普及しないんじゃないかと思うんだけど・・・。診断書だって試験合格後の免許発行申請時でもいいじゃないか・・・(医師免許や薬剤師免許はそうです)。
ともあれあとは警察署に行って証紙を買い、郵便局で返信用切手を買い、試験申し込み用紙を投函した。私は旅行をするのでビザ取得用に日頃から様々なサイズの写真を持っているが、ない人はさらに規定サイズの写真を作らなくてはならないから大変だろうな。
昼に帰宅。
<良質な「切り離し問題集」を作る>
午後は「切り離し問題集」を作った。
私は狩猟免許のことや鳥獣のことは初心者だ。よって、問題を解けない人が問題を解いてる場合じゃない。もう一度書くが、これは私の受験指導の是でもあるが、問題を解けない人が問題を解いてちゃいけないので、あくまで勉強は教科書で行う。問題集は「こういうことがこういう深さで聞かれるのか」というリサーチにはよいが、あくまで勉強は教科書で行うものだ。
よって、手短に、問題集作業を終えてしまおう。それが「切り離し問題集」作成である。「こういうことがこういう深さで聞かれるのか」というリサーチをこれで行う。
問題集は問題直下に解答解説がついているが、解答解説が直下についている問題集は「勉強」を非っ常~に邪魔する。問題が解けないときは常に教科書に戻って「正しいものを正しく見る」ことを反復しなければいけないので、中途半端な解説など本当に邪魔。
「切り離し問題集」とは、「解答解説抜きの、1問ずつ切り離した形の、シャッフルもでき、重要度や必要度に分けて分離できる形の問題集」である。まず問題集をスキャンし、設問部分のみ(解答解説を除く部分)をワードA4サイズ1枚に2問(つまりA5に1問)入るようにコピペしていった。
問題集は4分野に分かれている。法令、猟具、鳥獣、保護管理。問題集は4分野がそれぞれ問1から始まっていてまぎらわしいので、「法」「具」「鳥」「保」の字をそれぞれにでっかく冒頭につけた。これなら「法の問15」と分野が明記されているので混同しない。
A4でプリントアウトし、A5に切断し、合計でおよそ300枚の問題用紙を作った。・・・・・・机に積み上げて唖然とする。
2週間で終わるんか? 2週間でマスターできるんか? 応用問題が出されても100点取れるような勉強が2週間で出来るんか?これ・・・・・・・・