゚・*美味しさは、香りで作る。*・゚【スパイスアンバサダー2023】
使用スパイス:こしょう
津和野町は、山間の小さな盆地に広がる、町並みが小京都の代表格として知られる島根県南西部の町です。最近、津和野町にお住いの方がご自宅付近で獲れたイノシシのお肉を分けてくださいました。
ところで道の駅などで売られているイノシシ肉の加工品といえば醤油煮やレトルトカレーが目立ちますよね。でも、世界にはお肉の美味しい食べ方が無限大に満ちているんです。なぜなら世界は肉食です。一方で日本は仏教の戒律が国政にも反映されたほど肉食忌避の習慣が長びき、遊牧文化もなく、牛などの大型動物は労働力であり食用でなかった。だから、世界と比較すると米や魚や野菜には長ける一方で肉の食べ方に疎い民族、と言うことができるのです。
今回いただいたお肉は、肩まわりと前脚の3650 gです(重量は脚の骨を含む)。譲って下さった方に御礼の気持ちを込めて、何より里山の恵みとして我が家にやってきたお肉にめいっぱい感謝して、大切に美味しく食べていこうと思います。
今回の記事以降、3650 gのイノシシ肉が美味しく食べつくされるまで、作った料理を連続掲載します。
* * *
第1回、東チモール料理「ミダシーン」
お肉使用量:400 g(全量3650 g中累計400 g)。
すっごい美味しい!! 一口めを食べた瞬間「人生のモチベーションが上がる味!」と大げさなことを思いついたくらいに気分が高揚した、美味しい東チモール料理です。タマリンドという酸味の強い豆の果肉で作る酢豚のようなこの料理は典型的な美味しい東南アジア味の1つです。酸味で調理するのでお肉も柔らかくて美味しくなるんですよ。
材料(4人分):
- かたまり肉(※1)
- 400 g
- 薄力粉
- 大2
- お湯(※2)
- 200 mL
- タマリンドペースト
- 20 g
- 砂糖
- 大1.5
- サラダ油
- 揚げ物の量(※3)
- 玉ねぎ
- 1個
- にんにく
- 2かけ
- 醤油
- 大2
- こしょう
- 小1/3
※1:イノシシ肉または豚かたまり肉を使います。脂身が多すぎないよう、赤身が多い部位を選ぶとよいです。
※2:お湯は砂糖が溶ければよいので熱湯でなくて構いません。
※3:サラダ油は肉のから揚げを作るとき、鍋の底から1~2 cmの深さとなる量を使います。
作業工程:40 分
- 肉を2 cm角くらいに切ってボウルに入れる。
- 薄力粉をザルか茶漉しを通して肉にまんべんなくかけ、軽く混ぜて肉の表面に均一にゆきわたるようにする。
- ボウルにお湯、タマリンドペースト、砂糖を入れ、均一に溶かし、タマリンド水を作っておく。
- 揚げ物をする鍋にサラダ油を深さ1~2 cmくらいに入れて中火で熱し、先を濡らして水気を拭き取った菜箸を入れたらシュワっと気泡があがる温度になったら肉を全部入れ、肉どうしがくっつかないようにはがしながら、から揚げを作る。
- 肉が茶色くなってしっかり火が通ったら網の上にあげておく。
- 玉ねぎとにんにくをみじん切りにする。
- フライパンか別の鍋に揚げ油を大さじ1杯入れて中火で熱し、玉ねぎとにんにくを入れ、しんなりして茶色く色づき始めるまで炒める。
- 揚げた肉、タマリンド水、醤油、こしょうを入れ、強火にし、煮詰めて水分を減らしていく。
- 煮汁が減ってきたら味見をして塩加減、甘み加減、酸味加減などを好みに調え、煮汁がとろっとするくらいに煮詰めて出来上がり。
- Enjoy!
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タマリンドの酸味が光る! 美味しいー♡♡
多くの方にとっては「東チモール?どこそれ?」って感じですけれど、近代世界史を学ぶ上では外せない東南アジアの国です。インドネシアの島々に囲まれたごく一角に、あるんですよ、元ポルトガル領の国でインドネシアに併合されてオーストラリアが天然ガスという宝の山の利権目的で東チモールの独立を推進して(推進のために国連を動かして)、で、東チモール独立に反発する元インドネシア軍人による殺戮、虐殺、焼き討ちなどが始まり国連多国籍軍の軍事介入を受けて50万人の兵士が送り込まれてドンパチしまくった悲惨な歴史の地が。
この「東チモール風酢豚」を食べている間、私と夫は「旨い旨い」と言いながらも悲惨な歴史を考察する会話をしていたのでした。世界の料理を食べる食卓は、ほんと世界の学びになりますね。
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「地域活性化のために地域の資源を活用しよう」というコンセプトが是であるなら、ジビエは最高の地域活性化ツールの1つと確信しています。このような新しい料理への活用が地域のジビエ振興のツールになれれば嬉しいですし、子どもたちの教育にも「東チモール料理を食べてアジアの戦争の歴史を学ぼう」みたいな取組みにもなるし、地元の皆さんと美味しい料理でわいわい盛り上がるのも立派な地域貢献。世界の料理はこういうポテンシャルに溢れているから、私もわくわくして活動に取り組んでいられます。
次回は「肉食いの国」と私も認めるチェコ共和国の料理を掲載します。