パキスタン料理には、「ボン」(بونگ)や「パヤ」(پایا)を使う料理が多くあります。どちらも足なのですけれど、日本の普通のスーパーでは見ない部位名で、私も「ボン」と「パヤ」が正確にどの部位を指すのか知りませんでした。でも「分からないままより、分かる努力はしよう」と思って、今回、パキスタン人にも助けてもらって、「ボン」と「パヤ」の部位を調べました。
また、足といえば、ラムシャンクくらいなら日本人でも名前を知る方が多いと思うのですが、「ではシャンクについて説明せよ」と言われると、結構厳しいですよね。
このページでは英語、ウルドゥ語(パキスタンの公用語)、中国語、日本語で検証した過程と結論を記事にします(※)。
※動物解体業者のような詳しい知識をもたないので、誤っている可能性があります。
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◆SAFFRON AND SPICE BRAISED LAMB SHANKS(≫こちら)
画像の日本語訳は「羊のシャンクって何?」
シャンクは、お腹から地面の間の、地面から離れたほうです。お腹から下に見える部位を足と思うとこれを太ももと言う人が多いかもしれない部位です。
◆炒羊肉用哪个部位的肉好?羊肉串、扒羊肉呢?(≫こちら)
タイトルの日本語訳は「炒め物に合う羊の部位は?串焼きや煮込みなら?」
后腿(ホートゥイ)を見ると分かるのですが、太ももがお尻の位置にあります。
ラムシャンクに相当する部位は后腱子(ホージェンズ)です。
それよりも末端の、地面に近いところの足は羊蹄(ヤンティー)。羊蹄(ヤンティー)は食べる部分が少ないのですが、中国料理では羊蹄(ヤンティー)も食材として使われます。
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次に、太ももとすねの位置を知るために、Wordで作図しました(私はWordの作図が大好きなのです)。
羊さん。つい、太ももとすねがこんなふうに見えませんか?
しかし骨格は、足の甲が長くてつま先立ちしていて、膝がお腹よりも上にあります。
かかとの位置に驚きです。
つまり、こうです。
もも肉はお腹よりも上にあり、すねは地面から離れた位置にあり、すねに見えるのは言わば足の甲です。
そういう目線を持って先ほどの図を見ると、Leg肉やShank肉の位置がとても納得できます。
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ここまでしっかり理解した後で、パキスタン料理食材の「ボン」と「パヤ」について位置を確定しようと思います。
◆Beef Nalli Nihari Recipe: Historic Recipe Of Southasia(≫こちら)
「ボン」(بونگ)はすね肉です。図より「ボン」は英語のShank(シャンク)に相当することが分かります。
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また、「ボン」と「パヤ」について4つの動画を見て検証しました。
◆Bong Paya – Beef Paye Recipe – How To Make Bong Paye Recipe(≫こちら)
0:14 画像中央左がボン
0:11 画像右がパヤ
◆Overnight Cooked Goat Trotters | Mutton Bong Paya Curry I Best Paya Recipe | Village Food Secrets(≫こちら)
0:09 これがボン
0:07 これがパヤ
◆Lahori Bong Paye Recipe By Food Fusion(≫こちら)
1:24 これがボン
1:23 これがパヤ。
トロッターと書いてあるけれど、タイトルが「ボンパヤ」でボンではないほうの部位なのでパヤです。
◆Bong Paye | How to make Bong Paye recipe in Urdu Hindi(≫こちら)
0:49 これがボン
0:54 画像上がパヤ
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「ボン」をまとめました。
やはり、すね(シャンク)と思われます。ボンはパヤよりもお肉が多いです。
そして「パヤ」をまとめました。
やはり、足先と思われます。パヤはお肉がとても少ない部位です。
ただ、私が数人のパキスタン人に質問したところ、これと違う回答が返ってきたこともあって、パキスタン人でも全員が知っているわけではないレベルの知識なのかもしれません。
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<まとめ>
パキスタン料理の食材でしばしば見かける「ボン」(بونگ)や「パヤ」(پایا)は、どちらも動物の足である。ボンはすね肉(地面からやや離れた部位)、パヤはそれよりも地面に近い部位である。またラムシャンクというときのシャンクはすね肉である。ただし牛や羊などの動物はかかとが地面から高く離れており、ふとももは腹より上にあるため、すね肉は知らない人が見るとふとももに見えるかもしれない位置にあり、すねに見えるかもしれない部分がパヤである。