私にとって宝物の思い出となるウイグル料理の記録、第2回です。
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ウイグル家庭料理、第2回・揚げパン
◆クイマク(قۇيماق)
クイマク(قۇيماق)はウイグルの揚げパンです。砂糖をかけているからウイグルドーナッツと言ってもいいね。薄力粉とドライイーストを使って作ります。末尾の「ク」(ق)が大変弱い音なのでどうもクイマに聞こえます。
◆クイマク(قۇيماق)、ハルワ(ھالۋا)、エッケンチャイ(ئەتكەن چاي)
朝食風景。クイマク(قۇيماق、ウイグル揚げパン)に、エッケンチャイ(ئەتكەن چاي、塩入りミルクティー)に、ハルワ(ھالۋا、小麦粉の甘い練り物)。ハルワは油と砂糖がたっぷりで、確かに朝食向きのカロリーがあり、美味しい。子供のおやつにも、風邪をひいた人への滋養食にもぴったりと言っていた。エッケンチャイのほのかな塩加減がよく合います。絶品です。
◆プルタクイマ(پىلتە قۇيماق)
この日は、ママに北京在住経験があるという話から、北京の定番料理の油条(ヨーティアオ)を作ってくれた。特にお粥と一緒に食べることで知られる揚げパン。ウイグルにも取り入れられた文化でウイグル語ではプルタクイマ(پىلتە قۇيماق)と呼ぶ。プルタは細長くしたもの、クイマは揚げパンの意味。よってプルタクイマは細長い揚げパンという意味になる。
「قۇيماق」(クイマク)は「ق ۇ ي م ا ق」が「q a m i u q」でこれを右から読む。
ちなみにラグマン(لەغمەن)の、麺を延ばす前に小麦粉の生地を細長くしてぐるぐる渦巻きにして置いておくときの状態も、プルタと呼ぶ(細長いものという意味だから)。
◆プルタクイマ(پىلتە قۇيماق)の作り方
4つの写真から見て取れることは、ふかふかに発酵させた小麦粉生地に油を塗って厚さ1 cm程度に延ばし、包丁で切って2枚重ねにして、少しひねって延ばし、菜箸で中心線がへこむように押し付けて、フライパンに深さ2 cm程度に油を入れて、低すぎず高すぎない温度(多分160℃くらい)で生地の中の気泡を膨らませながら軽いパンになるように揚げていく。
*プルタクイマを作るときの小麦粉は強力粉使用。
◆プルタクイマ(پىلتە قۇيماق)に砂糖をかけて
コーヒーを飲んでいるとき、ママがプルタクイマ(پىلتە قۇيماق)に砂糖をかけたものを出してくれました。良いおやつになり、感謝。
◆プルタクイマ(پىلتە قۇيماق)とグルチアシ(گۈرۈچ ئاش)
中国の大定番の食事スタイルの1つに、「油条(ヨーティアオ、揚げパン)を稀饭(シーファン、お粥)と共に食べる」というものがあります。これをウイグル語で言うと「プルタクイマ(پىلتە قۇيماق)をグルチアシ(گۈرۈچ ئاش)と共に食べる」、というものになります。
グルチアシは、グルチが(گۈرۈچ)が米で、アシ(ئاش)が食事の意味。ウイグル料理の場合、アシはスープ類に穀物が入った料理を意味することが多々あるので、よってグルチアチはお粥の意味になる。このグルチアシは中国本場さながらの米が割れるようにとろとろに煮溶けた良い粥だった。
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以下は全7回の見出しINDEXです。次回につづく。
第1回・茶とパンと甘味
第2回・揚げパン
第3回・蒸しパン
第4回・水餃子とショルパ
第5回・手打ち麺
第6回・具入りご飯と具入り粥
第7回・ガンペンとセイ、謝辞