私の好きな言葉があります。
「料理のむこうに、地球が見える」
今日取り上げる世界の料理は、中東アラブのサウジアラビアの穀物&お肉粥『サリーグ』です。今回、普段はなかなか作れないこの世界の料理を自宅でカンタンに、しかも電子レンジで楽しくカンタンに!!作ることができました。今日はその良さならびにレシピ化する際の栄養学的工夫などを記事にしようと思います。
* * *
今回、モニター商品で、「もち麦おかゆ」(≫こちら)(株式会社はくばく、≫こちら)を受領しました。
この商品を使って考案するレシピには条件が付されていました。
- 手軽なアレンジ料理であること
- 元気なときでも適するレシピであること
- 日常のシーン(それはおそらく普段の生活にとけこむ料理という意味)
- 身近な食材を使うこと
- 簡単に出来ること
です。
これを受けて考慮したのは以下の点です。
- おかゆがもつ「病気の人の食事」のイメージを払拭すること(「元気なときでも」の文言より)
- コンスタントに摂食できること(「日常的」「身近な食材」「簡単」の文言より)
- コンスタントに摂食するためにも美味しいこと
- そして1食として機能できるふさわしい栄養を考えたい
「おかゆを元気なときにも食べる」という印象のためにも是非肉類を付与した元気ごはんにしよう。身近な食材という点でスーパーで買えるものを使おう。簡単に作れるためには追加食材は2つ程度(今回は鶏肉と玉ねぎ)にして、鍋要らずの電子レンジ料理にしたらいいだろうなあ。確かにおかゆとは病気のときに食べるイメージはあるが、遠い異国の世界のおかゆとなると、外国の美味しいものとして、エスニック料理のように捉えていけるだろう。
この商品は、世界の料理を日常的に作る私ですら常備していない大麦(もち麦)が、丁寧に火入れされて良いおかゆとなっています。だから、あとは簡単に電子レンジ加熱すればいい。
なにより、折角料理するなら美味しいものを作りたい。
それがサリーグなら間違いない!!
西アジアのアラビア半島の風味をしみじみと感じる料理です。なんたって粥のアラブ風味が良い。詳細は後述しますが、おかゆ商品単体をサリーグにすることで、1食に適する栄養価も随分と達成することができたのです。
レシピは簡単です。
材料(1人分):
- 玉ねぎ
- 1/6個
- 鶏手羽元
- 2本
- 塩
- 小1/4
- 水
- 80 mL(※1)
- カレー粉
- 小1/2
- バター
- 10 g
- カルダモン
- 1さや
- シナモンスティック
- 2 cm
- 鶏がらスープの素
- 小1/4
- もち麦おかゆ(※2)
- 1袋(※2)
- スキムミルク
- 大3
- 小ねぎ
- 刻んで大1
- パクチー
- 数本
※1:水の量は出来上がりの好みのとろみの度合いにより加減できます。
※2:はくばく株式会社「もち麦おかゆ」使用(内容量250 g)。
作業工程:10 分
- 玉ねぎを細かいみじん切りにして耐熱ボウルに入れ、鶏手羽元、塩、水を入れ、耐熱のフタ(皿などでよい)をして電子レンジ500 Wで2分30秒加熱。
- その間に調味料類を量り、カルダモンのさやには包丁の角で小さな切れ目を入れておく。
- 電子レンジ加熱が終わったらフタをあけ、全体を混ぜ、鶏手羽元をひっくり返し、フタをして電子レンジ500 Wで更に2分30秒加熱する。
- 電子レンジ加熱が終わったら、鶏肉だけを別のボウルに取り出し、鶏肉にカレー粉をふってバターを乗せ、粗熱が取れるよう室温に置いておく。
- 鶏肉を加熱したボウルにもち麦おかゆ、カルダモン、シナモンスティック、鶏がらスープの素を入れて混ぜ、フタをして電子レンジ500 Wで2分加熱
- その間にキッチンバサミなどを使って鶏肉を細切りにし、骨から肉をはがす。軟骨を細切りにしてもよい。細切りの鶏肉や軟骨を再度カレー粉バターとよく混ぜる。
- 加熱が終わったおかゆにスキムミルクを加えて均一になるように混ぜる。このときカルダモンとシナモンスティックを取り除く。
- 盛り付ける器に鶏の骨を入れ、鶏肉の半量を入れ、おかゆを入れ、鶏肉の残り半量を乗せる。鶏肉が漬かっていたカレー粉バターも全部入れる。
- 小口切りにした小ねぎとパクチーを乗せて出来上がり。
- Enjoy!
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うわー、やっぱりサリーグは美味しい♪ 丁寧に仕込まれた市販のもち麦おかゆの風味がいいね。そこにシナモンとカルダモンのうっとりする中東の旅の記憶が香ってきます。ミルクとバターのほか、鶏肉をレンジで加熱したから骨周りまで短時間で火が通って軟骨がめちゃくちゃ美味。カレー粉とバターって合う。そんな贅沢なお味のごちそうがミルキー濃厚粥の上に乗るんです。
このレシピ分量を算出するために、使用量を入力するだけで全ての重要栄養素が自動算出されるようにエクセルを組みました(※)。
※出典:七訂食品成分表、商品パッケージ、米国農務省国立栄養データベース。「もち麦おかゆ」に使用されているうるち米ともち麦の使用比率は不明だがエネルギーと炭水化物量から2元2次方程式で近似算出しながら推測し仮の数値を置いた。
特に気にかけたのは以下の3点です。
●塩分
●カロリー
●カルシウム
塩分は言わずもがな日本人の摂取過剰栄養素です、成人1日あたり男性7.5 g 女性6.5 g 未満に摂取を抑えないと体が破綻してしまう。ただ塩分がゼロではそれはそれで食事にならないので、この料理では塩分約2 g を目指し、仕上がりは2.1 gとなりました。
カロリー(エネルギー、)は、成人1日2000 kcalを摂るとして、メインの食事(夕食)では1000 kcalを超える食事もありがちだから、この一食では500 kcal前後のカロリーを目指しました。元の製品が88 kcalしかありませんが、出来上がったサリーグは517 kcal。ちょうどよい。
カルシウムは日本人の食生活で慢性的に欠乏している栄養素です。1日摂取目標量を700 mgのところ、このサリーグでは396 mg!! 素晴らしい栄養面での成果を達成しました。今回カルシウムを付与するために大いに使用したスキムミルクですが、ビタミンCやビタミンB2なども強化されているなど成長期のヒトにも適した食材で、見事に様々な栄養素を補ってくれています。
おかゆだけではゼロだった栄養素が、サリーグになってゼロ栄養素がなくなりました(※検証した範囲内)。このレシピにより7種類もの栄養素がプラスの値に転じました。ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、食塩です。
特にビタミンB1は炭水化物食には重要であることをご存知でしょうか。
ビタミンB1がないと炭水化物の代謝経路の最終産物は筋肉疲労物質の乳酸になってしまうので、ビタミンB1なくごはんを食べると疲労がたまるのです。ビタミンB1があれば炭水化物は水と二酸化炭素まで徹底代謝され、効率よくATP(※)すなわち活力みなぎるエネルギーを生み出してくれます。
※ATP:アデノシン三リン酸。
何よりもサリーグは美味しい。一口是非食べてみてください。中東アラブのフレーバー。そして粥自体の美味しさ。普通、大麦をこれほどに柔らかく美味しく食べられるようにするためには多くの時間や労力を割かなければならないところ、今回素晴らしいテクスチャーのもち麦製品を使ったことで、調理時間10分で完璧に調理できました。
ああ・・・、美味しかったなあ・・・。中に沈んでいる鶏の骨が美味しいのよ。食事の最後は骨をカリカリ噛んで軟骨を頂きます。
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私の好きな言葉があります。
「料理のむこうに、地球が見える」
この味は本物です。中東アラブの味。サウジアラビアの味。美味しくて、身近な食材で、元気な人がもりもり食べるイメージで、栄養価が考え抜かれた一皿。
なによりこれだけ満足度の高い一皿に仕上がって、私自身も栄養学の更なる学修から自己向上できて、とても満足することができました。本企画を主催されたレシピブログと株式会社はくばくに、心より感謝申し上げます。