地域の郷土料理を食べるとき、博物館は良い選択肢です。博物館はその土地の文化を教えてくれるところだから。
今日の記事は、ロシアアルタイの旅の思い出をもとに、世界の料理の収集方法の実例を記事にします。
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ロシアは広い。ざっと地図を描いてみる。
ロシアは85の行政地域に分かれ(※)、そのうち22個(※)が「インナー共和国」すなわち「ロシアという国の中にある国」として成立しています。「国の中に国がある」のはロシアの特徴の1つです。
※クリミアやセヴァストポリをロシアとした場合の数値
ピンク色がロシアの「インナー共和国」です。
チェチェンやクリミアや北オセチアなど、紛争でニュースになる国が日本では知名度があると思います。
ロシアに「アルタイ」は2つあります。アルタイ共和国(下の図中ピンク)とアルタイ地方(図中黄色)です。
でも、アルタイ共和国とアルタイ地方は、似て非なるものです。
アルタイ共和国はアルタイ人の国として成立しました。アルタイ共和国は(ロシア人が最大民族ではあるが)アルタイ人が人口の35%を占めています(2014年)。そのほかカザフ族が居住します。アルタイ人とカザフ族はどちらもテュルク系民族ですが文化が異なります。
一方でアルタイ地方はアルタイ山脈にちなんで名づけられた地域で、住民のほとんどがロシア人です。アルタイ地方にはアルタイ人はほとんど住んでいません。
私はアルタイ共和国ではコシュアガチ、マンジェロク、ゴルノアルタイスク。アルタイ地方ではビイスクに滞在しました。
アルタイ共和国に興味を持って、行ってみたいと思ったとき、ルートはアルタイ共和国の縦断となるように組みました。実際は日本から韓国経由でモンゴルのウランバートルへ飛び、モンゴル東部チンギスを訪問してからモンゴル西部ウルギーの街へ、そしてそこから先の北上の国境越えは、乗り物を持たない旅行者が北上で国境を越えた記録が見つけられなかったという、秘境の国境越えに挑戦し、成功したのです。
ただし、この国境越えの前後はカザフ族が多く住む地域なので話を割愛し、今回はアルタイ料理の話を進めます。
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アルタイ共和国に入った!! 素晴らしい自然の中を、乗り合いタクシーで進みます。
アルタイ共和国は水と森の国。美しい大自然が人気です。そういった美しい自然が魅力のマンジェロクでのコテージ滞在を満喫して・・・、
ああ、美しいところだよね。アルタイ共和国は、ロシア人の憧れの桃源郷なのです。
その後向かったのは、アルタイ共和国の都であるゴルノアルタイスク。宿のおばさんはアルタイ人で嬉しくなりました。
おばさんに、アルタイ郷土料理を教えてもらってちゃんとメモしたよ(*^_^*)
さあ、ではおでかけしましょう!!
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世界を旅してその土地の食を探すのは難しいんです。一番の理由が、限られた短い時間しかないので見つけ当てるのが難しい。そんなとき私が時に活用するのが、博物館の併設レストラン/カフェ(※)です。
※ロシアでカフェとは食事ができる施設を指します。
壁にムゼイ(музей、博物館)って書いてありますね。こういう場所にレストランやカフェがあるのなら、アルタイ共和国の歴史や文化の展示を見て、料理も食べられて、とても理解が深まる良い方法だと思います。
ほら、カフェ発見♪ 実際はGoogle検索を使って、カフェの有無や伝統料理の有無などを出来る限り事前調査してから訪問します。
ほら、伝統料理のメニュー表♪
ロシア語で手書きだと読めないことが多くて困難を極めるのですが(汗)、見出しには「Национальная кухня」(ナショナルナヤクーニャ)と書いてあります。もちろんここでは「アルタイの」「国民食」、という意味です。ちなみに国民食と言う場合、「Национальная блюда」(ナショナルナヤブリューダ)の表現もよく見かけます。私のイメージではкухня(クーニャ)はキッチンでблюда(ブリューダ)は料理という印象なのですが、こういう場では同義語で使えます。ともあれ、どちらにしてもこの表現を知っておくとロシア語圏各地で「その土地の食」が探しやすくなりますから便利です。日本人には「ナショナルナヤ」って言いにくいけど、言いやすい「ナショナル」と言っても、これまで全例で通じています。「ナショナルブリューダ」みたいに(^_-)-☆
私が注文したものは、以下の通り♪
ひゃー美味しそう!!馬肉!!
「カルタ」(Карта)という料理名です。これが、宿のアルタイ人のおばさんがアルタイ料理として教えてくれた料理の1つです。
チーズスープ♪♪ 「スプスルニー」(Суп сырный)
日本でも作りたい味♪♪ 隣のクルトンを浮かべていただきます。
わらびのサラダ♪♪ 「サラトイズパポロトニカ」(Салат из папоротника)
ちょっときつめの塩味の油炒めです。わらびのぬめりある食感が絶品。・・・うち、春にわらびが採れるので、これ作りたいなぁ・・・♡
4月半ばより天然わらびの収穫シーズンです。下ごしらえのレシピ掲載。
アルタイ料理のこと、アルタイの料理名のことを教えてくれた店員のお姉さんもアルタイ人でした。Спасибо(スパシーバ、ありがとう)。
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そして、ただ食事を採るだけでなく、博物館の展示を見られることもとても大事。アルタイ共和国の歴史や文化の展示を見れば、アルタイ共和国料理に大変に理解が深まります。
「こんな住居で暮らしながら、」
「きっとこんな家屋で、きっと今日私が食べたような、わらびや馬肉や乳製品を料理して食べたのだろうな。」
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『世界の料理』というものをちゃんとやるためには、ただ食べて「美味しー♡」だけではダメなんです。料理に影響しない背景なんてないから、各国の政治を学び、地理学、気象・気候学、民俗学、各国言語、歴史、生物(動物、植物、植生)、ヒトの細胞や代謝経路、それから食品成分の化学構造なんかも。そうそうもちろん自身に調理技術があることも大事だと思ってる。他の人がどうやってたって構わないけれど、私はそういう風に『世界の料理』に取り組んでいきたいと思ってる。
その一つとして、博物館で学び、博物館併設レストランで伝統料理を食するのは、非常に良い世界の料理の情報収集であり、非常に良い体験だと思っています。これを読んでくれた方の役に立てるのであれば、是非そういう提案をしたいと思います。
私も、これからも不断の努力を継続しなくちゃいけませんね。
「努力を続ける」ということを努力して頑張ります!!