下の料理はカルネメチャーダです。
お肉をしっとりと煮てほぐしてトマトや香辛料と共に煮る料理です。これは、大コロンビア・・・今のコロンビア、ベネズエラ、エクアドルのあたりで人気ある料理です。「カルネデスメチャーダ」と言う人もいます。
「カルネメチャーダとデスメチャーダの違いはあるのか? 同じ料理なのか?」という疑問があったので、以前仕事先で知り合ったコロンビア人男性に質問をしました。日本語が非常に流暢な彼の回答は、「同じ料理です!Carne Mechadaはベネズエラのほうの言い方ですが、Carne Desmechadaが正しい言い方です。DesmechadaはDeshilacharという動詞から使う言葉です。」と言ってくれました。
でも、これで終わっては、まだよく分からないですよね。カルネメチャーダは美味しいし、実際に自宅でレシピ化もできたことだし、料理名の由来についてちゃんと知ろうと思い、今回検証したので、その過程をまとめます。
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コロンビア人の回答では、カルネメチャーダ(Carne Mechada)とカルネデスメチャーダ(Carne Desmechada)は同じ料理。
そしてカルネメチャーダ(Carne Mechada)はベネズエラのほうの言い方、ということはコロンビアから見ると東の言葉。
カルネデスメチャーダ(Carne Desmechada)のほうが正しい言い方である。デスメチャーダを短くしてメチャーダと言っているのだけど、否定の接頭辞を省くとは大胆ですね。
そして、デスメチャーダ(Desmechada)はデスイラチャール(Deshilachar)という動詞からきている、と言っていた。
Deshilachar(デスイラチャール)は、末尾がarなのでar動詞と呼ばれます。「ほつれさせる」という意味がありました。
スペイン語の語末の「ada」は、動詞を名詞化します。
例)pintar(ピンタール)=ペイントする。pintada(ピンターダ)=落書き。
だから、Deshilachar(デスイラチャール)が「ほつれさせる」の意味なら名詞化してDeshilachada(デスイラチャーダ)=ほつれ、になるんだけど、それをDesmechada(デスメチャーダ)と言っている、ということなのだと解釈しました。もうひとつ、お肉料理で言う場合は、「ほつれ」よりも「ほぐれ」のほうが良いでしょうね。
なお、Mecha(メチャ)には、ろうそくの芯、綿織物、髪のまとまり(特にうねりがまとまっているもの)といった意味があった。
◆参考)Instagram「mechada」
よって、Mecha(メチャ)はどれも「ほぐせば細い糸や髪だが、それらがまとまっているもの」を示している。
◆参考)画像「mechas」(≫こちら)
この場合のMecha(メチャ)はろうそくの芯。細い糸がより合わさった物である。
つまり、
メチャ(Mecha)は、細い糸状のものをまとめたもの。
だから、
デスメチャ(Desmecha)は、まとめたものが糸状にほぐれること。
よって、
デスメチャーダ(Desmechada)は、もとが塊で糸状にほぐれたもの。
つまり、カルネ(Carne)=肉なので、
カルネデスメチャーダ(Carne desmechada)は、塊のお肉が糸のように細くほぐれたもの。
やった結論来た\(^o^)/
コロンビア、ベネズエラ、エクアドルあたりの料理であるカルネデスメチャーダは、塊のお肉が糸のように細くほぐれるように煮たもの。ベネズエラ方面ではデスを省いてカルネメチャーダと呼ばれる傾向がある。
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カルネデスメチャーダのほぐれたお肉♪ 下の写真ではアレパを焼いて、アレパに挟んで食べましたが、現地ではごはんとおかずのミックス盛り合わせ定食にも添えられています。
「糸のようにほぐれたもの」という料理名の意味を意識して作るのが、コツです。