とうもろこしの皮をむくと、たくさんのひげのようなものを見ることができます。写真のように、キラキラときれいな色をしています。
小さい頃から見慣れているものなので、それが何なのかを深く追ってこなかったのだけど、このたび、このひげ状のものが、とうもろこしの雌しべ(めしべ)だと知りました。とうもろこしの粒つぶが例えば500粒あったとして、理論上この雌しべも500本存在するのだそうです。筋っぽくて食べられないものではなく、むしろ柔らかくて美味しいものです。
また、英語でインターネット検索をすることで知ったのですが、このとうもろこしのひげは英語ではコーンシルク(Corn silk)すなわち「とうもろこしの絹糸」と呼ばれるそうです(日本語でも絹糸(けんし)だそうです)。キラキラ輝く美しさがシルクと例えられることには、大変に納得します。
今回、この「コーンシルク」で作るお茶が素敵な味わいだったので、記事に残そうと思いました。
* * *
コーンシルクティー(Corn silk tea)、つまりとうもろこしのひげ茶は、香ばしくて甘味があります。とうもろこしですから美味しいことと甘味があることは想像の通りです。
作り方はとても簡単です。ちょっとフライパンの中で素手を動かす作業に驚くかもしれませんが、生の茶葉から自家製のお茶を作ったことがある人には経験のある作業だと思います。
まず、とうもろこしのひげを採取します。
枯れている部分や傷んでいそうな部分を除去します。
それをフライパンの中に入れます。
およそ100℃くらい・・・と言ってもなかなかフライパンの温度は測れませんが、「かろうじて素手でも取り扱える上限」といった具合の温度でしょうか。この温度でしばらく(もちろん火傷をしないように気をつけながら)とうもろこしのひげを乾煎りしていきます。その時に、伝統的には菜箸などを使わないのは、温度が高くなりすぎるのを防ぐためです。素手で作業をすることにも意味があるのだと思います。
下の写真は…「中国で一番絵になる村」とこれまで多くの書に書かれてきた中国の宏村(ホンツン)村を旅したときに撮影したものです。村の中では、茶葉を揉念する(揉む)女性たちがたくさんいます。
やはり素手で。すなわち高すぎない温度で茶葉を乾煎りしています。これを一般的には「蒸す」と称します。じっくりと低い温度でローストし、色がついてくれば完成です。
それではこれをポットなどに入れ、熱湯を注いでしばらく待ってみましょう。分量はとうもろこし1本分のひげに対し300mLくらい。注いだ直後ではあまり甘みが浸出してこないようなので、熱湯をさしてしばらく置いて、ほのかにぬるい温度(あるいは冷茶になるまで)ゆっくりと浸出するとよいです。
ほら!できました!
* * *
自然のものって、美味しいですよね。雌しべは植物が活きる力の源であり、植物のもつホルモンというか生命エネルギーに満ちた部位であるように思います。何よりも、ときたま、こういう珍しいお茶をいただくのも美味しいものです。
ときどきいただく「コーンシルクティー」(とうもろこしのひげ茶)が美味しい。だから、次にとうもろこしを食べるのが -このおまけの美味しいお茶ゆえに- 大きな楽しみになりました。
材料(2人分):
- とうもろこしのひげ
- とうもろこし1本分
- 熱湯
- 300mL
作業工程:2 時間
- とうもろこしのひげを取り出し、傷んだ部分や枯れた部分を取り除く。
- フライパンを弱火にかけ、100℃くらいの温度と思われる温度にし、とうもろこしのひげを入れ、素手(または菜箸)でキツネ色に変わるまで炒る。
- とうもろこしのひげをポットなどに入れ、熱湯を注ぎ、フタをして1時間以上待つ。
- 香りが抽出出来たら出来上がり。
- Enjoy!
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