「チキン65」という、面白い名前の鶏肉料理があります。
読み方は、生真面目に読むと「チキン・シックスティーファイブ」なのでしょうけれど、インドやネパールやフィジー、どこに行っても「チキンシシティファイ」のようにさらっと読まれていました。インド系住民の多いモーリシャスや南アフリカ共和国などにもある人気料理です。
「チキン65」は美味しい。よって家でも作りたい。ならば、是非、自宅のキッチンでチキン65のスパイスミックス(チキン65マサラ)から手作りしたいと思い、スパイスの組成を研究することにしました。
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ネット通販のサイトでは商品の組成を見ることができるものもあるので、組成を知るツールとして有用です。組成欄を表示しない通販サイトが圧倒的に多いため、組成が分かる商品を探すのに2時間くらいかかりましたが、なかなか得られる成果がありました。以下、8つの商品のパッケージに記載されている材料を列記します。
◆1)Banne Nawab’s
14種類入っていました:
コーンフラワー、塩、チリパウダー(唐辛子粉)、にんにく、生姜、トマト、コリアンダーシード、クミン、ターメリック、メース、ブラッククミン、カルダモン、シナモン、クローブ
◆2)Aachi
7種類入っていました:
赤唐辛子粉、シナモン、クローブ、にんにく、生姜、塩、カルダモン
◆3)Lucky
19種類入っていました:
デンプン、赤唐辛子粉、塩、コリアンダーシード、クミン、ターメリック、カッシア、玉ねぎ、生姜、にんにく、味の素、砂糖、八角、マンゴパウダー、リンゴ酸、クローブ、黒こしょう、黒い塩、カルダモン
◆4)Kitchen star
11種類入っていました:
コーンフラワー、黒こしょう、コリアンダーシード、砂糖、クエン酸、味の素、チリパウダー(唐辛子粉)、にんにく、玉ねぎ、ガラムマサラ、塩
◆5)Pandian
7種類入っていました:
唐辛子、にんにく、シナモン、クローブ、塩、カルダモン、生姜油
◆6)SK
18種類入っていました:
デンプン、唐辛子塩、ドライマンゴー、黒い塩、黒こしょう、にんにく、アジュワン、クミン、BIG(原文まま。正体不明。)、カルダモン、ターメリック、クエン酸、玉ねぎ、Popain(原文まま。正体不明、パパイヤか?)、生姜、カルダモン、ナツメグ、フェヌグリーク葉
◆7)Mugalayar Masala
8種類入っていました:
唐辛子、塩、シナモン、クローブ、にんにく、生姜、カルダモン、ピーナッツ油
◆8)Sakthi
9種類入っていました:
唐辛子、コーンフラワー、塩、シナモン、クローブ、にんにく、生姜、カルダモン、ピーナッツ油
以上。
8つの商品において、配合されている材料の数は、7種類~19種類と幅がありました。
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次に上の8つの商品に使われた材料を、材料別にまとめます。
カウントのためのルールは以下のように設定しました。
- 塩と黒い塩が併記されている場合、塩として1カウント。
- 唐辛子や唐辛子粉やチリパウダーなどは、唐辛子として1カウント。
- 唐辛子塩と塩が併記されている場合、唐辛子1+塩1でカウント。
- 生姜と生姜油は、生姜として1カウント
- コーンフラワーとデンプンはあわせてカウント。
- シナモンとカッシアはあわせてカウント。
- ナツメグとメースはあわせてカウント。
- リンゴ酸、クエン酸、マンゴパウダーはあわせてカウント。
- 8商品のうち1度しか登場しないものは非カウント。
結果:配合に使われていた頻度
7~8回:唐辛子、カルダモン、にんにく、生姜、塩
5~6回:クローブ、シナモン/カッシア、コーンフラワー/デンプン
3~4回:リンゴ酸/クエン酸/マンゴパウダー、コリアンダーシード、クミン、黒こしょう、ターメリック、玉ねぎ
2回:ナツメグ/メース、ピーナッツ油、砂糖、味の素
わーい♪こういう研究は楽しいですね♪♪
各社の配合組成を見ると、どのスパイスがもれなく使われているか等、見えてくるものが多々あります。
考察:自宅で作る理想のチキン65マサラ像
上記の結果より、各社の作るチキン65から、現代のチキン65が目指す味が見えてきた気がします。私はインドやフィジーで何回か食べていて、夫はインドやネパールで何度も食べていて、そのときの味わいも思い出しながら、チキン65マサラの方向性を見出すことができました。
- 唐辛子で辛く、カルダモンですがすがしい香気があり、インド系料理定番のジンジャーガーリックで旨味は外さず、塩味もぼやけずに。
- クローブやシナモンで、パンチの強い香りを持たせる。
- クエン酸のような酸味を持たせる。その他にもスパイスもちょこちょこ加えて複雑な風味をかもし出す。
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なお、チキン65にはドライタイプ(唐揚げ型)とソースを絡めるタイプ(あんかけ唐揚げ型)があります。
ドライタイプ(唐揚げ型)はこんな感じです。↓
ソースを絡めるタイプ(あんかけ唐揚げ型)はこんな感じです。↓
しかし、ソースを絡めるとソースの味が支配的になるため、今はまず、鶏本体部分のレシピを追求すべきだと思いました。よって、前者のソース抜きのドライタイプ、すなわち唐揚げタイプで、鶏肉につける味を完成させることを今回の目的とします。
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実際に試作をして、何度かレシピを調整しました。そして、
チキン65マサラが完成しました\(^o^)/
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レシピは簡単です(≫詳細はこちら)。
材料(約120mL分):
- カイエンペパーパウダー
- 大3
- パプリカパウダー(※1)
- 大2
- カルダモンホール
- 15粒
- ガーリックパウダー
- 大1(※2)
- ジンジャーパウダー
- 大1
- 塩
- 小1.5
- クローブパウダー
- 小1
- シナモンパウダー
- 小1/2
- コリアンダーパウダー
- 小1
- クミンパウダー
- 小1/2
- ターメリックパウダー
- 小1/2
- ナツメグパウダー
- 小1/2
- こしょう
- 小1/2
- クエン酸
- 小1/2
- 砂糖
- 小1/2
- 味の素
- 小1/4
※1:辛さを足さずに赤さを足すためにパプリカパウダーを加えています。
※2:ガーリックパウダーが粗びきの場合、大1.5くらい使うとよいです。
作業工程:10 分
- カルダモンホール(及びガーリックがあらびきを使う場合はそれも。)を、ハンドブレンダーのパウダーディスク機能などを使って細かく粉砕する。
- 小さなボウルに入れ、全体が均一になるようによく混ぜる。
- フタができるビンなどに入れ、冷蔵庫で保管する。
- Enjoy!
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ちなみに、インドのレストランで多用される着色料(赤やオレンジ)ですが、日本の家庭料理でわざわざ入れることもないかなと思い、着色料無添加で作っています(その分パプリカパウダーで赤を強くしています)。
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作ってみた!!食べてみた!!
めっちゃ美味しい!!鶏のから揚げの最高峰という味がします!!!
もちろん、ドライタイプが成功した今、次はソースを絡めるチキン65も作ろうと思います。