タークス・カイコス料理

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  • ページを新規作成し、「基礎情報」、「地図」、「本文はじめ」の項を記載しました(今後の投稿は、魚介のおかず、お酒などを予定しています)。

【基礎情報】

国名:タークス・カイコス諸島 Turks and Caicos Islands、首都:コックバーンタウン、ISO3166-1国コード:TC/TCA、非独立国(英国領)、公用語:英語、通貨:米ドル

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【地図】

タークス・カイコスは、マイアミ半島(米国)から南東に連なるバハマ諸島の端に位置するタークス諸島とカイコス諸島を領土とします。南にドミニカ共和国ハイチ、西にバハマやキューバがあります。

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◆海産物と、バハマ・ジャマイカとの共通料理と、インターナショナル料理。

息をのむほど透き通った美しい海を誇るタークス・カイコスは、楽園とも称されるリゾートアイランドです。代表的な郷土料理は、海の女王とも呼ばれるピンク色の美しい巻貝「コンク貝」のほか、島で獲れるシーフードに、ピーズンライス、ジャークチキンなど。・・・ここで「バハマやジャマイカと料理が似ているのね」と気づいたら、この国の料理背景の糸口を掴んだも同然です。これら3国の共通点は「英領」にあります。英国というお上が共通するがためにバハマの管轄下に入ったりジャマイカの管轄下に入ったり。・・・その国の料理とは、過ぎ去った時代のその国の生き方を今に反映するということを、タークス・カイコス料理からも実感させられます。

タークス・カイコス
ピンクが綺麗な国民食のコンク(巨大巻貝)を海辺で捌く。(撮影地ブルーヒルズ)

バハマの南東、キューバの東、ハイチやドミニカ共和国の北に位置するタークス諸島とカイコス諸島は、英国の海外領土として1つの自治国家をなしています。コロンブス(他の探検家説もある)による発見後、先住民は絶滅。現在、主な住民は、米国独立戦争で逃げ出してきた独立反対派(英国支持派、ロイヤリスト)が連れてきたアフリカ人奴隷の子孫です。

かつて、世界で塩の需要が高まる中、タークス・カイコスに製塩場が作られて世界最初で最大の塩産業の一つへと発展しました。「ドル箱」たる島の所有権を数か国が争った結果、英国のものになりました。上述の米国独立戦争の敗者たちがタークス・カイコスに移住できたのも、英国王がこの土地と支度金を与えたからです。

ロイヤリストはアフリカ人を奴隷として使役しましたが、奴隷制度が廃止されるとロイヤリストは去り、残ったのは奴隷ばかり。宗主国の英国からみてタークス・カイコスは単独で治める価値もなく、英領バハマの一部とされます。しかしバハマに塩課税を搾取されるなどの不満や政治争いから後にバハマと分離します。しかし搾取から解放されても経済困難は続き、次は望んで英領ジャマイカに入ります。塩産業は下火で代替産業もなく、ジャマイカ依存が続く中、とうとうジャマイカが英国から独立。英国は依然としてタークス・カイコスを単独でもつ価値はなく、またバハマ支配下に入れます。やがてバハマが英国から独立し、現在タークス・カイコスは英領にとどまっています。

近代になり、観光産業やオフショア産業が急速発展しました。所得税や法人税もない、キャピタルゲインや財産なども全て非課税という租税回避地として1万を超える国際企業が島に登記されています。リゾートアパートメントなどの不動産産業も好調のようです。

食文化の視点に立って上の歴史概要を概観すると、要は、英国つながりで英領ジャマイカや英領バハマの一部だったゆえ、住民は仕事を求めてジャマイカやバハマに多数移住し、そして成功して帰ってきています。人の往来が多いほど食文化は混交しますから、タークス・カイコス料理には、土着のシーフードなどのほか、ジャマイカ料理とバハマ料理との共通点が見られるのです。なお国土は淡水に乏しく農業不適で、農作物は多くが米国から輸入され、一方でシーフードなどの主要輸出先は米国です。

人口の9割以上がアフリカ系とはいえ、観光業やオフショア業から推し進められた国際化により多くの外国人が移住・駐在しています。またタークス・カイコスがカナダ領になる動きが長らく存在し、もし実現するとこの国の食文化も一層変わっていきそうで、動向が見逃せません。
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