リベリア料理


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チェックライスにレシピリンク挿入!
・地図を新グーグルマップにしました。旧版は表示されなくなってきていて嫌だわ。


基礎情報リベリア共和国Republic of Liberia、首都モンロビア、ISO3166-1国コードLR/LBR、独立国(1847年米国により)、公用語英語、通貨リベリアドル

◆アフリカ熱帯雨林典型、芋と葉っぱと油の料理

リベリアは、西アフリカ南岸に接する、熱帯雨林気候の国です。

15世紀に始まった大西洋奴隷貿易は、西アフリカから北米~南米、カリブへ、黒人が奴隷として積み出されるものでした。後に米国で生まれたその黒人の子孫は、解放奴隷として米国の政策により西アフリカに帰還し、リベリアを建国しました。しかしアメリコライベリアン(米国生まれでリベリアへ渡ったアフリカ人)と、地元のリベリア人の溝は大きく、1980年代には泥沼の紛争国となりました。熱帯雨林気候でキャッサバ芋やアブラヤシがよく育つので、キャッサバ芋やその葉っぱ、そしてパームオイルがリベリア料理の主要な食材です。戦争ゆえ食文化の近代化は遅く、今も、素朴なリベリア土着料理が食べられ続けています。

リベリアの主食は炭水化物の粉を湯で練ったものです。キャッサバ(タピオカ、マニオク)という芋をモチ状についた、フフ、ダムボーイ、ジービー(北部ニンバの名物)などです。フフは乾燥発酵キャッサバ粉で作られますが、ダムボーイは生のキャッサバで作られ、食感が違います(フフよりダムボーイのほうが固い)。これらは、葉っぱ類やヤシ油でどろどろに煮込まれたような濃厚なスープで食べられたり、肉や魚と食べられます。リベリアは579kmもの海岸線をもつ国で、首都モンロビアが海に面している都市であることもあり、魚はよく食べられます。西アフリカ全般で共通していますが、魚の主要な調理法は、から揚げ。あとは干してダシにすることです。

今は随分と米料理も多くなりました。ジョロフライスは肉トマトの炊き込みごはん、チェックライスはどろどろのプラトリーフ(オクラの葉のようなもの)を混ぜ込んだごはん。ドライライスは肉やマギーコンソメ炊き込みのパラッとしたごはんです。ドライライスに、オクラのネバネバソースが添えてあったりして、二つを合わせると実に美味しいです。


パラっと仕上がったドライライスは、オクラとろとろソースとの相性が良くて驚いた。(撮影地ガンタ)

西アフリカに広く共通する傾向ではありますが、リベリアでは特に顕著に、葉っぱを細かく刻んで水分少なく煮るような料理が多くあります。パラバ(パラバソースとも)やポテトグリーン(シエラレオネのプラサスと同じ)がその例です。カッサバリーフ(キャッサバ芋の葉をみじん切りにしてパームオイルで炒め煮)などもあり、リベリアのおかずは、いろいろな種類があっても、作り方の基本が同じです。

「ソース」ときくと日本人は上からかける液体を思い出しますが、西アフリカでソス(sauce)と呼ばれるものは、シチューなどの煮込み類です。日本語が話せる西アフリカ出身の男性は、「ソス」を「付け物」と訳しました。モチ状の主食を右手でちぎってそのソスを「付けて食べる」からですね。ソスの味だしにはドライミートやドライフィッシュがよく使われます。ただし現在はマギーコンソメキューブが浸透しており、どんなおかずもマギー味がします。

リベリア料理はアフリカ熱帯雨林典型。パームオイルが採れるアブラヤシは、西アフリカの熱帯地域が原産です。だからリベリア料理はパームオイルを使う料理が多いのが特徴です。カントリーチョップは肉魚葉っぱのミックスのパームオイル煮、パームバターは最東部メリーランドやグランクル地方名物で肉などのパームオイル(またはパームの実)煮、フライドオクラソースは刻んだオクラをパームオイルで炒めて肉を加えたものです。パームオイルは特有の匂いがして日本人には好き嫌いが分かれる香りがしますし、色が鮮やかに赤いので、パームオイルを使った料理を食べると口のまわりが黄~赤くなってしまいます。

その他おかずには、ゴートスープ(ヤギ肉の水分の多いシチュー。国民食)、トボルジー(最北部ロファ地方名物の肉や野菜ををトボルジー(という豆)と共に油で煮るロマ族料理)、フライドフィッシュ(素揚げの魚)、ペッパースープ(肉などのチリペッパーで辛いスープ)、グレイビー(トマトと油で汁気の少ない煮込みにしたもの、例えばチキングレイビーやフィッシュグレイビー)などがあります。リベリアは公用語が英語なので、料理名が理解しやすくて助かりますね。

なお、アフリカはたいていの国で「主食1+おかず1」という食事をとります。リベリアも基本的にはそうです。メニューを見ると、例えば「チェックライス&グレイビー」のように、主食とおかずの組み合わせで・・・まるで日本人が「カレーライス」や「ソースかつ丼」と、ごはんとおかずを一気に呼ぶのと同様の名前がつけられています。あるいは、おかずがゴートスープしかないけれど、主食は何種類かある中から選ぶ、というように注文をします。

飲み物には、ケーンジュース(サトウキビをしぼったドリンク。発酵すれば酒になる)やジンジャービヤ(生姜の濃厚ドリンク。)のような、ローカルなものが楽しめます。コーヒーは輸出産物なので、国内ではあまり飲まれません。

リベリアに旅行する人って、よほどの旅好きというか、よほどの国数を旅したい人くらいなのではないかと思います。今でこそ政情も治安も落ち着いてきた感じがしますが、近年まで退避勧告が出ていた国です。長い戦争と資源産出国の宿命でもあるのですが、リベリアは物価は高い。町の食堂で食べる庶民的ごはんでさえ、周辺国で50円で食べられるものが500円したりします。それほど物価が高い国ですが、庶民の食堂や屋台を意味するチョップバー(Chop bar)あるいはクックショップ(Cook shop)では、比較的安く、食事をとることができます。食事をとることを「Chop」と言うので、簡素な食堂をChop barとも言うのです。

リベリア行きますか? 中身と釣り合わない物価の高さがある国は、どうやっても治安が良くなりません。困ったときの頼みの綱の日本大使館もない国です。だから、事前情報収集は深刻に。そしてどうかお気をつけて・・・。

◆リベリアに行ったら、これ食べよ♪

【主食】
・ジービー(GB)・・・キャッサバ芋を練ったもの。本当の綴りは「Gaybga」。
ジョロフライス(Jollof rice)・・・トマトや肉が入った炊き込みごはん。
・ダムボーイ(Dum boy)・・・生のキャッサバ芋を砕いてゆでて練ったもの。
チェックライス(Check rice)・・・刻んだモロヘイヤまたはプラトリーフ(オクラの葉のようなもの)の混ぜ込みごはん。
・ドライライス(Dry rice)・・・肉やマギーコンソメ炊き込みのパラッとしたごはん。
・フフ(Fufu)・・・砕いて乾燥&発酵させたキャッサバ芋を練ったもの。

【その他の食べ物】
・カッサバリーフ(Cassava leaf)・・・キャッサバ芋の葉をみじん切りにしてパームオイルで炒め煮。
・カントリーチョップ(Country chop)・・・肉魚葉っぱのミックスのパームオイル煮。
・グレイビー(Gravy)・・・トマトと油で汁気の少ない煮込みにしたもの。
┗チキングレイビー(Chicken gravy)・・・鶏肉のグレイビー。
┗フィッシュグレイビー(Fish gravy)・・・魚のグレイビー。
・ゴートスープ(Goat soup)・・・ヤギ肉の水分の多いシチュー。
・トボルジー(Toborgee)・・・最北部ロファ地方名物。肉や野菜ををトボルジー(という豆)と共に油で煮る。ロマ族料理。
・パームバター(Palm butter)・・・最東部メリーランドやグランクル地方名物。肉などのパームオイル(パームの実)煮。
・パラバソース(Palava sauce)・・・Plato leaf(オクラの葉のようなもの)を刻んで魚などと煮た物。単にパラバとも。
・フライドオクラソース(Fried okra sauce)・・・刻んだオクラをパームオイルで炒めて肉を加えたもの。
・フライドフィッシュ(Fried fish)・・・素揚げの魚。ドライライスなどのお供。
・ペッパースープ(Pepper soup)・・・肉などのチリペッパーで辛いスープ。
・ポテトグリーン(Potato green)・・・イモの葉を刻んで具と共に炒め煮にしたもの。

【飲み物】
・ケーンジュース(Cane juice)・・・サトウキビをしぼったドリンク。発酵すれば酒になる。
・ジンジャービヤ(Ginger beer)・・・生姜の濃厚ドリンク。


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