レソト料理

[last update 2016/05/31]
基礎情報レソト王国Kingdom of Lesotho、首都マセル、ISO3166-1国コードLS/LSO、独立国(1966年英国より)、公用語ソト語/英語、通貨ロチ

◆空の王国、南部アフリカに典型的な黒人の料理。

まずは、下の地図で、レソトが南アに囲まれ、高地にあることを見ましょう。

標高1000m以下の国土をもたない国は、世界で唯一レソトしかないのだそうです。そんな、空に一番近いアフリカの王国は、南アフリカ共和国に囲まれた小さな国。南アを占領したオランダやイギリスからも自治を認められていた部族国家で、南アが黒人を国外追放する場所としても使われました。「レソト」は「ソト語を話す人」という意味ですが、現地で「レソト」と言っても通じず、「リストゥ」と発音されます。農耕にあまり適さない痩せた大地と寒い山岳気候ゆえ、農作物の確保には悪戦苦闘し、経済事情により南アへの出稼ぎに出る人が多い国です。

レソト人のことを単数形ではモソト、複数形ではバソトと言います。アフリカ中部から南下したバンツー族群の1つであるとされ、言われてみれば、レソトの食事は、周辺のアフリカ黒人の料理と同じです。南アからアフリカーナーやインド系の影響を除いた料理や、地理的に近いボツワナやジンバブエの料理ととても似ています。特に料理名はボツワナ料理各種とよく似ています。

主食は、穀物の粉を練ったものです。
パパ(トウモロコシの粉を練ったもの)は、粉にしたトウモロコシ(マイスミル)を湯で練って作ります。粘り気が少ないので、口の中でほぐれます。イタリアのポレンタのような食べ物なのですが、ポレンタのほうが味があると思う。で、レソトでは、このあまり味のない(微妙な風味が私は好物ですが)このパパと、モロホ(キャベツや青菜の千切りを塩と油でくったり調理したもの)を1皿に盛り合わせて、手でつかみあわせて食べます。この「穀物を練ったもの&青菜の炒め物」は、レソトでは「パパ&モロホ」と呼ばれ、同様のものが、ボツワナでは「パパ&ボホベ」、ジンバブエでは「サザ&ムリオ」、タンザニアでは「ウガリ&ムチーチャ」と名前を変えて呼ばれます。民族を越えて、アフリカの実に広域で共通して食べられているのです。

肉を買えるゆとりのある家では、パパ&モロホに加え、ナマ(肉類料理の総称)やソーセージ類を加えて「パパ+モロホ+肉」のワンプレート料理を作ります。これに豆や、千切り野菜のサラダが加わることもあります。畑でとれる野菜には、にんじん、ビーツ、カボチャ、トマト、青菜などがあります。レソトの給食ではパパに牛乳をかけて栄養を補ったりします。

肉類の名称は、リホホ=鶏肉、リコモ=牛肉、フェケリ=豚肉、リンク=羊肉、リポリ=ヤギ肉。レソトは南アに囲まれ、地理的に南アからの輸入商品が入りやすく、肉の缶詰、チキンの缶詰、ツナの缶詰、そして冷凍チキンなども見かけます。南アではソーセージ類は国民食の位置づけで、各種レソトにも流入しています。ルシアン(太いソーセージ)、ヴィエンナ(やや小さめのソーセージ)、ボールウォース(ボロソ、ロングソーセージ)なども、レソトでも食べられています。また、マオトアーナという、鶏の足だけの料理は、南アから鶏の足の部分がレソトに安く流入している証なのでしょうか。


バスターミナルでチキンを焼く。鶏の足が並ぶのはアフリカでは珍しい。(撮影地マセル)

さて、話しを全国民の食糧の要であるトウモロコシ類に戻します。
パパのほか、トウモロコシを粉にせず、粒を乾燥させた(あるいはそれを軽く砕いた)サンプを炊いて主食にすることもあります。レケベコンは発酵したトウモロコシ粉を蒸して作る団子風。ティンは、発酵したトウモロコシ粉溶液の酸っぱいドリンクです。

レソトにおける主要農作物はとうもろこし(メイズ)のほかにソルガム(コウリャン、モロコシ)があり、ソルガムは、日本人にはなじみはありませんが、アフリカ各国で主要穀類に位置づけられています。レシェレシェレはソルガム粉のおかゆで、朝食に砂糖をかけていただきます。ニェコエは、ソルガムに豆を混ぜて作る豆粥風。モトホはソルガム粉の溶液が発酵して酸っぱくなったドリンクです。

なお、レソトには、アロマットという、スワジランドの会社の旨味調味料が南ア経由で普及していて、モロホ(青菜ソテー)も目玉焼きも、数々のレソト料理がアロマットの味付けに染まっています。あとレソト料理の味付けといえば、ラーマ(マーガリン)です。

あとは、チャカラカ(野菜カレーのような煮込み)、ポイキー(三本足の鍋で作るごった煮)なども南ア圏に共通する料理です。

レソトのハット(伝統家屋)では、旗が重要なサインです。特に黄色い旗や白い旗に注目してみましょう。黄色はマイスビア(とうもろこし地ビール)、白はジョアラ(ソルガムの地ビール)が飲めるローカル酒場です。ついでに、赤い旗は肉屋、緑は野菜屋、青は薬屋のサインです。ビールには、マルティやカーリングなどの工業生産ビールもあるのですが・・・。レソトのビールは原料にトウモロコシを使っているので、どうも味が今ひとつだったりします。それでも、それが、痩せた土地の、空の王国レソトの味です。

レソトの人々は今も、寒い時期は、毛布を羽織って道を歩きます。
100年前なら、動物の皮を羽織っていたのです。

レソトに行ったら、首都マセルを離れ、アスファルトの道路を離れ、地元の人と混載のミニバスで村へ行ってみるとよいと思います。ゴツゴツした岩がむきだしになる山で、馬に乗り、川や滝を見ながら進み、アフリカの屋根の上に腰かけて青い空を眺めるような旅がおすすめです。そして是非、アフリカの屋根で、素朴なアフリカ南部黒人の土着料理を、楽しんでください。

◆レソトに行ったら、これ食べよ♪

【マイス(トウモロコシ)】
・パパ(Papa)・・・トウモロコシの粉を練ったもの
・サンプ(Samp)・・・トウモロコシを、粉にせず粒を乾燥させた(あるいはそれを軽く砕いた)もの。
・レケベコン(Leqebekoane)・・・発酵したトウモロコシ粉を蒸して作る団子風
・ティン(Ting)・・・発酵したトウモロコシ粉溶液の酸っぱいドリンク。

【ソルガム(コウリャン)】
・レシェレシェレ(lesheleshele)・・・ソルガム粉のおかゆ。
・ニェコエ(Nyekoe)・・・ソルガムに豆を混ぜた、豆粥風。
・モトホ(Motoho)・・・ソルガム粉の溶液が発酵して酸っぱくなったドリンク。

【野菜】
モロホ(Moroho)・・・キャベツや青菜の千切りを塩と油でくったり調理したもの。

【肉類】
・ナマ(Nama)・・・肉類の総称。
 ┗フェケリ・・・豚肉
 ┗リコモ・・・牛肉
 ┗リホホ・・・鶏肉
 ┗リポリ・・・ヤギ肉
 ┗リンク・・・羊肉
・ボールウォース(Boerewors)・・・ロングソーセージ。
・ボロソ(Boroso)・・・ボールウォースと同じ。
・マオトアーナ(Maotoana)・・・鶏の足。
・ルシアン(russians)・・・太いソーセージ。
・ヴィエンナ(Viennna)・・・やや小さめのソーセージ。

【その他】
・チャカラカ・・・野菜カレーのような煮込み。
・ポイキー(Potjie)・・・三本足の鍋で作るごった煮。
・ボホベ(bohobe)・・・パン。
・マコエニャ(makoenya)・・・揚げパン。

【お酒】
・ジョアラ(joala)・・・ソルガムの地ビール。
・マルティ(Maluti)・・・工業生産地ビール。
・カーリング(Carling)・・・工業生産地ビール。

【調味料】
・アロマット(Aromat)・・・レソトで人気の化学調味料。


[kuwakuwa]
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レソト料理」への3件のフィードバック

  1. 札幌 より:

    参考になりました。

  2. apple より:

    文章が長いので、表や写真を活用していただけるとうれしいです。

  3. appleさん、ありがとうございます。様々な端末に対応できるように現在のところは軽量化を意識しています。あとは文章を長くすることで「情報を探せるサイト」かつ「その国の文化への理解が深まる」という、しっかりした情報源たる構築を目的としています。

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