今日は、普段の料理の失敗にまつわるお話です。
キャー、入れ間違えちゃった!
というとき、調理と味についていろんな経験があると、美味しい方向に解決できます。
ある日、ココナッツミルクパウダー(写真右)を入れようとして、冷蔵庫からロシアで買ったレモンパウダー(写真左)を取り出してしまったのです。。。レモネード作りに使うようなロシアの市販品です。ただのクエン酸のような気もしますが、ともあれここではレモンと表現します。
やばい、入れちゃいましたよ。カレーの味を見たら「こりゃ大変だ」と思う酸っぱさでした。
でも、食べたことがあるカレーの記憶と重なったんです。その記憶の方向で作り直すことができるなら、酸味があっても正しく成立するカレーもあるかもしれない。だから、その方向性を思い起こして、これをスリランカのカレーにしようと思えました。酸味のあるカレーと言えばインドのポークビンダルーが有名ですがあれは酢の酸味で成分は酢酸。それよりも、果物由来の酸味のほうが今回のリカバリーには合うと思いました。
以前、カナワイカリという、タマリンドを使うカレーを食べたことがあって、でも具材のコクとスパイスのフレーバーとタマリンドの酸っぱさがマッチした美味しいカレーだったのです。
ということで、その味の方向へ、リカバリー開始~。
できた♪ 夏野菜のスリランカ味カレーです♪
結局ココナッツミルクも加えちゃいました。スリランカ人はあれもこれもとココナッツミルクを使うことだしね。
結果的に、この後もココナッツミルクベースのカレーにレモンを入れることがしばしばあり、夏に爽やかフレーバーのカレー作りに、酸味を加える技法が定着したのでした。
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世界の料理をいろいろ作っていると、いろいろな味の調理を経験しますから、料理が失敗しちゃいそうなときに、経験が解決を引き出してくれるのだなと、この日はつくづく思ったのです。経験があるって、いいことなんだなと、改めて実感したのでした。