◆Wikipedia「世界三大料理」(≫こちら)
「世界三大料理(英: The Three Grand Cuisines)は、伝統的には中華料理、フランス料理、トルコ料理を指す[1][2][3][4]。」と書かれているが・・・。
おかしいだろー、と。
フランス、トルコと名前を並べて、中国ではなく中華と続くのも違和感があるが、何よりもおかしいと思うのは、基準もなく三大料理と言っていることである。
例えばね、日本の島が何個か?を論じるとき、数え方によって数が変わりますよね。基準がないと何も言えないはずなんです。だから、基準と共にちゃんと伝えないと意味がないはずなんです。
ついでに言うと、外国語サイトへのリンクもない。Wikipediaの場合、万人が認識する事象ほど、サイドバーに多言語表記がずらずら並ぶじゃないですか。でもこの「世界三大料理」は日本語で書いた人がいるだけである。外国語で書かれていないのである。諸外国で通用する一般概念ではないということだろう。
更についでに言うと、「トルコ人」はもともとトルコにいないしトルコは建国100年も経っていない新しい国なのに「伝統的に言われている」と書く。。。まさしくその「基準」はなんだろう。イラク料理のほうがメソポタミアアラブの中心で世界広範にわたるアラブ料理の歴史的中心の一角であることは疑いなくまさしくイラク料理のほうが伝統的な大料理を形成すると思うのだが・・・(ぶつくさ)。
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「基準」の話に戻ります。
基準を設けるとは、例えばこういうサイトのような解説が良い例になります。
◆海と船なるほど豆辞典(≫こちら)
「日本列島には海岸線の長さが100m以上(※)の島が、現在6,852もあります。」
※Wikipedia「日本の島の一覧」(≫こちら)にはもう2つの条件を付しています。
つまりね、どういう基準で選んだか、基準をちゃんと伝えることが大事なの。薬が効く効かないっていうのだって、単に「薬を飲んだら血圧が下がった」というデータだけじゃだめで、そこに有意水準(ざっというとそうはならない確率)を付して、「薬が効く」ことの基準を記さないと薬として認められない。
だから、単に、中国、フランス、トルコと並べるだけじゃ、三大として認められないはずなんだ。
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しかも出典もひどいなぁ。[1][2][3][4]と書いてあるので、4つの出典を見たところ・・・。
[1]はトルコ政府観光局のホームページ。自分の国で自分の料理を絶賛しているだけで引用する価値がない。
[2]「世界の「ふしぎ雑学」研究会」著の『図解 世界の「三大」なんでも事典』の出典だが、もっと統計数値が見えるものでないと引用する価値がないだろう。引用すべきはこの書籍ではなく、孫引きではなく、この著者が見た一次資料が必要なはずなんだ。
[3]はトルコ語学校のトルコ観光案内のページ。現在内容は閲覧できず。自分の国で自分の料理を絶賛しているだけで引用する価値がない。クローズしているなら引用する価値がまるきりない。
[4]は米国のラジオ局のホームページの一記事。「三大料理は多くの人にフランス、中国、トルコと言われている」。という、根拠を示さない文章がただあるだけ。引用する価値がまったくない。
なお再掲載するが、Wikipediaでは「世界三大料理」の他の言語のページは存在しない。こういうことを面白く言うのは日本人だけということか。
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では三大とは?
私も考えてみよう。
「大」というからには、食する人口が多いということか。
そうすると、国の人口から割り出してみよう。本当は国の中に民族が混ざっているのだけれど、国名で「○○料理」と記していくので、今は国家単位で、国家内の人口を使用するしかない。
中国料理
中国、香港、マカオ=13億人
インド料理
インド=12億人
米国料理
米国、プエルトリコ、グアム、米領ヴァージン、米領サモア、北マリアナ諸島=3億人
ちなみにフランス料理は
フランス、レユニオン、グアドループ、マルティニーク、仏領ポリネシア、ニューカレドニア、仏領ギアナ、マイヨット、ウォリス・フツナ、サンピエール・ミクロン=6千万人と少ない。
日本料理は
日本の人口は1億2千万人ですから、フランス圏の合計の2倍の人口規模です。
世界三大料理は、中国、インド、米国ということになるのでしょうか?
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別の切り口、いってみよー。
三大ってなんだろう。
「大」というからには偉大でなければならない。
広まった料理ということか?
ということは、国面積で割り出してみようか。
・・・やめた。
ロシアが一位になるに決まってる(苦笑)。
世界三大料理は、ロシア、カナダ、中国ということになるのでしょうか?
いや違う。「世界一大料理」つまり「世界最大料理」が自然とロシア料理に決まってしまうのはおかしな話だもんね。
* * *
別の切り口、いってみよー。
「大」というからには偉大でなければならない。
広まった料理ということか?
ということは、植民地乱立時代に、多くの国を植民地にした国の料理ということか?
いや違う。政治支配と料理は結び付かない。現在の独立国がどこから独立したかという基準だと目立つのは英国とフランスだが、それは料理の偉大さではないもん。
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別の切り口、いってみよー。
商業規模か?
つまりは飲食店が多い料理か?
ホットペッパー(≫こちら、ネット予約可能店舗数No.1と謳っているので)で、東京都内で(エリアを指定する必要があり全国から検索ができなかった)
検索用語と店舗数
イタリア料理9079
フランス料理7771
(日本料理3164)
韓国料理1554
インド料理555
中国料理422
スペイン料理256
メキシコ料理663
ドイツ料理359
トルコ料理43
ロシア料理13
ブラジル料理13
シンガポール料理11
モロッコ料理10
インドネシア料理7
アメリカ料理5
イギリス料理4
マレーシア料理4
オーストラリア料理3
ギリシャ料理3
ウズベキスタン料理2
イラン料理2
チュニジア料理2
エジプト料理1
ニュージーランド料理1
・・・ああ、なんか疲れた_| ̄|○”ハァッ
世界三大料理は、イタリア、フランス、日本ということになるのでしょうか?
これも違うよねぇ。世界三大料理を店の数で決めるのはおかしい。再現性も信憑性もないから。
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別の切り口、いってみよー。
じゃあ、「三大料理」の基準は美味しさですか?
自国の料理が一番美味しいという人は多いだろう。私の夫も「世界で一番美味しいのは和食」と言うくらいだし。
そうなると、「美味しいと言う人が多い料理」は、「国の人口が多い料理」となるじゃないか。でも料理は人口じゃない。だから美味しさ基準も成立しない。
* * *
そうか、「世界三大」にこだわって基準を探そうとするからおかしなことになる。
もっとすっきり絞って、「世界最大料理をどう考えるか」、一本に絞るべきだ。一本に絞ることで「大」をつける基準がぶれずに決まるんじゃないかな。
よし、やってみよう。
さああなたは、「世界最大の料理」または「世界一大料理」は、どの国の料理だと思いますか?
この場合「美味しさ基準」は好ましくない。美味しさは個人の感性だから、Aさんが美味しい料理はBさんには美味しくなかったりする。そんなものは基準にならないのだ。
「最大」や「一大」を人口の多さで決めるなら即中国料理だろうか。面積で決めるなら即ロシア料理だろうか。
でも、「中国料理が世界最大料理です」とか、「ロシア料理が世界最大料理です」と言うと、多くの異議が出るだろう。「料理は面積じゃない」、「料理は人口じゃない」と、そりゃあ異論反論に見舞われることでしょう。
だんだん結論が出てきました。
「料理」に「大」をつけること自体が可笑しな話なんだ。
だから、この話の本質に戻る。
「世界三大料理」と言うこと自体が、実に可笑しな話なんだ。
よし、結論が出た。
繰り返すが、
【結論】「世界三大料理」というのは、実に可笑しな話なんだ。【完】
* * *
なお、これで終わっては何も得られないので、そこで、世界中を旅して世界の料理を研究する私に、知人友人がよく(それこそ本当によく)質問することとその回答を紹介します。
質問:「どこの国の料理が美味しいですか。」
私の答えは割と決まってて、
「日本以外で、ってことですよね?」と念押ししたあとに、「それならば一番美味しいのは、中国の料理です」と答えています。そう答えると、質問した人が拍子抜けするようで、「・・・まあそりゃそうだ」なんて言ってくれます。
中国料理が美味しい理由は、上のほうで、「自分が食べ慣れた料理、自国の料理が一番美味しい」と書いたことと同じなのです。私たちは、チャーハンもラーメンも、ホイコーローやタンタンメンも、餃子も肉まんも麻婆豆腐も、その他実にいろいろ中国の料理を取り入れて食べてきています。中国料理の味は私たちが子供の頃から親しんでいるから、口にしたときに、やっぱり美味しく感じてしまうんです。醤油味も多いから日本人の味覚に合っているしね。美味しさにおいては小さい頃から食べ慣れているということは重要ファクターなのですね。
同じ理由で、東南アジアや朝鮮半島の料理なども美味しく感じますよね。醤油や味噌や発酵調味料の味や、米や麺を好むことなど、日本人好みです。
それから・・・、
香辛料が入ると美味しいですよね。インド料理とか、イエメン料理とか、トリニダードトバゴ料理とか。
バターや生クリームがリッチだと美味しいですよね。フランス料理とか。
チーズって美味しいですよね。スイス料理とか。
刺身好き日本人としては、魚を生で食べると美味しいですよね。仏領ポリネシアのポワソンクリュとか、ナウルのコンモルイウとか。
生ハムって美味しいですよね。イタリアのプロシュートとか。エチオピアの生肉テレスガももきっと気に入りますよ。
私、オクラのネバネバ大好きなんです。西とか中央部のアフリカの料理ばんざい!
あとは、アフリカ大陸で美味しいのは、コートジボワール料理やソマリア料理や。
南米大陸で美味しいのは、スリナム料理やチリ料理や。
水が美味しい国の料理は何をやっても美味しいですよ。アイスランド料理。ニュージーランド料理もそうかな。
アザラシ、めっちゃくちゃ美味しいですよ。グリーンランド料理。
素材の味が生きるって、美味しいですよね。ロシア料理やモルディブ料理。
肉をシンプル豪快に焼くって、幸せな美味しさですよ。アルゼンチンやウルグアイのアサード、南アのブラーイ、ソ連圏のシャシリク。
私はしぼりたてのココナッツミルクが好きなので、トンガでもサモアでも、その場でココナッツミルクをしぼって作ってくれるポリネシア料理の数々は何をとってもうっとり美味しいです。
私はパームオイルが好きなので、コンゴでもガボンでも、食べたあとに口のまわりが黄色くなる料理は、がっつり食べたいほど美味しいです。
・・・こうしてとうとうと語り始めると、もう終わらない♪♪ どの国にも美味しさの良さがあって、結局「世界三大料理」なんてものはないじゃんか、って思う私なのでした♪
ウミガメー!!!
忘れてたー!!!
めっちゃくちゃ美味しーい\(^o^)/
・・・ほうら終わらない♪(笑) 横で夫が「一番美味しいのは日本の料理!」ナンテ今も言っていますしね。