トリニダード・トバゴ料理

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【基礎情報】

国名:トリニダード・トバゴ共和国Republic of Trinidad and Tobago、首都:ポートオブスペイン、ISO3166-1国コード:TT/TTO、独立国(1962年英国より)、公用語:英語、通貨:トリニダードトバゴドル

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【地図】

トリニダード・トバゴはカリブ海諸国の中で最も南にある国です。西と南の対岸は南米大陸のベネズエラ、北にはグレナダがあります。

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◆カリブ風クレオール料理とインド風料理が2大柱

丘の上から見る青い海、ビーチで名物サメバーガー、街ではインド系住民がカレーサンド屋台を出し、夜の祭りではアフリカ系黒人のカリプソ(※)の澄んだ音。ロティ(薄パンでカレーを包む)屋でチキンカレーやエビカレーにかぶりつく瞬間は幸せを感じる。トリニダード・トバゴは文化も経済も豊かだなと気持ちよく実感させられます。その背景には、豊富な埋蔵量の石油と天然ガスやピッチ湖(油の湖)によるアスファルトの収益によりカリブ海で最も裕福な国であることが関係しているでしょう。良い国づくりのもとで多民族が平和に共存していることと、食文化の豊かさを感じます。

※カリプソ:アフリカの伝統を受け継いでトリニダード・トバゴで生まれた音楽様式。スティール楽器の音に合わせてソングやダンスを披露する。

トリニダード・トバゴ
ダブルズ(揚げパンのカレーサンド)を売る屋台が人気(撮影地ポートオブスペイン)

南米大陸からごく至近の位置に大きなトリニダード島があり、その先に小さなトバゴ島があります。2つあわせて「トリニダード・トバゴ」という国です。面積はそれぞれ和歌山県と種子島程度。主島は周辺のカリブ諸国よりもサイズが大きく、国内交通も割と至便で活気があるように見受けられます。人口が多い(140万人、和歌山県の1.5倍)ので活気を感じるのかもしれません。

トリニダード・トバゴ(以下TT)とは長い国名で、国民の呼称(日本の国民を日本人と呼ぶような)は、政府公式サイト(≫こちら)では「トリンバゴニアン」(Trinbagonians)と表記しています。アフリカ系TT人4割+インド系TT人4割。だから、TTの食文化の理解は、「なぜ南米至近の島にアフリカ人とインド人が来たのか?」を理解することから始まります。

島には元々先住民(アメリインディアン)が暮らしていましたが、先住民は、ヨーロッパ人が侵略してきたことで、殺戮され、伝染病を持ち込まれ、ドニミカ国などごく一部を除いて絶滅したとされています。

砂糖に執着する英国はカリブ海諸国にサトウキビプランテーションを作り、主に西アフリカから黒人を連れてきて使役しました。アフリカ人は自分たちの料理をカリブ海の食材を使って受け継ぎました。時間の経過とともにヨーロッパの調理などとも混ざり合い、その順応の結果としてクレオール料理が形成されました。「クレオール」とは白人と黒人の血すじや文化の融合を表す言葉です。クレオール料理の代表には、オイルダウン(イモ類やココナッツミルクのごった煮)やカラルー(さといも系の植物の葉のどろどろ煮)やペラウ(カラメルで炊くごはん)などがあります。

18世紀末から19世紀にかけての話をすると、米国独立戦争で英国が敗北(1783年)して植民地側が自由を勝ち取った。ハイチでは黒人が自由を勝ち取り世界初の黒人国家を誕生させた(1804年)。世界的に白人による黒人奴隷制が下火になり、1807年に英国で奴隷貿易を違法とする法案が成立します。時間はかかりましたがTTなどカリブ植民地で奴隷労働制が廃止されたのは1833年です。

そしてインド人の大量移住が始まります。ときどき誤解されるのですがインド人は奴隷ではありません。アフリカ人がカリブで奴隷だったとき奴隷禁止令が出たので、替わりの労働力として、賃金が安くすむインド人が連れてこられたのです。彼らは契約労働者です。労働条件も長年のうちにマシになり、国内で地位を持つ人が増えていきます。現在はその子孫たちがいっぱいいるわけです。

インド人は地元の食材に香辛料を多用した料理を作りました。英国はインド人が働いてくれないと困るのでインドから食材をも調達しました。そうしてTTではたくさんの新メニューが生まれ、現在TTの家庭や飲食店ではカレー系の料理が主役です。どこにでもあるロティ(薄パン、あるいは薄パンに具だくさんのカレーを包む)から、有名なダブルス(2枚の揚げパンにカレーソース)、そしてもちろんチキン、アヒル、豆、じゃがいもなどの多彩なカレー料理が目白押し。トバゴ島ではカニカレーが名物ですよ(美味しそう…)。

トリンバゴニアン(TT人)の食卓は豊かです。1日をフライベイク(揚げパン)とブルジョール(塩タラのサラダ)で始めたり、トロピカルな果物がたくさんあるし、インド風のカレー料理はいつ食べても食べ飽きない。近隣国とも共通するマカロニパイもあるし、あと、ジャマイカなどからの出稼ぎ調理人も多いので、カリブ海の北方の美味しいものも食べられます。

私のオススメはアンゴスチュラビターズ(苦みのあるリキュール)です。例えばオレンジジュースに1滴入れるとグレープフルーツジュース味になる(ホントよ!)、そんな素敵なビターも「Made in TT」なのです。
アンゴスチュラビターズの紙に書いてあったこと

奴隷などの負の歴史は辛いけれど、今のTTの人の明るさ、食文化の豊かさ、食卓の明るさ、国の豊かさなど、TTは旅してとても気持ちが良い。以下には、トリニダード・トバゴ料理を食材別に紹介していく予定です。
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