仏領ギアナ料理

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【基礎情報】

国名:フランス領ギアナFrench Guiana、首都:カイエンヌ、ISO3166-1国コード:GF/GUF、非独立国(フランス海外県)、公用語:フランス語、通貨:ユーロ

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【地図】

仏領ギアナは南米大陸北部にある大西洋に面する国です。東と南にブラジル、西にスリナムと接しています。

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◆知らない料理がいっぱい。ジャングルとフランスのクレオール料理

そもそも仏領ギアナを旅する人ってとても少ないですね。だから日本にいると仏領ギアナ料理情報は過少です。仏領ギアナはフランスの領土で、かつての奴隷として連れて来られたアフリカ人とフランス人が混血した人々が最大の民族グループという国。中国人が大勢いて町を歩けば中国料理に遭遇するし、そしてフランス料理食材とアマゾンジャングルの食材が交ざりあい、世界にここにしかない食文化が作られています。フランス料理店でメニューを見るとフランスで見たこともない単語 -それは地元の熱帯食材が使われている- がいっぱいです。仏領ギアナは、人のみならず、料理もクレオール(融合)がたくさんあるのです。

仏領ギアナ
道端の青果売り。黒人さんが陽気に笑って楽しそう。(撮影地サンローレンドゥマロニ)

唐突ですが、1960年代人類は宇宙へ躍進した。宇宙の最初の有人飛行が1961年(ガガーリン)、初の月面着陸が1969年(アームストロング)。フランスが南米に、日本が種子島にロケット基地&宇宙センターを建てたのも1960年代です。余談ですがロケット打ち上げにはなるべく赤道に近い場所で地球の遠心力を得るのがよく、当時沖縄未返還だった日本は鹿児島に、フランスは南米の北緯3~6度に位置する自国領をロケット基地にしました。

なぜ南米にフランスがあるかというと、17世紀の欧州の戦争の講和条約(※)で、当時の列強が狙っていた南米北部を3か国で分割したからです。これがギアナ三国で、西のガイアナが元英領(公用語は英語)、中央のスリナムが元オランダ領(オランダ語)、東の仏領ギアナは今も非独立国(フランス領土)で公用語はフランス語です。

※講和条約:平和のための国家間の約束。戦争が終わったときに結ばれることが多い。

仏領ギアナは北海道と面積がほぼ同じですが、北海道の人口をざっと500万人とすると、仏領ギアナの人口20万人台とは、如何に人が住んでいない土地かが分かるでしょう。ロケットや短波中継のテクノロジーでフランス本国や先進国各地から大勢の駐在員がいるにも関わらずです。全土熱帯雨林気候で一年中高温多湿で、多雨で鬱蒼としたジャングルだらけの土地では住み易いとは言い難いのです。

国民は、アフリカ人とフランス人の混血者(クレオールと呼ばれる)が最多ですが、中国人が多く、彼らは商店経営や飲食店産業に就きますから、これが仏領ギアナの食文化に非常に大きな影響を及ぼしています。そういえば泊まったお宿の人に「仏領ギアナの料理を食べたい」と相談したら中華料理屋を(中華は仏領ギアナ料理の一部だという意味で)教えてくれましたっけ。中国人の作る料理は、仏領ギアナ料理に相当深く根をおろしています。

都市部では中華やフランス料理のお店は多い。でも仏領ギアナの土着の料理を求めるなら、市場やクレオール料理レストラン(Kryol(クリオル)と看板に書いてあることもある)を探しましょう。クレオールは白人と黒人の血筋の融合のみならず、土着の食材にフランス風の調理技法があわさる「料理の融合」も指すのです。いろんなおかずにクワック(ブラジルのファロファと同じキャッサバイモの乾燥粉)をかけて食べ、アティパ(ジャングルのナマズ)、ブヨンワラ(フランス語風発音でブイヨンダワラ、ブラジルのムケッカと同じヤシ油のごった煮)、それから海鮮類も美味しい国なので、エビやカニの料理も人気です。ブラジルと同じ料理があるのは、特にブラジル北部では黒人系の人々がジャングル食材で料理を作るので、仏領ギアナ料理と料理要素が類似するのです。

また仏領ギアナ料理にはフレンチ、中華、クレオールと並んで「ブシネング」(Bushinengue)という料理カテゴリーがあります。ブシネングとは、黒人奴隷が奴隷使役から離脱して文化的生活から隔絶されて森の民となった人々を指します。レストランのメニューで「ブシネング」の文字を見たら絶対おすすめ。これぞ文明と隔絶された社会で育まれたジャングル料理なのだから。アマゾン魚やキャッサバ、ココナッツミルクや落花生を使ったり、謎のジャングル動物の肉を使った料理が提供されたりします。いわゆるジビエですね。

このように、知れば知るほど「新しい料理」に遭遇する仏領ギアナ料理は、地球の秘境の料理とさえ思います。以下各論では仏領ギアナ料理を、食材別に紹介していく予定です。
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