クスクスビルフート

  • アルジェリア料理、チュニジア料理、リビア料理

  • 現地表記

    :كسكسي بالحوت(アラビア語マグレブ方言)

  • 概要

    :魚のトマト煮をかけた粒状パスタ

クスクスビルフート

クスクスビルフート

アルジェリアやチュニジアやリビアは、北アフリカすなわち地中海に面する国です。特に沿岸部では魚がよく食べられています。これは地中海料理さながらの、トマトとオリーブオイルの香りが漂う、香辛料も使われた魅力あるレシピです。クスクス料理は、それだけで食べる場合(他におかずがない場合)、クスクスがたっぷり提供されるものです。このレシピは、この料理だけで食事とする場合はおよそ2人分、他におかずがある場合は4人分くらいになります。

材料

2~4人分):
<クスクス用>

クスクス
400mL
オリーブオイル
大1
小1/5
大4(※1)

<魚の煮込み>

アジ(※2)
大1尾(※3)
オリーブオイル
大2
ピーマン(※4)
2個
玉ねぎ
1/4個
にんにく
1かけ
トマト
小1個
トマト缶(※5)
1/2缶
ターメリックパウダー
小1/3
クミンパウダー
小1
パプリカパウダー
小1
小1/2
500mL
鷹の爪
1本(※6)
カブ(※7)
150g
にんじん
1/2本
ゆでヒヨコマメ(※8)
1/2C
コリアンダーシード
小1
キャラウェイシード
小1/3
  • ※1:クスクスを1回蒸すごとに水大さじ2を使うのですが、そのときの蒸し加減によって加える水の量を加減します。
  • ※2:アジ以外の魚でもよいです。サバ、イワシ、小さなタイ、切り身、などなど。
  • ※3:今回は体長25cmほどの大きなアジを1尾使いました。小さなアジなら2尾以上でもよいです。
  • ※4:ピーマンは、現地の辛くて長い品種のピーマンの代用です。辛いジャンボししとうがあればそれを使います。
  • ※5:トマト缶の中身を粗く潰して、半量を調理に使います。
  • ※6:鷹の爪はスープを少し辛くします。辛くないクスクスもあるので、入れなくてもよいです。
  • ※7:カブは大きなサイズのもののほうが、具が大ぶりになるので良いです。今回の調理では、ソフトボールサイズの大きなカブを大きなくし形に切って、そのうちの4切れを使いました。小さなカブなら2個くらいでしょうか。
  • ※8:ヒヨコマメの缶詰を使用。もし乾燥ヒヨコマメを使う場合、前日から水に浸けておき、事前にゆでておきます。

調理時間

:1 時間

作り方

  1. <事前準備>魚を煮る鍋の上にピッタリはまる蒸し器(蒸籠など)を用意し、蒸し器の底にクスクスが通り抜けるような穴や隙間がある場合は、蒸し器の中にキッチンペーパーを敷く。
  2. <クスクス開始>クスクスをボウルに入れ、オリーブオイルと塩をかけ、ヘラで全体をよく混ぜる。
  3. クスクスに水(大さじ2)を入れ、全体をよく混ぜる。このとき手を使い、水分で塊になった部分を丁寧にほぐすようにする。
  4. 蒸籠にクスクスを入れておく。
  5. <魚の煮込み>アジのエラとうろことぜいごを取り、長さ1/2のところで切断し、内臓を取り除き、水洗いし、ザルにあげておく。
  6. 鍋にオリーブオイルを入れて強火にかけ、ピーマンを入れて表面を焼き付ける。
  7. ピーマンの表面の薄皮が浮いて焦げ目がついたら取り出しておく。
  8. 玉ねぎを千切りに、にんにくを細かいみじん切りに、トマトをざく切りにする。
  9. 鍋を加熱し、鍋に残っているオリーブオイルで玉ねぎとにんにくを炒め、香りが出てきたらトマトを入れ、潰しながら炒める。
  10. トマト缶の中身を粗く潰し、1/2缶分を鍋に入れ、焦げないように様子を見ながら、水分を飛ばしながら、潰しながら、焼き付けるようにする。
  11. ターメリックパウダー、クミンパウダー、パプリカパウダー、塩を入れて混ぜる。
  12. 水、鷹の爪、アジを入れる。
  13. カブは皮をむいて大ぶりに切り、にんじんは皮をむいて縦2つ割りにし、鍋に入れる。
  14. 鍋にヒヨコマメを入れ、沸騰したら火を中火程度にし、蒸籠を上に乗せ、フタをして15分加熱し、魚を煮ながら蒸気でクスクスを蒸す。
  15. 蒸している間にコリアンダーシードとキャラウェイシードをすりつぶして粗い粉末状にする。
  16. 15分蒸らしたら蒸籠をおろし、クスクスをボウルにあけ、水(大さじ2)を入れ、全体を優しく混ぜる。
  17. 煮汁の中の魚や野菜をひっくり返し、粉末状になったコリアンダーとキャラウェイを加える。
  18. 再びクスクスを蒸籠に入れて鍋の上にセットし、鍋を中火にかけ、フタをし、魚を煮ながらクスクスを15分ほど蒸す。
  19. 15分蒸らしたら蒸籠をおろし、クスクスをボウルにあけ、味見をする。蒸せていたら次の工程に入るが、蒸せていなかったらもう一度水(大さじ2)を加えて混ぜて更に蒸す。
  20. クスクスが蒸せていた場合、まず魚の煮汁から鷹の爪を取り除き、煮汁の味見をして塩加減などを調えてから、煮汁の8割をクスクスにかけ、全体を混ぜ、クスクスが均一に色づくようにし、直ちにフタをして5分間置いておく。
  21. クスクスを器にドーム型に盛り、魚と野菜を放射状に並べ、ピーマン(好みでカットしてもよい)を添える。
  22. 残った煮汁を小鉢に入れてサーヴする。
  23. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 現地では2段重ねの鍋を使います。下の鍋で具を煮て、上の鍋底はメッシュになっていて蒸気を通し、上の鍋にクスクスを入れておくと煮汁の蒸気が上に上がってクスクスが蒸されるという仕組みです。日本でなら、蒸籠(セイロ)を持っているなら、蒸籠と同じ直径の鍋を下段とし、蒸籠を上段とすることで、同様にクスクスを蒸すことができます。あるいは縦長の寸胴の鍋を持っているなら、同じ直径のザルを使うことで、煮汁から上がる蒸気を使ってクスクスを蒸すことができます。しかし、煮汁から出る蒸気でクスクスを蒸すことができない場合は、クスクスと煮込みを別調理することになります。その場合はクスクスに同体積の湯と少々の油を入れてフタをして数分置くことで、クスクスを調理することができます。この写真では、鍋と蒸籠を使ってクスクスを調理しました。
  • 地中海の料理なので、オリーブオイルを使うとよいです。
  • 使う野菜は、カブやにんじんのほか、カボチャやズッキーニなどでもよいです。
  • カブのかわりに大根で代用できます。大根を使えば大振りにカットすることができます。
  • コリアンダーシードとキャラウェイシードを粉末状にすりつぶしたものは、現地で「テーブル」と呼ばれるスパイスミックスの再現です。コリアンダーパウダーやキャラウェイパウダーを使用してもよいです。ない場合は省略してもよいです。
  • クスクスに魚の煮汁をかけるとき、一度に加えてしまうと万が一多すぎたときに修正できないので、何度かに分けて加えるとよいです。
  • 残った煮汁を小鉢に別添えにして出すのは、食べる人がクスクスにもう少し水分がほしいと思ったときに好みで上からかけるためのものです。
  • もしクスクスを蒸している間に煮汁が煮詰まっていた場合、煮汁の8割ではクスクスの味付けが足りないかもしれません。その場合は煮汁全量をクスクスにかけ、小鉢の煮汁別添えを取りやめてもよいです。

Tips about cuisine

  • 「クスクスビルフート」のアラビア語(マグレブ方言)の綴りは「كسكسي بالحوت」。
  • 「كسكسي」(クスクス、より正確にはクスクシ)は粒状パスタ、「با」(ビル)は英語のwithと次の単語の定冠詞の縮合すなわち英語で「with the」のような意味、「حوت」(フート)は魚の意味。よって、「كسكسي بالحوت」(クスクスビルフート)は「魚の煮込みと共に食べるクスクス」ないし「魚のクスクス」のような意味になる。


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