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- 「魚介のおかず」の項を新設しました。
【基礎情報】
国名:バーレーン王国、Kingdom of Bahrain、首都:マナーマ、ISO3166-1国コード:BH/BHR、独立国(1971年英国より)、公用語:アラビア語、通貨:ディナール。
【地図】
バーレーンはペルシャ湾の島国です。西にサウジアラビア、北にイラン、東にはサウジアラビアと陸続きのカタールがあります。
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◆食のリベラルさが加わった、湾岸ガルフの食文化。
バーレーンは産油国して知られる豊かな国。高度に近代化された街並みもあればシーシャ(水たばこ)の香りが漂う伝統的なメディナ(市街地)もあり、大型ショッピングモールもあればスパイスがむきだしで売られるような伝統的なスーク(市場)もあり、湾岸ガルフの他国と同様、伝統と近代の両面が楽しめる国です。料理の点でも近代と伝統が混交し、更に湾岸ガルフの例にもれず大勢の東方アジア(例えばインド、パキスタン、フィリピン)の移民者層がもたらすアジアの料理も浸透しています。バーレーン料理は、このような湾岸アラビア人の典型的な食文化に宗教の寛容さが加わって、その土地の住民と外国人居住者の両方に人気がある美食を形成しています。
英国金融機関勤務の駐在員のご自宅でバーレーン国民食のデリバリー。(撮影地マナーマ)
バーレーンはペルシャ湾にある中東唯一の島国です。たくさんの古墳はここが古代文明で栄えていたことを示しています。大帝国ペルシャ、メソポタミアの中心バグダッド、イスラムの聖地メッカなどと近いところに位置し、アジアからアフリカが海洋交易でつながる時代は交易地としても栄え、バーレーンも貿易と商業の拠点の1つでした。バーレーンは非常に乾燥しているけれども淡水泉が湧き出てヤシの木が茂り、遊牧民は長らくナツメヤシで生計を立ててきました。これは中東の多くの遊牧民がラクダに依存した砂漠生活を営んだことと対照的です。20世紀初頭までの主要産業は、真珠、ヤシの木、漁業、交易ですが、20世紀前半にはバーレーンで中東アラブ初の石油が発見され、以後ガルフ各国は石油に基づく莫大な富を得て、人々の生活が短期間のうちに大きく変わっていくことになります。
ガルフ諸国とは、一般にはGCC(※)加盟の6か国(※)を指します。いずれも名立たる産油国ばかりです。
※GCC=湾岸協力理事会。加盟国はサウジアラビア、クウェート、カタール、バーレーン、アラブ首長国連邦、オマーン。
ガルフの国々の食文化の共通点は、米もパンもよく食べ、香辛料を好みスパイシーな料理が多く、デーツ(ナツメ)、魚、鶏肉、羊肉が好まれ、それから砂漠がちで耕作不適ゆえに野菜が相対的に少なく、食糧の多くを輸入に頼っていることです。また、海洋交易の時代からインド(現在のパキスタンも含む)から多くの人が流入し、現在労働者層の多くを占めるのはインド人、パキスタン人、フィリピン人など東方のアジア人で、ガルフ各国において人口に占める自国民の割合が低いことも特徴です。インド人、パキスタン人、フィリピン人らは飲食店の調理人であったり、メイドとして家庭料理を作ったりしますから、これらのアジア料理が国民に相当に根付いているのです。
バーレーンの国民食は、他のガルフ諸国でもおなじみのマクブース(またはマチュブース、スパイシー炊き込みご飯、サウジアラビアではカブサと呼ばれる)です。上記のような、米と香辛料と魚と肉、そしてデーツ(ナツメ)を主体とするガルフの食文化に加え、バーレーンでは更に一般的にレバノン料理と言われる料理も強く根付いています。それはかつて交易で栄えたことからレバントアラブの商人(シリアやレバノン方面に由来するアラブ人)が多くこの島に往来・居住した証です。レバントは肥沃な三日月地帯と呼ばれる野菜や豆類に恵まれる地域です。レバノン等の料理として世界的に有名なホムス(ひよこ豆のディップ)やタブレ(刻み野菜のサラダ)は、バーレーンの定番料理でもあるのです。
なお、バーレーンはサウジアラビアとは橋でつながっています。バーレーン自体の産油量があまり多くなくても、地理上石油超大国サウジアラビアの出島の位置にありサウジ石油の業績を享受し、バーレーンの金融業界は非常に成功しています。独立までは英国の植民地だったので英国の金融機関が多く、バーレーンには英国人をはじめ外国人が多数居住しています。イスラム教の戒律では本来酒類や豚肉は厳禁で、サウジアラビアはこれらを極めて厳しく取り締っていますが、バーレーンは酒も豚肉も販売可&飲食可という寛容っぷり。バーレーンのお国柄である寛容さやリベラルさは外国人駐在者に好まれる理由の一つですし、旅行者にも嬉しいです。
バーレーン料理を中心に、ガルフ諸国の料理を総括します。
- メソポタミアやペルシャの影響を受けて育まれた伝統食文化。
- アラビア人主体の国で料理名の多くはアラビア語である。
- (寛容度の差はあるが)イスラムの食習慣に基づく。ラマダンあり、豚肉と酒は忌避される等。
- レバントの料理(レバノンやシリア方面の料理)が浸透している。
- 外国人労働者層が作る料理(特にインド、パキスタン、フィリピン)が浸透している。
- 石油の富により国全体も料理もとても近代的になり、インターナショナル料理が混交する。ファストフードも人気。
これらが総じて「ガルフの料理」となり、バーレーンはその「ガルフの料理」をガルフ他国と共有しているのです。
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主食 Staple
バーレーンの主食は米やパンがあります。米はロズと呼ばれ、大皿に敷かれて他のおかずと組み合わされます。マクブース(またはマチュブース)は、肉や魚を具にしたスパイシー炊き込みご飯です。
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魚介のおかず Seafood
国が狭く、土地も農地に適さず作物があまり採れないバーレーン。でも漁業はなかなか盛んで魚やエビを獲っています。魚はハムール(ハタ)、スベティ(タイ)、サフィ(アイゴ)など。マクブースなど米と合わせる料理などで食べられます。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary
【主食】
【魚のおかず】
- サフィ(صافي):アイゴ
- スベティ(صبيطي):タイ
- ハムール(هامور):ハタ
【野菜のおかず】
- タブレ:刻み野菜のサラダ
- ホムス:ひよこ豆のディップ
【その他】
- デーツ:ナツメ