ケランチム

  • 韓国料理、北朝鮮料理

  • 現地表記

    :계란찜(ハングル・チョソングル文字)

  • 概要

    :直火で作る卵の蒸し物

ケランチム

ケランチム

ケランチムのケランは卵、チムは蒸し物。日本の茶碗蒸しと出し巻き卵の中間くらいの、ふわふわで美味しい~卵料理です!! 私はこのケランチムを、理想のレシピを作りたくて、いっとき、いろいろと計量しながら作っていたことがあります。でもケランチムのレシピ作りは難しい。理由は器のサイズが家庭によりまちまちであり、1つの卵から取れる卵液の量が卵サイズによりまちまち。またケランチムは切り出して小皿に取り分けるような料理なので、仕上がったあとに水分が分離していては好ましくなく、しかし卵が多いと硬くなるのです。ということで、アドバイスとしては、まず器を決めて、1)器内容量を量るとよいです。→そして、2)その75%を液量とし→3)その内訳を卵:水=6:5にする(要は1:1より水が若干少ない)。詳しくは下の「コツ」欄に記載しています。

材料

1人分;300 mL弱の容器1つ分):

ごま油
5滴
卵(※1)
2~3個(※1)
小ネギ
刻んで大1
100 mL
ダシダ(※2)
小1/6(※3)
小1/6(※3)
  • ※1:卵のサイズにより取れる卵液の量が異なるので、下の「コツ」欄を参照して卵を選ぶか、多めに用意して余ったらほかの料理に使うなどするとよいです。
  • ※2:ダシダは韓国の顆粒状牛ダシ調味料です。そのほか、昆布だし、アミの塩辛のだし、煮干しだし、鶏がらスープの素など、だしの種類は好みで決めていただけます。
  • ※3:ダシや塩の量は、味見をして「濃いめの美味しいお吸い物」となるように加えれば、計量不要でOKです。

調理時間

(容器の計測と計算時間を除く)

作り方

  1. <事前準備と計算>直火にかけられる容器(一人用土鍋や釜めしの釜など)に何mLの水が入るか計量し、下のコツ欄を参照して卵と水の量を計算する。
  2. (容器が安定するよう、必要に応じて焼き網などを敷く(私は火起こし器を使いました))。
  3. 容器から卵が膨張しても妨げないよう容器上部に空間が作れるようなフタ、なおかつ容器の口径にフィットして熱を封じ込められるようなフタを探して用意する(私はお茶碗をかぶせました)。
  4. ケランチム作り

  5. (煮干しや昆布からダシを取る場合は別鍋で作っておく。)
  6. <調理開始>容器の中にごま油を入れ、内面に塗りつける(指でもよいしキッチンペーパーを使ってもよい)。
  7. 卵をボウルに割り入れ、できればハンドブレンダーを使い(なければ泡だて器で)、卵液に微細な気泡がたくさん入り込むように、溶き卵を作る。
  8. 小ネギを小口切りにしておく。
  9. 水、ダシダ、塩を入れて中火にかける。熱くなりすぎる前に味見をして、塩加減や旨味加減を「濃いめの美味しいお吸い物」のように調える。
  10. (注ぎ口がないボウルの場合は細く流し入れるのが難しいので、卵液を注ぎやすい形状の小さい容器に移しておく。)
  11. ダシが沸騰したら、右手(利き手)にスプーンを持ってダシをぐるぐる混ぜて水流を作り、卵液をたらーりと細く流し入れ、スプーンでダシと卵液を優しく混ぜる。
  12. 卵液が全量入ったあとも、中身がもったり&とろとろするまでスプーンで混ぜる。
  13. 中身がもったり&とろとろしたらフタをして弱火にし、90秒ほど待ったらフタを開け、表面が凝固していれば小ネギを乗せ、再度フタをする。
  14. 90秒~2分ほど待ったらフタをあけ、卵が盛り上がって蒸気が噴き出しているならフタを外し(卵が盛り上がっていなかったらフタをしてもう少し待ち)、火からおろして卓上へ運ぶ。
  15. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 卵や水の量を事前に決めると無駄なく確実性が上がります。まず容器に何 mL(何g)の水が入るか量り、その75%を総液量とします。総液量において卵液:水=6:5(要は1:1より若干水が少ない)になるように計算し、卵液の量と水の量を決めます。
  • 【計算の実例】写真の容器は内容量が286 mLでした。よって総液量を286×0.75=214 mLとし、卵液の量は214×6/11=116 mL、水(だし)の量は214-116=98 mL。MSサイズの卵なら1個から40 mL台の卵液が取れるので、1人分で2.5個(2人分で5個)使えばいい。あるいは1人分にLサイズを2つ使うなど、手持ちの卵から使用個数を判断する。そこにだしを100 mL用意することで、使う容器に合った最適のレシピが完成する。
  • ケランチムは、切り出して小皿に取り分けるような料理でもあるので、仕上がったあとに水分が分離していては好ましくなく、しかし卵が多いと硬くなって味わいが落ちるので、卵液:水分量=6:5くらいで作るとよいと思います。
  • 卵液以上に水分を使うレシピもありますが、確かにそのように作っても調理中は水蒸気圧で膨らむのですけれど、水の力で膨らませた場合は当然すぐにしぼみ、結果として内部に遊離した水分が多く生じます。ケランチムは卵の力で膨張を支える料理なので、水分より卵液が多くなるようにするとよいです。
  • ケランチムは卵液が容器を飛び出すくらいに膨張するのが見て楽しく食べて美味しいので、総液量を容器の内容量の75%くらいになるようにします。ただし容器の形状にもよるので、上部が広く拡がる形状などの場合は80%にするなど調整します。
  • 容器が小さいと容器がコンロに上手く乗らないことがありますが、蒸気が噴出すると容器が揺れるので、焼き網や火起こし器を敷くなどして必ず安定させます。
  • もしもフタが完全密封状態で蒸気がまるきり逃げないと、理論上容器の上部が陽圧になって卵が膨らみません(というか爆発して危険)。ある程度蒸気が逃げながらも気密性を保てることで上部が陰圧になって卵を引き上げる力が生じて卵が膨張します(フタをすると煮物が速く吹きこぼれるのと同じ現象です)。よってフタは、スカスカ開放でもなくピッチリ密封でもないものを求めます。
  • 容器の中で卵液とダシを先に合わせてから火にかけるレシピもありますが、それだと容器の内壁近くの卵液のみが速く固まりすぎてしまい、固まり具合に差が出てしまいます。ダシを十分に沸騰させてから少しずつ卵液を落とすことで、卵の塊が生成しにくく、結果的に全体が均一にふわふわのケランチムを作ることができます。
  • 卵液が盛り上がり蒸気が噴出されていたら内部にも火が通っています。ここで長く火にかけていると内部の外側が固くなりすぎたり、底が焦げたりするので、速く火から降ろします。
  • トッピングは小ネギのほか、三つ葉や春菊などの青菜、カニかまぼこ、韓国海苔、糸状に切った唐辛子なども使われます。
  • 好みの具を(日本の茶碗蒸しのように)沈めてもよいです。

Tips about cuisine

  • 「ケランチム」のハングル文字・チョソングル文字(韓国や北朝鮮の文字)の綴りは「계란찜」。
  • 「계란」(ケラン)は鶏卵、「찜」(チム)は蒸し物の意味である。よって「계란찜」(ケランチム)は「卵の蒸し物」の意味である。


本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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