英国料理

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【基礎情報】

国名:英国United Kingdom、首都:ロンドン、ISO3166-1国コード:GB/GBR、独立国(1801年グレートブリテン及びアイルランド連合王国成立)、公用語:英語、通貨:ポンド

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【地図】

英国は大西洋北部の島国で、アイルランドとは陸で国境を接します。近海にはフェロー、マン、ジャージー、ガンジー、ベルギー、フランスなどがあります。

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◆北方の荒涼とした土地の味覚と、植民地料理がもたらす美味。

大前提として英国料理の美味不美味は決めつけないでおきましょう。不味いことで有名な英国料理ですが、そうなると「本当は美味しい英国料理」のような声も出てきて水かけ論。でも英国人と料理の話をすると、モダン料理や植民地料理を除き、本来の自国料理を不味いと言う人が少なくないのも事実。「モダン料理と植民地料理を除き」と書いたのがポイントです。相当量の食品が工場製の既製品で工業的な味のベースが確保されています。そしてカレーも中華も、紅茶の茶葉や砂糖にしても、英国料理の評判を上げているのは、英国が歴史の中で植民地から得てきた美食に大きく拠っているのです。

英国料理
家庭のアフタヌーンティー。ミルクティー、トースト、ケーキ。(撮影地ミッドイェール)

私たちはよく「イギリス」と言いますが外務省表記は「英国」。イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つを構成国(Country)とする主権国(Sovereign state)です。歴史的には、イングランドが強くてイングランドが周囲を征服していったのが実態で、イングランド側から見ると、16世紀にウェールズを正式併合、18世紀にスコットランドと正式合同、19世紀にアイルランドと正式合同し、20世紀に現在のアイルランド部分が離脱。地域により民族や宗教が違うので独立分離運動はあるけれど、小さな地域ということもあって(※)生活習慣や文化は類似点が多く、同じ言葉(英語)が高度に通じ合う上、同じような食材が同じように調理されています。

※UK全体で日本の本州程度の面積です。

土地はムーア(酸性土壌の湿原)やヒース(荒野)が多く、寒冷で日照が少なく栽培作物は限られ、オーツ麦、小麦、アブラナ科野菜(キャベツやケールやカブ)、ネギ類と、牛や羊のための牧草。あとは中世に伝来したジャガイモなどが主要農作物です。牧畜と漁業と耕作が英国食文化の基礎ではありますが、欧州大陸のより温暖な地域の料理に比べると伝統的に食材や調味料の種類は貧弱です。

英国料理が不味いと言われる理由として、産業革命の工業化や世界大戦の食糧難などが言われますが、火のないところに煙は立たぬとはいえ、それはステレオタイプの情報である気もします。日本も工業発展や戦争食糧難を経験していますが、和食は世界に誇れ、世界的に名声ある食文化ですから。

最大の要因として、我々日本人から見るとどうしても料理に対する感覚・味覚・意欲・関心が違うこと(腹が膨れれば良しみたいな)。あとは上述のように根本的に食材や味の少ない土地柄で、食事をそれほど楽しまない生活習慣が根付いたこと。英国の隣りはフランスで、英国料理はフランス料理の影響も受けてきたのに、英国人と料理の話をすると「フランス人は毎日の食事にあんなに時間をかけて時間の無駄」と言って怪訝がる。英国では後述のように紅茶とお菓子が重んじられるので3度の食事は空腹を回避する程度でも済むのか、日頃の家庭料理は手間暇をかけて作ろうとしない傾向がある。主婦が家族の食卓に冷凍食品や缶詰食品を出すことにあまりためらいがない、缶詰パカッ、野菜やパスタをゆで、お惣菜を電子レンジでチン、市販のドレッシングやソースはよりどりみどり。それでもオーブンかキャセロール(鍋)に入れる調理を作れば十分手間をかけた家庭料理の出来上がり。

レストランでも、結構なお値段がして見映えもするお料理なのに、味をつけない肉に味がないソースと味がしないパイと味をつけないポテトと味のないゆで野菜が一皿盛りで出てきたことがある。卓上には調味料がたくさんあるけどHPソースも何か味が足りない。発酵食品の旨味がないのも日本との違い。正確に言うとマーマイト(ビール醸造のオリのペースト)はあるが、多くの外国人にはマーマイトは不味いだろう。

でも先進国英国は「美味しいものが探せる」のがよいところです。いざ滞在して驚くのはスーパーマーケットにおける生鮮食品比率の少なさと、相対的に豊富な工場生産品です。味付きの肉、旨いソース、電子レンジでチンするだけの豊富なおかず、多様多彩なカット野菜、缶詰類も賑やか。調理に手間暇をかけなくて済む品ぞろえです。

日本人だって英国で美味しいものをたくさん見つけられます。サンドイッチやは私たちも食べ慣れているし、肉好きなら日曜日定番のローストビーフはイケるだろうし、揚げ物好きにフィッシュアンドチップスは喜びだ。キッパー(ニシンの燻製)は日本人が好む味! そして「植民地料理」もある。

植民地の料理は英国料理を豊かにしました。多くはアジア料理で、英国がインド、香港、シンガポール等を獲得した歴史の上に立っています。ただ、田舎にはインド料理屋や中華料理屋がない町もありますから、そう、だからこそ植民地からの最大の収穫は紅茶と菓子。これこそ全土普遍的で絶大です。どれだけ英国がインドやスリランカに執着して紅茶を手に入れてきたことか。カリブ海はもっと悲惨で、英国はアフリカから黒人奴隷を運び込んで使役し、もともとの住人を絶滅させても砂糖を手に入れてきた。紅茶と菓子の文化が重きを置いて根付いているのは、ときに残虐だった植民地支配の歴史あってこそです。

だから、英国に行ったら、海洋覇者かつ世界の覇者になった歴史に理解を深めながら紅茶と甘い菓子を頂き、胃袋の残りのキャパでごはんを食べるといい。滞在中は次第に慣れて地元の人の感覚になり、そこそこの食事が続いても大丈夫になるものです(実体験より)。イギリス人は料理や美味しさに関心がないわけではないので(料理本や料理番組は非常に多い国です)、日曜日のローストビーフや宿泊先のフルブレックファスト(もりもり朝ごはん)のように、やるときゃやる。だから失望することはありません。ステレオタイプを受け入れないでください。英国に行って、自分で食べ物を試してきてください。

以下各論では食材別に分けて英国料理を解説し、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの地域料理の特徴も紹介していく予定です。
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主食 Staple

英国料理の主食はブレッド(パン)です。多様なパンが売っていますが基本は食パン。トースト(食パンを焼いたもの)やサンドウィッチ(2枚の食パンに具を挟むもの)などにしていただきます。

レストランで食事をすると必ずパンがついてくるわけでもなく、たっぷりの付け合わせのじゃがいもが主食の役目をすることもあります。付け合わせで主食にはならないかもしれませんが、ローストビーフにはヨークシャープディング(シュークリーム生地を焼いたもの)がつきものです。

朝食ではシリアル(穀物粒のような形状の食品)と総称されるものが多く、オートミール(乾燥した麦の粒)やコーンフレーク(トウモロコシ粉をサクサクに加工したもの)などがよく食べられています。
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肉のおかず Meat

英国の肉料理はオーブン料理でシンプルに焼くか鍋でシンプルに煮る料理が目立ちます。フランス料理においてアングレーズ(イギリス風)というと単に焼くか煮るかのシンプルな調理法を指します。ローストチキン(鶏肉のオーブン焼き)やローストビーフ(牛かたまり肉のオーブン焼き)は英国の代表料理です。英国にはサンデーローストまたはサンデーディナーという習慣があり、家庭やレストランでは日曜日にローストビーフなどの焼き物料理を作って午後みんなで切り分けて食べます。ディナーは(夕食ではなく)1日で最もボリュームの多い食事の意味です。

家庭料理ではポークチョップ(豚厚切り肉のステーキ)、カレー(肉や野菜のインド風スパイス煮)、シェパーズパイ(コテージパイ)(ひき肉とマッシュポテトの重ね焼き)も作られ、あとはバンガーズ(ソーセージとも呼ばれる)をよく焼きます。英国のソーセージはパン粉が練り込まれた独特な触感でバンガーズ&マッシュソーセージ&マッシュ)は人気料理です。

軽食ではミートパイキドニーパイなど肉や腎臓をソースで煮込んでパイに詰めて焼いた料理が人気です。
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魚介のおかず Seafood

代表的な魚介のおかずはフィッシュアンドチップス。揚げた白身魚とフライドポテトのセットで塩や酢をかけていただきます。揚げた魚がエビフライに変わったらスカンピアンドチップスです。キッパー(ニシン)も人気の魚で燻製品がよく食べられます。美味しいキッパーとして高評価なのはイングランドのクラスターという漁村の、クラスターキッパーと呼ばれるニシンです。
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パブ Pub

パブはパブリックハウス(Public House、訳:公共の家)の略で、酒場です。小さな村であっても必ずパブがあるほど生活に密着した存在です。日本の居酒屋とは違い、パブはパブ。違いはというと、日本の居酒屋はさまざまなメニューが揃っているので「お酒がたっぷり飲めるレストラン」のような位置づけですが、パブは本来が飲食目的の施設ではないので、1人なら「飲んでたそがれる」とか仲間がいれば「飲んで語らう」場所です。よってナッツとかクリスプス(ポテトチップス)程度をつまみに、ビールもあまり進まずに過ごす人も多いのです。近年になるほど食事を提供するパブも多くなりましたがそれでもメニュー数は少ないもの。ただ、パブの利点として、パブでは英国料理をよく提供する傾向が強いので、レストランが中華やインド系ばかりであまり乗り気がせず、かといってフィッシュアンドチップスはもういい、何かそれ以外の英国料理を食べたいというとき、私はよくパブに行っていました。パブには多種類のお酒が置いてありますが定番飲み物はビール各種です。また日本の居酒屋との対比としてパブは朝ないし昼から開いていることも多く、パブランチは安くてボリュームがあるので旅行者に嬉しい存在です。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

【主食】
  • オートミール(Oatmeal)・・・乾燥した麦の粒
  • コーンフレーク(Corn flakes)・・・
  • サンドウィッチ(Sandwich)・・・2枚の食パンに具を挟むもの
  • シリアル(Cereal)・・・穀物粒のような形状の食品の総称
  • トースト(Toast)・・・食パンを焼いたもの
  • ブレッド(Bread)・・・パン
【肉のおかず】
  • バンガーズ(Bangers)・・・ソーセージ。腸詰め
    • バンガーズ&マッシュ(Bangers & mash)・・・ソーセージとマッシュポテト
  • ソーセージ(Sausages)・・・ソーセージ。腸詰め
    • ソーセージ&マッシュ(Sausages & mash)・・・ソーセージとマッシュポテト
  • シェパーズパイ(Shepherd’s pie)・・・ひき肉とマッシュポテトの重ね焼き
  • コテージパイ(Cottage pie)・・・ひき肉とマッシュポテトの重ね焼き
  • カレー(Curry)・・・肉や野菜のインド風スパイス煮
  • ポークチョップ(Pork chop)・・・豚厚切り肉のステーキ
  • ローストビーフ(Roast beef)・・・牛かたまり肉のオーブン焼き
  • ローストチキン(Roast chicken)・・・鶏肉のオーブン焼き
  • キドニーパイ(Kidney pie)・・・腎臓をソースで煮てパイに詰めて焼く
  • ミートパイ(Meat pie)・・・牛肉をソースで煮てパイに詰めて焼く
【魚介のおかず】
  • キッパー(Kipper)・・・ニシンの燻製
    • クラスターキッパー(Craster kipper)・・・クラスター村のニシン
  • スカンピアンドチップス(Scampi and chips)・・・エビフライととフライドポテト
  • フィッシュアンドチップス(Fish and chips)・・・揚げた魚とフライドポテト
【付け合わせ】
  • ヨークシャープディング(Yorkshire pudding)・・・シュークリーム生地を焼いたもの
【その他】
  • サンデーロースト(Sunday roast)・・・日曜の午後にローストビーフなどを食べる
  • サンデーディナー(Sunday dinner)・・・日曜の午後にローストビーフなどを食べる
  • フルブレックファスト(Full breakfast)・・・盛りだくさんの朝食

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