パクシャスィッカム

  • ブータン料理

  • 現地表記

    :Phaksha Sikam(ゾンカ語のワイリー式表記)

  • 概要

    :豚の干し肉

▼上:出来た頃(干して6日目)、下:乾燥開始

パクシャスィッカム

パクシャスィッカム

ブータンは、英国との係争から平野部を失った国土全体が山岳の国。首都ティンプーでさえ標高2500 mというヒマラヤの山岳国家です。チベット文化圏ではお肉を薄切りにして寒冷期にドライミートにする伝統的な習慣があり、豚肉を干したものをパクシャスィッカムと言います。干し肉の名称はパクシャスィッカム、そしてそのドライミートを使って作る料理もまたパクシャスィッカムと呼びます。ここでは、干し肉のパクシャスィッカムについて作り方を記載しています。雪が降るような気候帯ならば簡単ですし、赤身や脂身から揮散成分が抜けると調理後に良い食感になり、なるほど、生肉だけでなくサラミやカルパスに人気がある理由が伺い知れます。旨味が増すんですよね。肉がいい味になるんですよね!

材料

作りやすい量):

豚の薄切り肉(※1)
干しやすい量
  • ※1:脂肪が多いものを使います。

調理時間

作り方

  1. 雪が降るような季節に、寒風が当たるような場所に、豚肉を重ならないように設置し、屋外に干す。
  2. 水分が飛んでカラカラになり、「これならあとは冷蔵庫でもつだろう」と思える程度になったら容器に入れて冷蔵庫に保存する。
  3. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 必要条件は、雪が降るほど気温が低いこと、寒風が当たること、空気が乾燥していること。
  • 直射日光に当たらないほうがよいので干し肉は移動できるようにします。
  • もし雨が降るようなら屋内に入れ、その場合はキッチンの換気扇の下など空気が停滞しない場所に吊るします。
  • 赤身の肉だけではその後の調理に使っても美味しさがイマイチとのことで、現地の人は脂身を含む肉を吊るすのが美味しいと助言してくれました。
  • ブータン現地では乾いた状態で保存食にしますが、日本の環境ではカビやすいので保存するのは冷蔵庫がよいです。
  • このまま食べるのではなく、大根などの野菜と一緒に煮て、パクシャスィッカムと呼ばれるおかずを作るのに使います。

Tips about cuisine

  • 「パクシャスィッカム」のゾンカ語(ブータンの公用語)の綴りは現在調査中です。
  • 「パクシャスィッカム」は、ゾンカ語(ブータンの公用語)のワイリー式(チベット系文字のゾンカ語をラテン系アルファベットで表記する方式)の表記で、「Phaksha sikam」。
  • 「パクシャ」は豚の脂身または豚肉そのものの意味、「スィッカム」は「干したもの」の意味。よって「パクシャスィッカム」は「干した豚肉」の意味になる。
  • 「パクシャスィッカム」は「干した豚肉」の意味だけでなく、その干した豚肉を使って野菜と一緒に調理したものもパクシャスィッカムと呼ぶ。
  • 「シッカム」と言ったらブータン人に「スィッカム」と発音を正されたので、ここでも「スィッカム」と適切にカタカナ表記しています。


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