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・ペペスープ(Pepe soup)とペッパースープ(Pepper soup)は同じ。
◆様々な民族が混交する大国、主食は各種おもち
ナイジェリアはギニア湾岸が熱帯雨林気候ですが、北部は乾燥地帯です。
ナイジェリアは、1960年に、北部州、西部州、東部州の3州連邦共和国として英国から独立しました。北部の主要民族は商業や農耕に長じるハウサ族と、西アフリカに広く分布する遊牧民のフラニ族。南部では、西にヨルバ族、東にイボ族。その他少数民族も存在しており、ナイジェリアは国内に数百部族が存在するアフリカで最も人口の多い大国です。北部のフラニ及びハウサ族は、北に隣接するニジェールと共通民族であり、西部のヨルバ族は、西のベナンと共通民族であり、東部のイボ族は、東のカメルーンや西部カメルーンと共通民族であります。南部は海に面しています。地図を見ると、特にハウサ族やフラニ族が居住する北部は、南部と気候が違うことが示唆されます。そのため、イボとヨルバの料理は南部どうし比較的似ていても、北部と南部では、食文化の違いが大きいということになります。
国民食のジェロフライスにも、様々なレベルがある。これは路上ごはん屋の安飯版(撮影地アザレ)
国の主要宗教はイスラム教(特に北部、西部)と、キリスト教(特に南部、東部)です。イスラム色の濃い地域では豚肉が食べられません。ナイジェリア北部はハウサとフラニの地域なので、遊牧民の伝統である、ヤギや羊の肉が多く食されます。また貧困から、肉をあまり食べられない人々も多いように見受けられます。南東部イボ族はキリスト教徒優勢です。
主食は、ヤム芋(長芋や里芋に似ている)と、キャッサバ芋(長芋とじゃがいもの間くらい)、そしてセモリナ粉(スパゲティーと同じ種の小麦粉から作る粒子状パスタ)や米です。土着的な主食としては、ミレットというキビの類があります。ミレットは地ビールを造る原料としても使われます。
主食の食べ方の基本は、「Pounded」(パウンデッド、杵でついたような、もちのように密度を高くしたもの)。米も、ヤム芋も、セモリナも、そうしたもち状にし、素手(右手)でちぎり、そのままソース(日本語ではシチューのほうが感覚的に合う)類をつけて、素手でいただきます。
ソース(日本人感覚で言うところのシチュー)は、トマトやトマトピューレ、玉ねぎをベースにするものがポピュラーですが、その他、ビターリーフ(苦い葉)やエグシまたはアグシ(ウリの種)を粉砕したもの、様々な青菜、オクラ、ザリガニの粉、香辛料など、様々な素材を使ったソースが、アフリカの土着的な姿を、今も残しています。ソース類は周辺国に比べて辛くてスパイシーなものが多いです。
以下に、主要4民族の料理について、簡単に記述しておきます。
【ハウサ族】ナイジェリア北部のイスラム商人で古くより交易に携わってきた民族である。東部アフリカより西アフリカに到着し、ハウサ都市を形成していった。サハラ南縁地帯(サヘル地帯)という乾燥地帯に分布するので、ソルガム(コーリャン)、ミレット(トウジンビエ)、トウモロコシなどの穀物が主食。砂漠の民のクスクスも食べる。近年では米も主食入り。昼食や夕食などは、トゥオ(Tuwo)という、穀物を杵でついてもち状にしたものをメアーまたはミヤー(miya)と総称されるシチュー類で食べるのが基本で、「tuwo da miyan taushe」と呼ばれる。メアーには野菜、カボチャ、豆、肉など様々なバリエーションがある。遊牧民であるフラニと居住地域が重なるため、ヨーグルトなど乳製品の摂取も多い。
【フラニ族】ナイジェリア北部の遊牧民で、西はセネガル、モーリタニアから、サハラの東まで、サハラやサヘル(サハラ縁部)に広く分布する。独自の宗教(アニミズム)やイスラム教を信仰する。伝統的には、家畜を連れては、家畜が生きられるところに移動し、その家畜により生きるという暮らしをい営んできたが、現在は定住する者もいる。主要な食べ物は、ミレット(トウジンビエ)、ミルク、家畜の肉など。穀物はモチ状にされ、トマトや肉、野菜などのシチュー(フランス語の影響でソス、ハウサ語でメアーとも言う)などと食べられる。
【ヨルバ族】ハウサやフラニの居住地域より南下すると、湿度も雨量も多くなり、気候が違う。そのためか、彼らの主食はヤムイモなどのイモ類が多くなる。トウモロコシやマメ類、米も食べられる。Efo Riroという野菜の多い煮込みがある。
【イボ族】ナイジェリア南東部、カメルーンとまたがって居住するイボ族の主要な食糧はヤムイモである。その他イボ族はエグシという瓜の種やビターリーフ(文字通りとても苦い葉っぱ)を料理に用いる。Draw Soup(又はOgbono soup)というとろみ粘りスープがある。
今、典型的なナイジェリア料理では、マギーブイヨンなどの濃い味が大抵の料理に入っています。そしてパーム油の独特の香りがある料理が多いです。そして周辺国の料理よりスパイシー度が高いと思います。肉シチューにでさえ魚やエビ粉のだしを加えるなど、そのアフリカに広くみられる料理の手法も面白いです。
◆ナイジェリアに行ったら、これ食べよ♪
【もち状・プリン状の主食】
・アギディ(Agidi)・・・コーンスターチを練って冷やし固めたプリンのような主食。
・インニャム(Inyam)・・・ヤムいもをもち状についたもの。西アフリカにフフと広まるものの1つ。
・エコ(Eko)・・・アギディと同じ。ヨルバ語。
・エバ(Ẹbà)・・・キャッサバ芋の粉を練った料理。イボ及び周辺語。
・カファ(kafa)・・・アギディと同じ。ハウサ語。
・ガリ(Gari)・・・エバと同じ。西アフリカで広い呼ばれ方。
・セモ(Semo)・・・スパゲティーと同じ種の小麦粉で作る粒。もち状にして食べる。
・セモリナ(Semolina)・・・セモと同じ。セモリナフフとも。
・トゥオ(Tuwo)・・・穀物をついてもちのようにしたものの総称。
┗トゥオシンカファ・・・米でつくるトゥオ。おにぎりの味。
・パウンデッドヤム(Pounded Yam)・・・インニャムと同じ。パウンデッドヤムフフとも言う。
【スープやシチュー系】
・アファンスープ(Afang soup)・・・Okaziという葉のシチューというか炒め煮。南東部エフィク族の料理。
・エウェドゥ(Ewedu)・・・刻みモロヘイヤのソース。ヨルバ族に多いかな。
・エグシ(Egusi)・・・ウリ科植物の種を砕いて加えたとろみシチュー。
・エフォリロ(Efo riro)・・・刻み野菜のシチューというか炒め煮っぽい。肉やモツや魚が入ることも。多分ヨルバ語。
・オグボノ(Ogbono)・・・ワイルドマンゴーの種子の粉で粘りのあるイボ族のスープ。ドロースープの一種。
・オベ(ọbẹ)・・・主食をつけて食べるシチュー類全般、おそらくイボもヨルバもこう呼ぶ?
・オベアタ(obe ata)・・・辛味あるスープ。英語でPepper soup。肉、モツとトマトが多い。
・ドロースープ(Draw soup)・・・直訳糸を引くスープ。オクラやオグボノによる粘りあるスープ。
・ペッパースープ(Pepper soup)・・・オベアタの英語名。
・ペペスープ(Pepe soup)・・・ペッパースープと同じ。
・メアー(Miya)・・・主食をつけて食べるシチュー類全般、ハウサ語。
・ヤクワ(Yakuwa)・・・日本名スイバ(酸味のある葉)やその茎を煮たスープ。ハウサ語。Nupe語=Emagi、ヨルバ語=Isapa。
【その他の食べ物】
・アカラ(Akara)・・・黒目豆の粉で作る丸揚げパン。
・イドド(Idodo)・・・揚げプランテーン(甘くないバナナ)。
・ジョロフライス(Jollof rice)・・・トマトで赤い油炊き込みご飯。
・スヤ(Suya)・・・ハウサ語で「fry」、ゆで肉の素揚げだったり、肉の串焼きだったり。
・ドド(Dodo)・・・イドドと同じ。
・エワドド(Ewa Dodo)・・・豆(Ewa)とバナナ(Dodo)の煮物。マギーとパームオイルベースの味。
【飲み物】
・ゾボ(Zobo)・・・日本名ローゼル。アフリカではカルカデやビサップと呼ばれる、ハイビスカスのガクのお茶。ハウサ語。