モルディブ料理

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【基礎情報】

国名:モルディブ共和国Republic of Maldives、首都:マレ、ISO3166-1国コード:MV/MDV、独立国(1965年英国より)、公用語:ディベヒ語、通貨:ルフィヤ

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【地図】

モルディブはおよそ1200の小島で構成される国です。北にインドスリランカがあります。

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◆魚とココナッツ主体の素朴な伝統料理にイスラム食習慣とモダンな料理が融合

モルディブは、海とビーチがとびきり美しく、インド洋にちりばめられた至宝として賞賛されています。100近いリゾートホテルは「1島1ホテル」の形式で存在し、滞在中は全てその島で過ごすオールインクルーシブステイです。リゾートの島には村や町がなく、モルディブ人の日常的な暮らしや料理を見ることができず、またリゾートのレストランがモルディブ料理を提供しても、それはインターナショナルな調理によるモダンでファンタスティックな、本来のモルディブ料理の質素さを欠くものでしょう。あなたがモルディブでどのような食の経験を積むかは、あなたがどこに滞在するかにかかっています。英語ガイドブックにも書かれています。「モルディブ料理を食べたいならリゾート島を出よ」と。

モルディブ料理
国民食のガルディヤトゥナ(マグロまたはカツオ)が美味しいスープ。(撮影地マレ)

世界にこんな「面白い国」かつ「変わった国」があるなんて思ってもみなかった。南の島のリゾートのイメージとは、ニューカレドニア、フィジー、セブ、グアムなどでしょうか。そういった南のリゾート島国はキリスト教が主宗教となる国ばかり。でもモルディブは国民は基本的に全員ムスリムです。女性は外では肌を出してはならないムスリムの習慣とビキニ女性が似合う白砂のビーチリゾートはミスマッチな気がしますが、モルディブでは住民がいる島はビキニ禁止、アルコール禁止など、外国人を泊めるためのリゾート島とは明確に分けています。

かつて、もともと無人島だったモルディブに、インドやスリランカ方面から人が移住してきました。そして中世期にイスラム教が伝わり、モルディブはイスラム教国家になります。

地元で採れる作物は、カーシ(ココナッツ、※)、バンブケヨ(パンノキの実)、カシケヨ(パンダナスの実)、果物。獲れる生き物は主にマス(魚)。モルディブ料理は本来非常に質素だということが見てとれます。ただし、地理上インドとスリランカの目と鼻の先ということもあり、モルディブ料理を食べた人なら誰もがインドやスリランカの料理に似ていると思うことでしょう。米や小麦を主食とし、香辛料を多く使うから料理はスパイシーで、唐辛子を使う料理はホットです。

※ココナッツは生育段階によって名前が変わる。

1972年、首都マレを擁する環礁でモルディブ最初のリゾートが操業を開始しました。以降は外国人観光客が絶えずやってきて、モルディブは変容し、わずかな期間で今のような裕福な国になりました。今や首都マレは世界最大の人口密度都市で、街並みや飲食店はモダンに変化しています。モルディブ人裕福層が多くなったため、経営者がモルディブ人で就労者が出稼ぎ外国人という図式も普通で、地元民でにぎわうホタ(食堂)に行っても調理人はバングラデシュ人といったことも多々。

それでも嬉しいことにモルディブではホタでも家庭でも伝統料理をたくさん残しています。国民食はガルディヤ(魚スープ)、マスフニ(魚ココナッツそぼろ)、マスリハ(魚カレー)、マスロシ(魚入りパン)、マスバイ(魚入りごはん)など。リハクル(魚の煮汁を煮詰めたもの)のように他の国ではみかけない料理もあります。イスラム教に基づき豚肉とお酒は忌避される一方で鶏肉は人気の食材で、ククルリハ(チキンカレー)はホタでも家庭でもよく作られる料理です。

モルディブは面白いです。どこをとっても一風変わっている。だからマレ(あるいはモルディブ人が住む他の島)でいろいろなものを見て食べると楽しいです。まさに冒頭に記したように「あなたがモルディブでどのような食の経験を積むかは、あなたがどこに滞在するかにかかっている」のです。私たち日本人も魚をよく食べる民族ですが、日本にいては思い付きもしないような魚料理がいっぱいあって、モルディブのローカルフードは楽しいですよ。
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ハワードゥ Havaadhu

ハワードゥはモルディブの伝統的なスパイスミックスです。ココナッツをすりおろして香辛料と共に中華鍋のような大きなパンで炒り、ダイ(砥石の大きなもの)とフォイ(すりこ木に相当する石)でなめらかにすって作るので、カレーペーストと呼ぶほうが適切かも。家庭では今も伝統的あるいは電動フードプロセッサーで作ります。作りたてのハワードゥは素晴らしい香りです。

野菜にはフニハワードゥ(ココナッツカレーペースト)、サンゴ礁の魚にはドンフニハワードゥ(ターメリックココナッツカレーペースト)、マグロやカツオにはミルフリーハワードゥ(唐辛子カレーペースト)、卵や鶏肉にはコタンビリハワードゥ(コリアンダーカレーペースト)など。使い分けも楽しいですね。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

ディベヒ語または英語アルファベット文字表記が分かる場合は付記しています。

【主食】
  • マスバイ:魚入りごはん
  • マスロシ:魚入りパン
【肉のおかず】
  • ククルリハ:チキンカレー
【魚のおかず】
  • ガルディヤ:トゥナの澄んだスープ
  • トゥナ:マグロまたはカツオ
  • マス:魚
    • マスフニ:魚ココナッツそぼろ
    • マスリハ:魚カレー
【植物性の食材】
  • カーシ:ココナッツ
  • カシケヨ:パンダナスの実
  • バンブケヨ:パンノキの実
【調味料】
  • ハワードゥ(Havaadhu):スパイスミックスまたはカレーペースト
    • コタンビリハワードゥ(Kothanbiri havaadhu):コリアンダースパイスミックス
    • ドンフニハワードゥ(Dhon huni havaadhu):ターメリックココナッツカレーペースト
    • フニハワードゥ(Huni havaadhu):ココナッツカレーペースト
    • ミルフリーハワードゥ(Miruhulee havaadhu):唐辛子カレーペースト
  • リハクル:魚の煮汁を煮詰めたもの

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