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- 「魚のおかず」の項を新設しました。
【基礎情報】
国名:マラウイ共和国、Republic of Malawi、首都:リロングウェ、ISO3166-1国コード:MW/MWI、独立国(1964年英国より)、公用語:英語、通貨:クワチャ。
【地図】
マラウイはアフリカ大陸の南東部に位置する、南北に細長い国です。隣接する国には、タンザニア、モザンビーク、ザンビアがあります。
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◆アフリカ南部の典型料理。意外にお米が美味しいです。
世界には「地球の割れ目」を目で見て体感できる国が幾つかあります。アフリカにある南北に細長いマラウイ湖も地球の割れ目で、マラウイ湖に沿って南北に細長い国(南北に840 kmあるが東西は最大160 kmしかない)があり、それがかつてのニヤサランド、今のマラウイです。国土の約半分が1000 m以上の高原状台地であり、比較的過ごしやすい気候で、北部タンザニア国境付近では昔から稲作も行われていました。
もち状の穀物、シンプルな味付けの肉か魚、青菜の組み合わせが、マラウイの定番。(撮影地ムズズ)
当サイトでは、マラウイを東アフリカではなく南部アフリカに区分しています。東アフリカはスワヒリ、すなわちアフリカとアラブ文化の融合に強く支配ないし影響される国々(ケニアやタンザニアなど)と捉えることができますが、マラウイはそのような典型的なスワヒリ圏からは若干外れているというのが理由の1つ。2つめの理由は、マラウイは南ア(南アフリカ共和国)の通貨であるランドが強い地域(俗に言うランド圏)であり、経済的に南ア圏と言える地域だからです。
とうもろこし粉を練ったものを主食にし、これを素手で食べる一方で、揚げたじゃがいもをチップスと呼び紅茶をよく飲む。こういった点に、ブラックアフリカと英国の影響の混交を感じます。
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主食 Staple
マラウイの主食はシマです。「Nsima」と綴られるのでカタカナに起こすときにはンシマと書いても良いのでしょうけれど、発音するときはンシマと言わずにシマと言うほうが近いように思います。南アから南スーダンまで、アフリカには広くこの「とうもろこし粉(メイズ)を湯で炊いたもの」が主食になっており、南アではパップ、ジンバブエではサザ、ケニアやその周辺国ではウガリと呼ばれます。
シマ自体には塩すら入れず、味をつけずに作ります。日本人が水だけでお米を炊いて食べるのと同じ。だから、塩分などで味がついたおかずが伴います。おかずは1種類のときもありますが、2種類なら肉類と野菜です。
なお、とうもろこしは16~17世紀ごろに新大陸(米州)から導入されました。それより前は、ソルガム(モロコシ、コーリャンのこと)やミレット(トウジンビエ、シコクビエなど)が主たる炭水化物源でしたが、マラウイに限らずアフリカの広い地域で(一部の乾燥地帯を除き)とうもろこしが定着しました。今、マラウイには「chimanga ndi moyo」という言葉があり、これは、「とうもろこしは命を支えるもの(maize is life)」という意味です。シマは、こうした背景から、一般的にはとうもろこし粉を炊いた料理ではありますが、ソルガムやミレットで作るシマも残っています。
また、キャッサバ(木芋)で作るシマもあります。キャッサバもまた新大陸(米州)から導入された作物ですが、主として熱帯雨林地方で採れるので、西アフリカや中央部アフリカでは主たる食材となりうるものの、マラウイでは、気温が高く水が豊かな北部湖畔地域で採れる程度です。乾燥して粉にすると保存がきくので、とうもろこしが不作のときはマラウイ南部方面にも流通します。キャッサバはマヤオと言うので、キャッサバで作るシマはシマヤマヤオと言い、キャッサバ独特の粘りがあって、おもちみたいな伸びが出ます。キャッサバ粉ととうもろこし粉をブレンドして作るシマもあります。
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米 Rice
マラウイは南半球に位置する国なので北部のほうが気温が高く、米は温かい(暑い)ところでよく育つ作物であることから、マラウイでは北部が「米どころ」となります。特にカロンガ地方は主要生産地です。1964年の独立前も周辺国同様に稲作が行われていたものの、雨水使用のため収穫量は少なく、客人をもてなす料理は米とチキンであったほど、米は貴重な食材でした。独立後、台湾隊農耕、続いて日本の国際協力事業団の灌漑技術が導入され、水路が建設され、水田稲作が行われるようになり、米は随分と普及したようです。今では日本米も作られていて、旅をしていてそういう美味しいお米に出会えると、マラウイ料理の印象がぐっと良くなるものです。ただ、今もマラウイではお米は他の穀物より高価なものであり、貧しい家庭では食べられないものなのだそうです。
ムプンガは炊いた米、いわゆる「ごはん」です。元英領ゆえ英語がよく通じる国なので、ライスと呼んでも通じます。また、パラまたはファラはお粥です(綴りは「Phala」で、英語に直訳するとマッシュという意味です)。パラまたはファラ(お粥)はグラニュー糖を思いっきりかけて甘くして食べます。
シマ、お米に続き、マラウイの第三の主食はじゃがいもです。チップスはフライドポテトです。食堂では、例えばチキンのおかずがあるとして、おかずが決まったら、あとは主食を選びます。シマか、ライスか。あるいはチップスが置いてあれば、シマかライスかチップスか。・・・そう、日本とむしろ逆なんです、日本では一汁三菜っていう言葉があって、主食はたいてい白いごはん1つ、そして複数のおかずがある。でもマラウイでは、おかずが1種類しかなくても、主食が選べるのです。
この「主食を選ぶ」という食事スタイルは、アフリカに広く根付く食文化・・・、まさに「文化」だなあと、各国料理を研究していてつくづくと思うのです。
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魚介のおかず Seafood
マラウイ湖は淡水湖で、海を持たないマラウイの料理は淡水魚に依存します。魚は揚げ魚やトマト煮などで食べられます。干物にして保存もします。
ウシパは見た目がイワシのような小魚。ウタカはハッピー(幸せ)とも呼ばれるカワスズメ科の小型の魚で、ムチェニはカワスズメ科の大きめの魚。ボンベは80 cmにもなるナマズ類。カンパンゴは1 mにもなるナマズの絶滅危惧種。ムブナはカラフルで美しい小魚で観賞魚として輸出もされるもの。
観光客に人気のチャンボは単一種の魚ではなくティラピアないし鯛に似た幾つかの魚を指し、白身が美味しいので人気です。しかしチャンボの漁獲量は減少しており、チャンボの主要な種が近年絶滅したとみられ問題になっています。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary
【主食系】
- シマ(Nsima):主にとうもろこし粉を湯で練ったもの
- シマヤマヤオ(Nsima ya mayao):キャッサバ粉で作るシマ
- パラ(Phala):米から作るお粥
- ファラ(Phala):米から作るお粥
- ムプンガ(Mpunga):炊いたお米
- ライス(Rice):炊いたお米
- ンシマ(Nsima):主にとうもろこし粉を湯で練ったもの
【魚の種類】
- ウシパ(Usipa):イワシサイズの小魚
- ウタカ(Utaka):カワスズメ科の小型の魚
- カンパンゴ(Kampango):大型ナマズの絶滅危惧種
- チャンボ(Chambo):幾つかのティラピア類の総称
- ハッピー(Happy):ウタカの別名
- ボンベ(Bombe):大きめのナマズ類
- ムチェニ(Mcheni):カワスズメ科の大きめの魚
- ムブナ(Mbuna):カラフルで美しい小魚