アイスランド料理

+++新着+++


【基礎情報】

国名:アイスランド共和国Iceland、首都:レイキャビク、ISO3166-1国コード:IS/ISL、独立国(1944年デンマークより)、公用語:アイスランド語、通貨:クローナ

▲目次に戻る


【地図】

アイスランドは、グリーンランドとスカンジナビア半島の間にある島国です。

▲目次に戻る


◆「地球の生まれ方」が見える国には羊がいっぱい。

アイスランドは地球のプレートが生まれる場所にある、世界で一番「新しい」国(それでも氷河期にはすでにこの島は形成されていたとのことです)。観光ポイントといえば、火山、川温泉、それから間欠泉ゲイシールに、プレート発生地点の上に立つ地球の割れ目ギャウなど、アイスランドは盛んな大地の活動が見どころです。熱い国なのに氷河もあり、白眉の大自然は絶景の連続で、アイスランドを旅すると、すがすがしさに最高の気分になります。食べるものの種類は多くありませんが、きれいな空気、氷河や雪が融けた美味しい水、もうこれだけで、アイスランド料理の美味しさが目に浮かぶようです。

コウテラトゥル
アイスランドには至る所に羊が生息しています。美味しい羊のステーキ。(撮影地ヴィーク)

アイスランドは、グリーンランドとスカンジナビア半島の中間、北極圏のすぐ南に位置する島国です。9世紀のノルウェー動乱の時期に豪族らがヴァイキングとなって海に逃れてアイスランドへ定住し、その後も、数十年間スカンジナビア半島からの移住が続きました。アイスランド人の祖先は、このような「ヴァイキング」と呼ばれる人々です(※)。

※9世紀よりも古い遺跡が見つかっており、ヴァイキング到来前に人が住んでいた可能性も提示されています。

彼らが船に乗せて運んできたと言われる羊は、今やアイスランド人口の何倍もの数に増え、国中が羊だらけです。牧畜が盛んで、島国ゆえ漁業も行われています。ヴァイキングの時代から受け継がれる数々の保存食も、今は近代的な欧米の料理に置き換わってきている面はありますが、アイスランド料理といえば、伝統的に、羊と乳製品と魚なのです。
▲目次に戻る

主食 Staple

アイスランド料理の主食はプルイス(パン)です。アイスランドは独立前はデンマークであり、アイスランドの最初のベーカリーはデンマーク職人が開いたとのことで、デンマークのパン焼き技術が広まっています。ライ麦粉を使ったルグプルイス(黒パン、ライ麦パン)がよく食べられています。

ルイファプルイスは、ルイファ=葉っぱの文字通り(英語のleafに相当)、ひらひらとした薄いパンで、葉っぱのパン、ときに雪のパンとも呼ばれます。アイスランド北部(フサヴィークHúsavik)からアイスランド全土に広まったもので、薄い円形のパン生地に雪模様などの幾何学模様を切りこんで、油で揚げて模様を楽しみながらいただきます。これは17~18世紀の穀物不足時代に少ない小麦粉で作られたものだと言われています。

「北欧っぽさ」に、憧れ、ときどき
▲目次に戻る

魚のおかず Seafood

島国のアイスランドでは魚がよく獲れ、FAO統計(※)では国別漁獲量第19位で、世界の漁獲量の1.3%を占めてます。

※The State of World Fisheries and Aquaculture 2016における2014年統計報告。なお日本は世界第5位。

アイスランドでは、エビもタコもロブスターも、アンコウもサバもアジもシシャモもマスも、(魚ではないが鯨もアザラシも)獲れるのですが、庶民の食文化は意外に魚に依存しておらず、普通のスーパーに行っても鮮魚はあまり多くなく、サーモンや白身魚が3、4種類が置いてある程度のところが多いです(冷凍食品を含めればもっと種類は得られます)。日本で買うエビや鯨肉はアイスランド産のものが多いですね。

伝統料理の代表は、ハルズフィスクール(干しタラ)で、トンカチで叩いてほぐれして油脂(バターなど)をつけていただきます。ケストゥルハウカートルまたは単にハウカートル(直訳:サメ)は、土中に埋めて発酵したアンモニア臭が強いサメ肉(発酵することで毒を失活させている)です。

家庭料理の代表は、フィスキボルル(魚肉ハンバーグ)、フィスキス―パ(魚スープ)、プロックフィスクル(魚肉とじゃがいものグラタン)など。ちょっとしたごちそうにはグラフラックス(サーモンを塩と砂糖の溶液に浸けてディル風味でシメたもの)があります。

アイスランドに行く旅行者は大自然の旅をする人が多いでしょう。キャンプやドライブの際はMillis社のカビア(チューブの魚卵ペースト)を持参すると良く、パンに塗って食べると、便利で美味しいのです。
▲目次に戻る

スープ類 Soup

主食がパンの国らしく、スーパ(スープ類)も好まれています。キョーツーパは羊肉のスープ。サルトキョートは保存食の塩漬け肉のスープ。肉類のスープにはよく玉ねぎ、じゃがいも、豆などが入ります。

フィヤートラグラサミョークは「アイスランドモス」(学名:Cetraria islandica)というコケをミルク煮にした北部の伝統料理。エッグヤミョークは、エッグノックのような、ミルクと卵、ときにドライフルーツ入りのスープです。

古くなったパンを消費するときにはブルイズスーパ(パンスープ)を作ります。
▲目次に戻る

乳製品 Dairy Products

スキールはアイスランド名物の乳製品です。製法上はチーズに分類されるらしいのですが、知らないで食べるとヨーグルトって言ってしまいそうな白くて流動性の高い乳製品です。ともあれ信じられないほど美味しい。かつてヴァイキングがスカンジナビア半島から移住したときに持ち込んだと言われており、現在ではアイスランドを代表する食材ではありますが、ノルウェーには残っていません。ブルーベリー入りなど、様々なフレーバーのスキールも市販されています。
▲目次に戻る

料理名一覧 Food & Drink Glossary

【主食】
  • プルイス(Brauð)・・・パン
    • ルイファプルイス(Laufabrauð)・・・幾何学模様の入った薄い円形揚げパン
    • ルグプルイス(Rúgbrauð)・・・黒パン、ライ麦パン
【魚のおかず】
  • カビア(Kaviar)・・・チューブの魚卵ペースト
  • グラフラックス(graflax)・・・塩と砂糖とディル風味でシメたサーモン
  • ケストゥルハウカートル(Kæstur hákarl)・・・発酵サメ肉
  • ハウカートル(Hákarl)・・・発酵サメ肉
  • ハルズフィスクール(Harðfiskur)・・・干しタラ
  • フィスキス―パ(Fiskisúpa)・・・魚スープ
  • フィスキボルル(Fiskibollur)・・・魚肉ハンバーグ
  • プロックフィスクル(Plokkfiskur)・・・魚肉とじゃがいものグラタン
【スープ】
  • エッグヤミョーク(Eggjamjólk)・・・ミルクと卵のスープ
  • サルトキョート(Saltkjöt)・・・塩漬け肉のスープ
  • スーパ(Súpa)・・・スープの総称
    • キョーツーパ(Kjötsúpa)・・・羊肉のスープ
    • ブルイズスーパ(Brauðsúpa)・・・パンのスープ
  • フィヤートラグラサミョーク(Fjallagrasamjólk)・・・コケのミルク煮
【乳製品】
  • スキール(Skyr)・・・ヨーグルトのようなチーズ。

▲目次に戻る