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【基礎情報】
国名:仏領ポリネシア、French Polynesia、首都:パペーテ、ISO3166-1国コード:PF/PYF、非独立国(フランス領)、公用語:フランス語、通貨:パシフィックフラン。
【地図】
仏領ポリネシアは、ハワイの真南に位置する太平洋の島嶼群です。海域は、東にピトケアン、西にクック、北にキリバスと接しています。
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◆伝統的なポリネシア料理と長年のフランスの支配の融合
ニュージーランド-ハワイ(米国)-イースター島(チリ)をつなぐ線は「ポリネシアの大三角形」と呼ばれ、その内側には仏領ポリネシアを含め、ポリネシア人の国が多数あります。国や地域が違ってもポリネシア人の料理は似ているとは言いますが、今や、仏領ポリネシアにおけるフランス人比率は10%も占め、ハワイ料理が大きく米国ナイズされたように、仏領ポリネシアは国民の日常会話も標識もフランス語が主であるほど、文化全体にフランスの影響が強く流入しています。ポリネシア人の国がフランス領になったところは珍しく、よって仏領ポリネシア料理は、他のポリネシアの国の料理とは随分と違う様相を見せています。
トン(マグロ肉)は仏領ポリネシア料理の主要食材です。(撮影地パペーテ)
ポリネシア11か国の過半数となる7か国が元英領国家で、残りのうち2つ(仏領ポリネシアとウォーリスフツナ)は現在もフランス領です。仏領ポリネシアの場合は、1842年にフランスが保護区を設けて以来ずっとフランスの支配を受けています。なお日本人はこの国を「タヒチ」という呼ぶ人が多いのですが、タヒチは国名ではなく、「仏領ポリネシア」を構成する多数の島のうちの1つ、国際線が就航する主島の名称です。
仏領ポリネシアにはポリネシア系の地元の言葉もありますが、2012年の国勢調査では15歳以上人口の約70%が家庭内でもフランス語を話し、なおかつその数字は2007年調査よりも増加しています。それほどフランス語が浸透した国ですから、現地に行くと、言葉も標識も、食堂のメニュー表記も、あれもこれもフランス語です。同様に、食文化もフランスの影響を随分と受けています。
ここが大事な点なのですが、フランス料理の美味しさといえば、きっと大多数の日本人にとっては「高級レストランのシェフの作る美食」がイメージされるでしょうけれど、実際にフランスやフランス領国家に行けば「基本的なものが至極美味しい」ことを実感するでしょう。例えば毎朝の焼き立てのバゲット(フランスパン)が至極美味。フランス人にとって基本的な食材(バゲットなど)は安価で安定している(政府が公定価格を安価に維持している)上、フランスから続々輸入されるワインやチーズやバターやオリーブがある。ポリネシア人の基本的な食材(果物、ココナッツ、魚など)も今も根付いている。だけどそれら地元の食材はレストランに行けばフランス風にアレンジされてこれまた美味。・・そういう美味たる融合があるから、仏領ポリネシア料理(及びウォーリスフツナ料理)は、ポリネシアの中では垢抜けて美味しいと感じられます。
もちろん、多数の島がある仏領ポリネシアでは、観光客が多く訪れてインターナショナルなタヒチ島やボラボラ島もあれば、辺鄙な田舎の離島も多数ある。私は幸いに、前者のタヒチ島とモーレア島と、後者に属するマンガレバ島の両方を旅して、とても面白かった。そんな、多数の島があるがゆえの多様さも含めて、この国の料理は、面白く、素晴らしく、興味深いこと尽くしです。
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主食 Staple
仏領ポリネシアの伝統的な主食は、南国の暑い気候のもとで育つ食材です。フェイ(食用バナナ)、ウル(パンの木の実、別名フリュドゥパン)、タロ(タロイモ)、ウフィ(ヤム芋)、ウマラ(サツマイモ)、マニオク(キャッサバ芋)など。ウルはメロンサイズの木の実をたき火で焼いて(庭がない家では水煮)、黒焦げの皮をはぎ取って中のホクホクの部分を食べます。「パン」の木という名前はついていますが、食感はイモに近いです。
先述のバゲットも仏領ポリネシアの基本的な主食です。物価の高い国ですがバゲットは安く、離島の小さなマガザン(商店)でも朝の焼き立てバゲットが陳列されています。クロワッサン(三日月形のロールパン)も人気です。
また、国内には中国人(人口の12%)がフランス人(10%)より多く、今やポリネシア人が調理する食堂でもリカントネ(焼き飯)が出されるほど、中国の料理も広まっています。
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肉のおかず Meat
ポリネシア人の基本の肉は豚です。タヒチ語では豚をプアアと言います。太平洋の他の国々と同様、庭先に豚を飼い、行事やお祝いの日に1頭まるごと調理する家が多いです。豚の調理法としては、直火の上で丸焼きにするほか、アヒマアと言う地中調理があります。アヒマアは、土に穴を掘って焼け石を入れて具材を入れて覆いをする蒸し焼き調理です。
また上記中国料理の影響から、地元の人も中華味を取り入れた中華風の料理を作ることも多いです。料理名はフランス語で、例えば酢豚はポークエーグルドゥース(Porc Aigre-douce)といった料理名になります。面白いですね。
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魚介のおかず Seafood
仏領ポリネシアはトン(マグロ)の産地で、生食用のものがスーパーや市場で売られています。トンには2種類あり、トンルージュ(赤身のマグロ、高いが刺身に良い)とトンブラン(マリネに向く赤みの少ないマグロ)があります。新鮮な魚の肉を薄切りにした日本式の料理はサシミと言います。面白いのはソスサシミ各種で、トマト味、柑橘味、ピーナッツ味、中華味などがあり、わさび醤油一辺倒の日本人が驚く味の各種のタレを添えて刺身を食べるのです。
仏領ポリネシア名物の筆頭に挙げられるのはポワソンクリュ(ポワソン=魚、クリュ=生)という生のマグロの刺身(他の魚肉でも代用可)にレモンやライムの果汁をふり、野菜の細切りを混ぜてココナッツミルクをかけたマリネです。辺鄙な離島に行くと野菜は玉ねぎだけということも多いのですが、物資の多い栄えた島ではキャベツ、きゅうり、にんじんなども入って賑やかです。
他の魚介類には、パフア(シャコ貝)、マヒマヒまたはメイメイ(シイラ)、カベウまたはアベウ(ヤシガニ)などがあります。家庭では、魚介類はツヌパペ(水煮、ツヌ=料理、パペ=水)やフライパニ(フライパンで揚げ焼き)にて調理されます。
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ルロット Roulottes
「ルロット」は直訳するとトレーラーやキャラバンの意味で、日本でも見かける、キッチンを車に乗せた移動式屋台です。広場や港など、夕暮れ時になるといろんな場所に登場しますが首都パペーテのヴァイエテ(Vai’ete)広場のルロットは規模が大きくて有名です。テーブルと椅子が多数用意されており、中華料理、バーベキュー、フランス料理、クレープやアイスクリーム、ビールなどをルロットで買って、暑い夜の風を気持ちよく受けながら、みんなでわいわいと食事&ビールを楽しむ光景や家族連れの食事風景が見られます。仏領ポリネシアの外食物価は高いのですが、ルロットであれば、比較的低価格で地元の料理をいろいろ試せるのでおすすめです。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary
【主食類】
- ウフィ(Ufi):ヤム芋
- ウマラ(Umara):サツマイモ
- ウル(Uru):パンの木の実
- クロワッサン(Croissant):三日月型ロールパン
- タロ(Taro):タロイモ
- バゲット(Baguette):フランスパン
- フェイ(Fei):食用バナナ
- フリュドゥパン(Fruits de pain):パンの木の実
- マニオク(Manioc):キャッサバ芋
- リカントネ(Riz cantonnais):焼き飯
【肉類のおかず】
- プアア(Puaa):豚肉
- ポークエーグルドゥース(Porc Aigre-douce):酢豚
【魚介の種類と魚介のおかず】
- アベウ:ヤシガニ
- カベウ:ヤシガニ
- サシミ(Sashimi):刺身
- ソスサシミ(Sauce sashimi):刺身用のタレ各種
- トン(Thon):マグロ
- トンルージュ(Thon Rouge):赤身のマグロ肉
- トンブラン(Thon Blanc):赤みの薄いマグロ肉
- パフア:シャコ貝
- ポワソンクリュ(Poisson Cru):刺身のレモンと野菜とココナッツミルク和え
- マヒマヒ(Mahimahi):シイラ
- メイメイ(Mahimahi):シイラ
【調理法】
- アヒマア(Ahimaa):地中蒸し焼き調理
- ツヌパペ(Tunu pape):水煮
- フライパニ(Furaipani):フライパンで揚げ焼き