ニウエ料理

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  • 文章を微改変しました(主旨は変化していません)。

【基礎情報】

国名:ニウエNiue、首都:アロフィ、ISO3166-1国コード:NU/NIU、独立国(2015年日本政府による国家承認)、公用語:ニウエ語、英語、通貨:ニュージーランドドル

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【地図】

ニウエは太平洋南半球の小さな島国です。海域は、西にトンガ、北に米領サモア、東にクック諸島と接しています。

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◆伝統がたくさん残る、南の島の素朴な料理

ニウエってどこ? 太平洋の国の位置はなかなか覚えられませんね。そこで地図で割と目立つニューギニア島から順に東へ見てみましょう。覚え方は「蕎麦太肉」。ソロモン→バヌアツ→フィジー→トンガ、その東にニウエ→クックと続きます。ニウエは太平洋の小さな島。広い空と青い海と自然が多い風景は、旅行者に素晴らしい開放感を与えてくれます。その「アイランドライフ」の暮らしにはのどかで素朴な伝統がたくさん残されていて、魚やイモやココナッツミルクなどを使った、南の島の典型的な料理が楽しめます。

ニウエ
村祭り「ショーデー」の風景。左の女性が持つヤシガニは美食中の美食です(撮影地マケフ)

唐突に日本の政治の話ですが、我が国には2009年から3年間の非自民政権時代がありました。自民党の方針からの鋭意転換ゆえか様々な改革が試みられて例外事項が多く作られてしまい違和感が多い政治とも語られる時期ですが、ニュージーランド(NZ)の自由連合国(※)であるクック諸島が -それまでの政府はずっと非独立国としてきたのに- 国家承認されたのはその時期です。

※ある程度の国家権を持つ政治的領土が、外交や防衛などの権限をより大きな国に委ねる国家間の関係。

クック諸島の隣のニウエも同様にニュージーランドの自由連合国です。人口二万人のクックの国家承認はまだしも、人口千人台のニウエは日本の「村」レベルで流石にそれは…、と政府内も異論反論あったそうで、とはいえクックとニウエの政治的地位は同等なので、日本政府は結果的に遅れてニウエも国家承認することになります。かくして国連にも英連邦(※)にも非加盟の2か国が「日本的には独立国」となり、政府は日本国民に両国の承認理由の説明もなく独立国の定義を曖昧にする混乱を招く結果を残しました。

※英連邦:元英領の国々で構成される連合。英連邦公式サイトでは、ニュージーランドは英連邦加盟国だが、クックとニウエはニュージーランドの関連自治国であって主権国でないため英連邦には加盟できないとしている。

ちなみに、クックとニウエの住民はニュージーランドの居住権を持っていて、所定の労働条件を満たせばニュージーランドで年金ももらえる好待遇。「裕福で便利な国でより良い暮らしをしたい」と、ニュージーランドには3万人のニウエ人が住んでいます。一方でニウエ本土の住民は1620人(※)です。そういう背景を理解して、ニウエは人が流出した後に残る過疎地のような土地であることを前提に捉えておくと、その「素朴でのどかな文化」の実態がつかみやすいでしょう。

※2018年国勢調査。

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さて、ニウエは、どんなところ? 素敵なニウエのお話しをしましょう。

ニウエ人はおよそ1000年前以降にトンガやサモアから海を渡ってきた人々の子孫で、ポリネシア人に属します。食文化も典型的なポリネシア文化で、魚とココナッツとタロイモ、それからキャッサバイモやパンの木の実、バナナやパパイヤや、お祝いに焼かれる豚といった食生活を営んできました。今はニュージーランドからチキンや加工食品なども輸入され、それらも含めて、周辺のポリネシアの国とよく似た食文化を有しています。ココナッツミルクの濃厚な旨味を利用する料理が多いです。

私が気に入っているのは「ショーデー」(Show day)という、14の集落が持ち回りで開催する伝統的な村祭りです。各家庭で伝統料理を作って持ち寄り、会場の広場のバーベキューで肉や魚やソーセージを焼いたり、ココナッツやフルーツを使ったデザートも多種売られ、伝統舞踊やココナッツ割りゲームなどの見ものもたくさん。地元の自然の恵みをたっぷり使う料理からは、「ニウエにいれば食べるものには本来困らない」という、ポリネシア人の生きる強さや、南の島の食の豊かさを大いに実感することができます。

ヤシの葉音がサラサラと鳴り、海の音がザザザと耳に心地よく響く。まぶしい太陽が紺碧の青い海と豊かな緑を照らす。恰幅の良い体型の陽気なニウエ人は旅行者にも優しい。時間がのんびりと過ぎていくようなニウエは、何かと忙しい日本人が休暇を過ごすのに最適な場所です。日本社会の忙しさを忘れて食べる美味しい南国ごはんは、真に楽園の食事です。
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