ボライカイ

  • デンマーク料理

  • 現地表記

    :Boller i karry(デンマーク語)

  • 概要

    :ミートボールのカレーソース仕立て

ボライカイ

カレーのイメージはやはりインドなどの南アジアであり、それらを植民地としていた西欧の英国はともかくとして、北欧にはなかなかカレー料理のイメージがありませんね。でもあるんです。ここでは北欧デンマークに長く根付くカレー味の家庭料理のレシピを紹介します。デンマーク語でカレーは「カイ」なので料理名はボライカイ。デンマークにカレー粉が持ち込まれたのが1837年、このカレーソース仕立てのミートボールレシピは1840年に生まれたとされ、すなわち200年近い歴史があります。スパイシーな味に慣れていない北欧の人にとってこれは革新的で美味しい料理だったことでしょう。今日(こんにち)私がこれを作っても、「これはアジアの外のカレー。別の次元のカレーでとても美味しい」と思います。なんせ別次元のカレーなので、カレーと思って食べるとなんか違っちゃいますけどね、現地によくある揚げ物屋さんのカレーソースの味なので、あくまでミートボールのカレーソースと思うとしっくりくる味わいです。唐辛子を使わないのでお子さまにも気に入ってもらえる味です。

材料

4人分):

玉ねぎ
1/2個
豚ひき肉(※1)
300 g
1個
牛乳A
50 mL
薄力粉A
大2
小1/2
こしょう
小1/5
800 mL
コンソメ顆粒(※2)
小1
バター
大2
薄力粉B
大2
カレー粉(※3)
大2
牛乳B
150 mL
  • ※1:ひき肉は牛豚の合い挽き肉を使ってもよいです。
  • ※2:日本の市販のコンソメ顆粒は牛ダシ系が多いのですが、豚ダシの商品が手元にあればそれを使います。それもなければ鶏がらスープの素でもよいです。
  • ※3:カレー粉はマイルドなタイプを使います。ここではS&B社の赤缶カレー粉を使用しています。

調理時間

作り方

  1. 玉ねぎを非常に細かいみじん切りにし、ボウルに入れる。
  2. 豚ひき肉、卵、牛乳A(50 mL)、薄力粉A(大さじ2杯)、塩、こしょうを入れ、ヘラで空気を入れながら、ふわふわになるように意識しながらよく混ぜる。
  3. ひき肉が入ったボウルを冷蔵庫に入れておく。
  4. 内径20 cm、高さ10 cmくらいの鍋に水と肉ダシ顆粒を入れて火にかけていったん沸騰させてスープを作る。味見をして肉の旨味加減を好みに調える。
  5. スープをごく弱火にかけ、「沸騰しないが熱い」状態をキープする(目安として90℃など)。
  6. ひき肉のボウルを冷蔵庫から出し、ボウルの中でひき肉をおおよそ8等分にし、カレーライス用サイズのスプーン2つを片手ずつ持ち、スプーンをスープで濡らし、ひき肉の1/8をすくい、スプーン2つの上を行き来させて丸いミートボールを作り、スープの中に優しく落とす。
  7. スプーンをスープで濡らし、あと7回ミートボールを作り、スープの中に落とす。最後のミートボールの位置を覚えておく。
  8. スープをすくい取るお玉を用意し、「お玉1杯で何 mLのスープがすくえるか」を量っておく(例:お玉の中に大さじ何杯の水が入るかを量り大さじ1杯=15 mLで計算する。または水を量りに乗せてお玉1杯すくったら何 g減ったかを量る)。
  9. フライパンにバターを入れて中火で熱し、薄力粉B(大さじ2杯)とカレー粉を入れてヘラでバターになじませ、まずはスープをお玉1杯だけ入れ、ヘラで均一に練り、またスープをお玉1杯だけ入れて均一に練り、牛乳を分けて入れて均一に練り・・・を繰り返し、まずはスープ400 mLと牛乳100 mLを加えたカレーソースを作る。色は白くて明るい黄色を目指しながら、とろみの様子を見ながらスープ450 mLや牛乳150 mL、あるいは好みでそれ以上に増量する。
  10. 味見をして塩加減などを好みに調える。
  11. スープから「最後に入れたミートボール」を取り出して中を割り、中まで火が通っていることを確認する。
  12. ス―プからミートボールを取り出し、カレーソースに入れて絡めて出来上がり。
  13. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • このレシピではミートボールを8個作っています。よって分量の4人分は、ミートボールを写真のようなサイズに作って1人2個を食べると想定したときのものです。
  • 玉ねぎのみじん切りが粗いとミートボールにヒビが入る原因になるので、玉ねぎは頑張って非常に細かいみじん切りにします。目安として玉ねぎがすべて3 mm以下になるのが目標です。現地ではハンドブレンダーで玉ねぎをピューレにするレシピもあります。
  • スープを作る鍋は直径5 cm程度のミートボールが8つ重ならずに入りミートボールの上までスープがかぶることが必要です。大きな鍋を使うとスープの高さが足りなくなるので、水と肉ダシ顆粒を足して深さ5 cm以上になるようにし、余ったスープは後日消費します。
  • 私の作成ではこね終わったあとのひき肉が525 gで、ミートボールは煮る前で1つ65 gとなりました。ミートボールは小さいものを多く作ってもよいです。
  • ミートボールをきれいに丸める方法は2つあり、1)利き手にカレーライス用サイズのスプーンを持ってひき肉をすくい、反対の手のひらを水で濡らし、手のひらとスプーンを使ってひき肉を丸くする方法と、2)両手にカレーライス用サイズのスプーンを持ってスプーン2つの上でひき肉を丸くする方法があります。ここでは手を汚さなくてすむ2)を採用していますが、やりにくかったら1)でどうぞ。
  • ひき肉を丸めるときは、万一落下しても損失が出ないよう、ひき肉のボウルの上で行います。
  • スープが沸いた状態でミートボールを煮ると肉の表面が荒れて美味しくなくなるので、沸騰後には火加減を落として「沸いていないけれどもとても熱い」温度を保ちます。
  • ソースを作るとき、白さと明るさを出したい場合はスキムミルクや生クリームを加えることもできます。
  • ソースにリンゴのすりおろしを加えるレシピもあります。
  • ソースを作るのに10分とすると、その間にミートボールにちゃんと火が通ると思います。もし10分以上経過してしまう場合はスープの火を止めてよいです。

Tips about cuisine

  • 「ボライカイ」のデンマーク語(デンマークの公用語)の綴りは「Boller i karry」。
  • 「Boller」(ボラ)は英語のボールと同じ語源でここではミートボール(肉団子)の意味、「I」(イ)は英語のinと同じで「○○の中に」、「Karry」(カイ)は英語のCurryと同じでカレーを意味する。よって「Boller i karry」(ボライカイ)は直訳すると「カレーの中のミートボール」という意味である。
  • デンマーク語では「R」の音をラリルレロの子音では発音しない。1)単語によりうがいのガラガラのガの音になったり、2)喉から息が抜けるハッという音になったり、3)前の音を引きずってアーと伸ばすような音になったりする。今回の「Karry」は3)に該当し、カの音を引き延ばしてカーとなるような感じで「y」(イ)に続く。ゆっくり話せばカーイであり、日常会話の速度ならカイである。辞書上の発音記号は「ˈkʰɑːi」。デンマークは英語を流暢に話す人がとても多いのでカリーと言っても英語のCurryのことだと通じるのだが、この料理名である「Boller i karry」(ボライカイ)では「Karry」はカイないしカーイと読むべきである。


本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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